マガジンのカバー画像

小説 「つくね小隊、応答せよ、」

64
第二次世界大戦末期。 東南アジアの、とある島。 米軍の猛攻により、日本軍は転戦(撤退)し続け、日本兵たちは、ちりじりに離散した。 そんな中出会った別々の部隊の若い日本兵の3人、…
運営しているクリエイター

#日本

「つくね小隊、応答せよ、」(最終話)

東京から汽車に乗り継いで、駅で降りる。 ここから渡邉の食堂へは、路面電車だと20分ほどだ…

「つくね小隊、応答せよ、」(十参)

3人は秋月の敬礼した右手を見て、息をのんだ。 その右手は、血まみれだった。 よく見ると、…

「つくね小隊、応答せよ、」(十四)

社の戸の前、3匹の狒狒が立っています。 体中を覆う白い毛。 血のような赤い目。 黄土色の…

「つくね小隊、応答せよ、」(十伍)

どうやら狒狒たちには、なにか策があるようです。 それぞれが石畳を振りかぶり、本殿の早太郎…

「つくね小隊、応答せよ、」(廿三) 

「…大将、ちょっと…大将」 「ん?なに?」 「いや、ん、なに?じゃなくて。どうするんすか…

「つくね小隊、応答せよ、」(34)

二匹の作右衛門が大声で笑いながら、怒り狂った猫のように刀を乱暴に振り、小鷹、熊鷹へ斬撃を…

「つくね小隊、応答せよ、」(38)

がさっ 三匹の前に現れたのは、バナナの葉で編んだ笠をかぶった、小さな老人だった。裸足に黄土色のズボン。白いシャツを着ていて、白いヒゲを生やし、にこにこと笑っている。大きさは、50センチほどで、その老人のうしろには、同じような大きさの老人たちが十人ほど立っている。 「わっちらが気づかぬように近づいたということは、味方ではないということですよね?」 金長が腕を組む。 するとまたその老人が答えた。 「やまとのかたがたはじつにせっかちだ。さきほどもいったように、それはあなたが

「つくね小隊、応答せよ、」(39)

「しまぜんたいが、あなたがたのてきなのです…それでは…さようなら」 ドゥエンディが片手を…

「つくね小隊、応答せよ、」(40)

「敵襲うううう!敵襲うううう!五時の方向!艦砲射撃!!」 斜面の岩陰から声が聞こえた。 …

「つくね小隊、応答せよ、」(41)

仲村が暴れ、水面を叩くと、高く水しぶきがあがる。イリエワニは水中に潜り、仲村に噛み付いた…

「つくね小隊、応答せよ」(42)

好戦的で動きの素早い早太郎。 周囲一帯を燃やすような金色の炎を吐く狐。 まだ手の内を明か…

「つくね小隊、応答せよ、」(43)

路面電車が通りを走り、大八車や屋台や行商の人々が街を闊歩する。渡邉道雄が生まれ育った街だ…

「つくね小隊、応答せよ、」(44)

1934年。昭和9年。 16歳の甚が広島へ旅立つ日。 人々が見送りに集まった。 町のシンボ…

「つくね小隊、応答せよ、」(45)

金長は力士の姿から、もとの自分の姿に戻る。 体が大きくなれば、彼らは逃げると思ったが、こうもり女のマナナンガル、尻尾が刃物のスィグビンは一向に逃げる気配がない。こうなれば、的確に一体を攻撃し、牽制し、退いてもらうほうが良い。金長は、久しぶりに鎧を身に着け、するりと刀を抜いた。 金長は、100年以上前の阿波狸合戦以来、一度も戦いをしていない。仲村を守りに来たこの島で、まさか自分自身が戦うということになろうとは想像もしていなかったし、戸惑いがある。しかし、この相手にも意図や正義