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あきやまやすこ
2020年12月18日 06:30
コロナの予防注射が、やっと誰にも行き渡る、この初夏。私は、シカゴのオヘア空港で、日本行きの便を待つ。母が住むまちに戻るために。あれほど出て行きたかった所なのに、帰れないと思うと、息苦しくまで感じた一年。目に入ったスタバの列に並ぶ。抹茶ラテを受け取って、近くのゲートの待合に腰をかける。すみません。日本語が聞こえる。あきやまさん、ですよね。私が引っ張っているスーツケースの、名札でも
水野うた
2020年11月7日 20:00
何とも表現しようのない喪失感に、驚いてしまう。ぽっかりと空いたその穴を・・・というせつない歌があるけれど、私の胸に空いたその穴を覗くと、あの晩の青鈍色に曇った新宿の空がひろがっている。こんな気持ちになるなんて。 のろのろと身体を起こしてテレビをつけると、華やいだ声が桜前線の北上を告げている。週末の宮島は淡いピンクに彩られ、人々も心なしか浮足立って見える。彼はもう広島へ戻ったんだろうか
2020年10月17日 06:30
東京行きが決まってから、カナさんは、会社でも、どこにいるのかわからなかった。もう同じ職場にいると思わない方がいいか。空いてる席に、誰か別の人が座るのかと思うと、寂しい気がした。いやいや、来年新卒で、すげー可愛い子が入ってくるかも。カナはいいよ。あいつはイモ。オバハン。カナさんは、家を抜けられないと電話をくれた。思いがけない転勤に、仕事を応援していた家族も、やはり娘と過ごす時間を望んでいる。