キム(EnS)
この作品「LEONE 〜どうかレオネとお呼びください〜」は、韓国の小説投稿サイト「JOARA」で2015〜16年に掲載され、TS(トランスセクシャル)のジャンルで名作と評価されている作品です。今回、原作者のCHANGさんの許可を得て日本語に翻訳し、ここに掲載することになりました。女性義体の中に閉じ込められた犯罪組職のボス「セロン・レオネ」と、その正体が分からないまま一攫千金を夢見る賞金稼ぎ。 危険なコンビの宇宙活劇が始まります。お楽しみください!
この作品は、韓国の小説投稿サイト「JOARA」で2015〜16年に掲載され、TS(トランスセクシャル)のジャンルで名作と評価されている作品です。今回、原作者のCHYANGさんの許…
屋上から投げられた謎の物体が自分たちの頭上に飛んできた時、賞金稼ぎの群れの中には雷のような叫び声が轟いた。 「爆弾だ!」 「撃て!」 賞金稼ぎたちの武器と、『ホ…
「ご主人様」 激化していた戦いの中で、セロンがようやくその状況に気付いたのはそんな呼び声を聞いてからだった。 その聞き覚えのある声に気付いた瞬間、セロン・レオネ…
1章:The Good, The Bad and The Ugly 第14話 文無しの脱出 「この野郎!」 宙に浮いたルチアーノの拳がぶるぶると震えた。その口元は今にも怒声をあげるかのようで、…
1章:The Good, The Bad and The Ugly 第13話 ルチアーノ親衛隊ホワイトスカル vs カウボーイ レンスキー・モレッティは老練な執事だから、感情を表に出すような愚か…
ルチアーノだ。 セロンは直感した。 ルチアーノ。彼が直接来たのに間違いなかった。先ほど立ち上った火柱が、そしていま着陸しようとしている『ホワイトスカル』の戦艦が…
1章:The Good, The Bad and The Ugly 第12話 脱出への道 耳元でうなる音が響いた。 体の感覚が消え、まぶたが重くて目を開けることができなかった。誰かが自分をつか…
彼らは羞恥心を感じた。 仲間の数は数百に達し、獲物はたった1人に過ぎなかった。 彼らは町全体にわたる完璧な包囲陣を構築していて、獲物は道のど真ん中にいた。 ここ…
「そ、そんな言葉で責任から逃げようとするなんて……!」 コープランドは床に崩れるように座り込んでしまった。彼は先ほど、外から聞こえてきた爆発音が意味することをす…
1章:The Good, The Bad and The Ugly 第11話 『アーマード』ルチアーノ 光の中で数多くの人々のうめき声と罵声が沸き起こった。大半は、カウボーイたちの下品な声だっ…
クライドの話に誰よりも先に反応したのはセロンだった。 「ビル・クライド、てめえ……!」 ここまで来て、また私に侮辱を与えるつもりなのか。 セロン・レオネは怒りに…
「それはどういう意味ですか!」 『銀河銀行』の『ペイV』支店長―アダム・コープランドの顔には、すでに血の気が見えなかった。 「お願いされた、いや、言われるままに…
1章:The Good, The Bad and The Ugly 第10話 “ハイエナ”ビル・クライド 「ビル……クライド……?」 セロン・レオネが青白い顔で彼の名前を呼んでいる間、ビル・ク…
「……いったい何を企んでいる?」 クライドの表情が険しくゆがんだ。すばやくカルビンへ銃口を向けようとする彼を、セロンが手を挙げて阻んだ。クライドが沈んだ声を吐き…
1章:The Good, The Bad and The Ugly 第9話 カウボーイ(2億GD)の夜 パート4 「それはダメだ」 クライドの気勢が色褪せるほど、カルビンは動揺しなかった。 彼が…
セロンは目を開けた。 近寄ってきたカウボーイたちは、足を止めた。 カルビンは顔をしかめ、壁の上をにらんだ。その上にいるものが誰なのか確認した後、カッと音を立てな…
2021年5月9日 00:00
この作品は、韓国の小説投稿サイト「JOARA」で2015〜16年に掲載され、TS(トランスセクシャル)のジャンルで名作と評価されている作品です。今回、原作者のCHYANGさんの許可を得て日本語に翻訳し、ここに掲載することになりました。女性義体の中に閉じ込められた犯罪組職のボス「セロン・レオネ」と、その正体が分からないまま一攫千金を夢見る賞金稼ぎ。 危険なコンビの宇宙活劇が始まります。お楽しみくださ
2021年6月7日 01:00
屋上から投げられた謎の物体が自分たちの頭上に飛んできた時、賞金稼ぎの群れの中には雷のような叫び声が轟いた。「爆弾だ!」「撃て!」賞金稼ぎたちの武器と、『ホワイトスカル』の拳が一斉に宙を向いた、ルチアーノも鼻で笑いながらその謎の物体を見上げた。だがカルビンはその可能性を否定した。いくらビル・クライドでもあの大きさの爆弾をすぐに調達することは難しいはずだ。彼はこれもビル・クライドの
2021年6月7日 00:30
「ご主人様」激化していた戦いの中で、セロンがようやくその状況に気付いたのはそんな呼び声を聞いてからだった。その聞き覚えのある声に気付いた瞬間、セロン・レオネはビル・クライドに背を向けた。その瞬間セロンの髪を引っ掴もうとしたビル・クライドが宙を抱いて倒れたが、セロンにはそれを気にする余裕すらなかった。彼女はさっさと屋上に立ち上がり下を見下ろした。信じたくなかった、その“まさか”を確認した
2021年6月7日 00:00
1章:The Good, The Bad and The Ugly第14話 文無しの脱出「この野郎!」宙に浮いたルチアーノの拳がぶるぶると震えた。その口元は今にも怒声をあげるかのようで、眼光は目の前のカルビンを焼き払うかのように光っていた。しかしカルビンは少しも委縮しなかった。彼は無表情でルチアーノの顔を睨み付けた。目と目が合わせたまま少しも引き下がる気配はなかった。カルビンはルチ
2021年6月6日 00:00
1章:The Good, The Bad and The Ugly第13話 ルチアーノ親衛隊ホワイトスカル vs カウボーイレンスキー・モレッティは老練な執事だから、感情を表に出すような愚かな行動はするべきではなった。しかし彼の心は、刻々と焼けていくところだった。今彼のそばには、ボッシー・ルチアーノが立っていた。ルチアーノが街を火の海にする直前に、レンスキーはここに到着することができ、
2021年6月5日 00:30
ルチアーノだ。セロンは直感した。ルチアーノ。彼が直接来たのに間違いなかった。先ほど立ち上った火柱が、そしていま着陸しようとしている『ホワイトスカル』の戦艦がその証拠だった。「はあ? あれはまたどうなってるんだ?」クライドは眉をひそめ、遠くに降下する戦艦を眺めた。ふたりともホコリにまみれ傷だらけだった。街中での爆発に乗じてギリギリその場から抜け出したが、その見返りに再び地面に転が
2021年6月5日 00:00
1章:The Good, The Bad and The Ugly第12話 脱出への道耳元でうなる音が響いた。体の感覚が消え、まぶたが重くて目を開けることができなかった。誰かが自分をつかまえて揺さぶるようだったが、単なる酔いによる錯覚のようでもあった。「……兄貴! 兄貴!カルビン兄貴!」酔いではなかったな。カルビンはかろうじて目を開けた。まだ夜だったはずなのに、かすか
2021年6月4日 01:00
彼らは羞恥心を感じた。仲間の数は数百に達し、獲物はたった1人に過ぎなかった。彼らは町全体にわたる完璧な包囲陣を構築していて、獲物は道のど真ん中にいた。ここは彼らのホームグラウンドだった。彼らの、悪名高い数百人の賞金稼ぎたちの故郷だった。また、今は『カウボーイの夜』、彼らの時間であり、直前まで彼らは2億GDのウサギ狩りに没頭していた。しかし今、彼らは新しい巨大な獲物と出くわした。
2021年6月4日 00:30
「そ、そんな言葉で責任から逃げようとするなんて……!」コープランドは床に崩れるように座り込んでしまった。彼は先ほど、外から聞こえてきた爆発音が意味することをすでに理解していた。それは災いを意味した。この都市全体を火の海にさせてしまうかもわからない、とてつもない災難。「こちらとしても大変残念だと思っています。今後被害状況を教えていただいたら、金銭的な補償は十分に……」「そんな問題では
2021年6月4日 00:00
1章:The Good, The Bad and The Ugly第11話 『アーマード』ルチアーノ光の中で数多くの人々のうめき声と罵声が沸き起こった。大半は、カウボーイたちの下品な声だったが、だった一人、少女の高い声もひとつ混じっていた。「ビル・クライド!」「不満は後で聞きますから、とりあえず走りましょう、お嬢様!」クライドは少女の手首を握って走った。いや、走ろうとした。少女
2021年6月3日 01:00
クライドの話に誰よりも先に反応したのはセロンだった。「ビル・クライド、てめえ……!」ここまで来て、また私に侮辱を与えるつもりなのか。セロン・レオネは怒りに震えながら、彼を振り払おうとした。しかしクライドの握力は、それを許さなかった。彼はもっと固くセロンを引き、押さえる代わりにセロンの顔に自分が取り出した紙切れを押しつけた。セロンが鋭い声で叫んだ。「なんだこれは!」 「俺たち
2021年6月3日 00:30
「それはどういう意味ですか!」『銀河銀行』の『ペイV』支店長―アダム・コープランドの顔には、すでに血の気が見えなかった。「お願いされた、いや、言われるままに全部やったでしょう! すでに懸賞金の狩人たちが『カウボーイの夜』を繰り広げています。もうその小娘が捕まるのは時間の問題なんですよ!」彼としては悔しさ極まりないことだった。コープランドの言う通り、彼は彼の顧客が注文した依頼をすべて
2021年6月3日 00:00
1章:The Good, The Bad and The Ugly第10話 “ハイエナ”ビル・クライド「ビル……クライド……?」セロン・レオネが青白い顔で彼の名前を呼んでいる間、ビル・クライドは深い考えに耽っていた。彼は少女との最初の出会いを思い出していた。ナイスバディーの美女と思っていた女性は、近くで見たらぺったんこの胸を持つ子供で、さらに助けてくれた恩を直ちに後頭部を殴るこ
2021年6月2日 00:30
「……いったい何を企んでいる?」クライドの表情が険しくゆがんだ。すばやくカルビンへ銃口を向けようとする彼を、セロンが手を挙げて阻んだ。クライドが沈んだ声を吐き出した。「お嬢様。こいつらは懸賞金の狩人です。同類は同類の人間が一番よく知っていますよ。こやつらが交渉ごとを話す時は、100%何かを企んでいるのに間違いありません」「それくらいは僕も知っているよ。ビル・クライド」セロンが冷たく
2021年6月2日 00:00
1章:The Good, The Bad and The Ugly第9話 カウボーイ(2億GD)の夜 パート4「それはダメだ」クライドの気勢が色褪せるほど、カルビンは動揺しなかった。彼が手振りをすると、保安官たちが一斉にリボルバーを抜いてクライドに照準した。クライドの突然の登場にもかかわらず、彼らの誰一人も動揺しなかった。逆に笑いがこぼれる始末だった。ただ、カルビンだけはあ
2021年6月1日 01:00
セロンは目を開けた。近寄ってきたカウボーイたちは、足を止めた。カルビンは顔をしかめ、壁の上をにらんだ。その上にいるものが誰なのか確認した後、カッと音を立てながら唾を吐いた。それを見ていたセロンは、ゆっくりと後ろへ向かった。顔首を上げて壁の上を見た。「もし余計なお世話だったら、どうかお許しください」壁の上にギリギリな状態で立ったまま、ビル・クライドはたばこをくわえながら言った。