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大学の同級生から「久し振り!」LINEが来た ① 黒い噂の裏を取れ

こんにちは。隣の芝生です。

今回は大学の同級生から「久し振り!」というLINEが来たお話です。個人的にはホットな話題なので、覚えているうちに題材にしたいと思ったため、筆を取ることにしました。

レポート感を出すために、普段とは異なり常体で文章を書こうと思います。それではどうぞ。


◆友達登録は突然に…

 大学を卒業してしばらく経った。私は人当たりは良い方ではあると自負しているが、趣味がいかんせん"オタクチック"で、若干ノリの良さに欠けるところがある。お酒もロクに飲めない。徹夜する体力も無い。それ故、最初はみんなに話掛けられて、普通に応対して良好な関係を築けはするが、何だかんだ皆、私より波長が合う友達を見つけて縁が薄くなっていき、最終的に残った穏やかで趣味などが合う数人だけと長く付き合っていく、という交友スタイルなのだ。

 そんな私に、ある日一件のLINE通知があった。本文は「久し振り!元気にしてるかい!」という至って平凡で当たり障りのない挨拶。名前を見ると大学時代の同級生だった。

 ただ、私にはその人の顔がどうにも思い出せない。基本的に「来る者を拒まず、去る者は追わない」主義なので、途中で波長が合わないと感じたり、波長は合っていても、タイミングが合わないなどで縁遠くなってしまった人は、あまり意識しなくなる悪い癖がある。後から「あの時の〇〇だよ!忘れたの?」と聞かれて、覚えていないという大変失礼な事例が過去に往々にしてあったこともあり、自分の記憶力が信用ならない。とりあえず"何らかの関わりがあった人"の礼儀として、返信を書くことにした。


◆元気だよ!こっちは就活に苦戦してる

 これは私の返信。正直言って深い関わりがあったとは思えない人ではあったが、万が一に備えて、あたかも覚えているかのように、あたかもそこそこ仲が良かった奴かのように、当たり障りのないメッセージで返した。内容に反して楽天的な文面を意図して送ったが、このレスポンスとして「自分はまだ大学で学生やってる!」と、彼もまた事の重大さに反して明るい返事を寄越してきた。どうやら楽しくやっているようだ。

 しばらく他愛も無い会話のラリーが続き、2日が経った頃、彼の口からこんな言葉が出てきた。

◆「今度会わない?」

 会話が始まってから3日。ここまで何の淀みもなく進んでいた他愛のない会話が、一つ進展した瞬間。両者とも割と穏やかに喋るスタイルで、コミュ力も問題なく備わっていることから、そこそこ楽しく会話ができた。顔すら思い出せないような人を相手にしているのに、「ひょっとして私と彼は、大学である程度仲が良かったのではないか?」と錯覚してしまうほど、良好な関係が築けているようにさえ思えた。と同時に、LINEを追加されたタイミングから感じていた「相反する仮説」が、状況証拠へと変わりつつあった。

◆性善説と性悪説

 ここで言う「相反する仮説」とはマルチ商法やカルト宗教への勧誘の線である。このページを開いて頂いた時点で、世間一般で求められるリテラシーを持ち合わせている人であれば、もう察していることであろう。私もこれを最初から疑っていた。むしろ、こっちの線の人と初めて相対することができるかも知れないと少しワクワクしていたかも知れない。

 しかし、本当に仲良くしたくて話し掛けているパターンも、5%くらいの可能性で考えられる。まずは身の安全を第一に考え、クラスメイト複数人に裏で事前調査を行った。調査方法は至って簡単。既にLINE友達として登録されている友人や、質問に解答してくれそうなクラスメイトを友達追加した上で、「XXくんから食い気味に"会いたい"という連絡を受けているが、そういった事例は君にあったか。また黒い噂を聞いたことがあるか。」といった質問をする形式で行った。

 これに対する解答は、いずれも「自分はよくわからない」や「人当たりはいいヤツだと思うんだけどな」といったものばかり。黒い噂が出てこないどころか、人付き合いが良いといった評まで出てくる状態であった。

 中には、私を警戒して既読は付いても返信を寄越さない人間もいた。私がやっていることは、急に誘ってきた彼と同じなので、警戒されても致し方ないことは重々承知をしている。しかし、正直「知ってるか、知らないか」という、英語でも中学1年生でやるような簡単な応対すらしてもらえないとは、随分信用がないものだ。

 ともあれ、ここまで手を打っても黒い噂は出てこなかったので、ひとまず私は性善説に基づいて、彼との面会を了承することに決めた。

(本編終了・次回に続く)


いかがでしたでしょうか。今回は以上となります。起立性調節障害 体験記の連載記事や、家電・ガジェットレビュー、旅行記・英語学習などの記事もご用意しておりますので、そちらも併せてどうぞ。

当連載の次回の更新は、12月1日(金)以降を予定しております。それでは。



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