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【英論抄読】腸骨関節包筋と整形外科手術

▼ 文献情報 と 抄録和訳

腸骨関節包筋に関するシステマティックレビューとメタアナリシス:整形外科手術における重要なランドマークとして

Keet K, Cheruiyot I, Venter R, Henry BM, Tomaszewski KA, Pękala PA. A systematic review and meta-analysis of iliocapsularis muscle: an important landmark in orthopedic surgery. Surg Radiol Anat. 2021 Dec;43(12):1999-2007.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的]
腸骨関節包筋(IC)は股関節の被膜の上にある小さな筋肉である.近年、股関節全置換術の前方アプローチでこの筋肉に遭遇する整形外科医が注目されているが、その解剖学的特徴についてはほとんど知られていない。本研究の目的は、ICの解剖学的構造を検討し、その起源、挿入、血液供給、神経支配、筋繊維の特徴およびサイズについて述べることである。また、ICの機能、臨床的関連性、および比較解剖学的特徴についても評価した。

[方法]
Evidence-Based Anatomyの手法を用いて、「iliocapsularis」、「iliacus minor」、「iliotrochantericus」、「ilioinfratrochantericus」という用語を用いて電子データベースを検索し、適格な研究を特定した。

[結果]
ICの解剖学的構造を検討した6件の研究(n=287下肢)が含まれた。ICのプールされた有病率(PP)は98.7%(95%CI 96.5-100.0)であった。ICは、下前腸骨棘(AIIS)の下面から発生し、小転子の下方に付着しています。ICは全長にわたって前内側被膜に付着しており,被膜の寄与は股関節のどの筋肉よりも大きい(73.8 ± 27.3 × 16.1 ± 4.4 mm).従って、股関節前方への手術アプローチにおいて重要なランドマークとなる。

[結論]
ICの解剖学的構造は、股関節前方手術の増加に伴い、より適切なものとなってきている。AIISや小転子、前内側被膜に付着しているため、この筋肉は股関節全置換術において重要なランドマークとなる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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腸骨関節包筋は、近年注目されている筋肉であり、研究も増えている。
理学療法においても、可動域制限などに対しての治療対象として注目を集めている。
今回は手術におけるランドマークに関する研究であり、同年にも以下のような研究がある。

Konno K, Hagiwara S, Nakamura J, Suzuki T, Eguchi Y, Ohtori S. An Anatomic Study of the Relationship Between the Iliocapsularis Muscle and Iliofemoral Ligament in Total Hip Arthroplasty. Arthroplast Today. 2021 Nov 1;12:57-61.
ICと下腸骨大腿靭帯(ILFL)は大腿骨頭の前外側に位置し,ILFLの内側縁はICのそれと一致した。ICは前方アプローチによる人工股関節全置換術において、ILFLを温存するためのランドマークとして機能することができる。

解剖・機能解剖の世界では、昨日まで当たり前とされていた知識・メカニズムが変化することは少なくないようだ。随時、情報をアップデートしていこう。

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