踊る大捜査線に基づく組織論
『踊る大捜査線』
本当に好きで、全作数え切れないほど観ている作品のひとつだ。
『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ』の中で、レインボーブリッジ上で繰り広げられたラストにあたるシーン。
犯人A「おめーらの組織は橋一つ止められねーのか!」
青島「君らにはリーダーがいないんだってな?」
犯人B「ああ、究極の組織だ」
青島「俺の組織には、リーダーがいる」
犯人C「なら、俺らの勝ちだな」
犯人B「リーダーなんかいると、個人が死んじまうんだ!」
青島「どうかな?リーダーが優秀なら、組織も悪くない」
犯人A「んなわけねーだろバーカ!」
犯人C「ほざいてろ!」
“リーダーが優秀なら組織も悪くない”
このストーリーの中で、犯人グループが犯行に及んだ原因の一つに、現代の中央集権型組織の在り方に嫌気がさしたことが挙げられる。
彼らは縦に伸びる組織ではなく、
各々の判断で動く、横に伸びる新しい組織を作って犯行に及んだ。
そんな彼らに対して青島刑事が放った台詞だ。
どちらの組織がいいのかは、正直わからない。
しかし、革新的に時代が変わっていったとしても、そこでどんな組織にいようと、その中にいる一人ひとりの人間が何より大事だということには変わらないと思う。
またこのシーンでは、青島刑事がリーダー(室井さん)を心から信頼していることが表れている。
決して外から崩すことが出来ないこの上下関係は、組織にとってとても大切なものであると感じている。
”現場の君たちを信じる”
室井さんが捜査本部の指揮をとることになった際、全捜査官に向けて発した台詞だ。
任せられる側もピリッとする言葉であり、
それ以上に、任せる側はとても勇気がいることだと思う。
室井さんが来る前の本部の管理官のように、全てを管理することでマネジメント(うまくいかせようと)しがちだが、一方で室井さんのように任せるマネジメントもある。
どちらかの選択肢しかないのではなく、
様々な状況の変化に合わせて、任せるところは任せ、締めるところは締めるような器量の良いマネジメントが現代には求められているのかもしれない。
”責任をとる、それが私の仕事だ!”
現場スタッフを信頼して捜査を行った結果、
上層部から釘を刺された室井さんが上層部に対して発した言葉だ。
組織の上に立つ者は、常にこれだけの覚悟がなければならないと思う。
それを語るには、もう何年も前に遡る。
あるとき大問題が発生して、自分たちは全員集められた。
そしてその時の上司はこう言った。
「辞める(責任をとる)覚悟でみんなに問う」と。
上に立つ者は、常にそんな思いを持って、
それでも任せるところは任せていく勇気が必要なのかもしれない。
”警察を・・・任せたぞ”
この本作が、和久さん役のいかりや長介さんの遺作となった。
和久さんも、若かりし頃は組織の上層部と闘いながら自分の信念を貫いていた。自分にとって一番大事な「信念」を任せることができる後輩を育てたことは、彼の残した成果の一つだ。
組織において教育は大事な要素の一つで、
ノウハウやスキルだけでなく、想いや信念といったメンタル面の教育こそが最大の課題と言える。
昔からヤンチャで生意気な自分が、
生意気にも組織について語る日が来た。
それは、いつの時代も自分を育て、守り続けてきてくれた「組織」というものに感謝しているからだ。
そんな生意気な我々も組織の一員であり、
次世代の組織を担っていく存在でもある。
役割を気にすることなく、本当にいいものを追い求めて、真剣に意見をぶつけ合うことが組織にとっても重要なのかもしれない。
そんな「組織」に感謝し、その一員として、
これからも信頼できる仲間たちとプロフェッショナルな仕事をしながら闘っていきたいと、
強く心に思っている。
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