『就活生、神になる。』⑦ お酒の席は大丈夫ですか?
■まえがき ~本編に入る前に~
本記事は、中高時代に病気で学校に通えなくなり、寛解後の大学時代はコロナ禍がクリーンヒットした筆者による就活体験記『就活生、神になる。』の第7回更新となります。過去6回の内容を踏まえた上で進んでおりますので、未読の方は下記リンクよりご確認ください。それでは本編をどうぞ。
■第21章 酒の席は大丈夫ですか…?
前回はハローワークの上手な使い方と、メリット・デメリットをご紹介した。今回は既卒就活に入った後のお話をしたい。本章ではハローワーク経由で出願した会社について取り扱う。
ハローワーク経由の求人は、新卒が使う大手就活サイト経由の求人とは異なり、本当に多種多様である。誰もが知る大手企業の事務職から、無名どころか社員数3人くらいの小規模事業者まで、本当に幅広い取り揃えがある。
私は大卒、かつ既卒だったので、新卒採用のみの会社や、専門・高卒採用の会社は受験できない。経験者でもないので、「勤務経験何年以上」や「国家資格保有者」と言ったものも選択肢に入らない。そのような中で、私は半公営の団体や、独立行政法人などに目を付けて受験をすることにした。
そんな中でも、筆記・実技試験と一次集団面接を通過し、二次面接にまで駒を進められた会社があった。二次の次は意思確認なので、事実上最後の面接という訳だ。業界研究はバッチリ。受けて立とう。
開始10分程度は他愛もない話や定番の質問が続いたため、全く問題なく回答できた。これで途中の面接は通過している会社は多いので、おそらくこれ自体に問題はなかった。ただ、次の質問で流れが変わる。
「あなたは… お酒の席とかは大丈夫ですか?」
真意を測りかねる質問である。この段階で既に60社は受験していたはずだが、それでもこのような質問は初めてであった。そのうえ、お酒の席""とか""という非常に微妙な言い回しが、一体どこまでの範囲を示しているのかがわからなかった。
私は残念ながらお酒はあまり飲めない。市販の390ml缶の1/3程度で酔って寝てしまう。おまけに、勤務時間外に飲み会に参加するのも、起立性調整障害経験者として考えると、おそらく現実的ではない(結果的に就職後も夜遅くなる飲み会には参加していない)。
この場を取り繕うこともできたが、「できないことはできない」という明確な意思表示をしておいた方が、後々のお互いのためである。きっぱりとこう答えた。
「生憎、お酒の方はあまり強くなくて…。 ただあまり遅くならない時間帯でのお付き合いでしたら、精一杯頑張らせて頂きますよ」
最適解かどうかはわからないが、イレギュラーな質問には正直な回答を心掛けた。これが吉と出るか、凶と出るかは私の知ったことではない。
ただ、この会社から、次の面接のお誘いを頂くことは無かった。
■第22章 要は御縁が無いということですよね?
選考段階:二次面接
面接形態:個人面接
業種 :(非公表)
こちらも既卒になってから応募した会社であるが、大手就活サイトからの自己出願である。オンライン一次集団面接を通過し、都心での二次面接に呼ばれることとなった。
この日はカラッと晴れた良いお天気であったが、風が多少強い日であった。とは言え、家を出た際に当該地方の電車に遅延はほぼなかった。一応、私は念の為集合時刻より45分早く着く電車に乗ることに決め、駅に向かった。
昼間は綺麗な10分間隔の路線の駅に、発車3分前に着いたが、ホームに降りると、なぜか電車が過ぎ去っていくのが見えた。まずい。遅延だ。ここまで面接での遅刻実績は無し。今回も定時までに到着したい。
どうやら、目の前で逃した電車は、運転間隔調整のために7分遅らせていたようで、私がこれから乗ることになる電車が、随分前に安全確認で長時間足止めを食っていたようだった。何分の遅延だかが掴めなかったため、企業側には、「間に合うとは思いますが」と前置きした上で、この段階で連絡を入れた。
本来の発車時刻を10分ほど過ぎた頃、乗車する電車がやってきた。混雑はしておらず、次の乗換駅までは快調に進んだ。しかし、ここでさらに問題が発生する。
乗り換えする二路線の運転サイクルが、微妙に異なるのだ。私が40分前に到着するという試算を出した時の乗り継ぎ時間は5分。そこから15分遅れた関係で、乗り継ぎ時間が大きく変化し、乗換駅で10分以上待たされることになってしまったのだ。
これで40分もあった余裕が、残り15分程度まで詰められてしまった。それでもまだ遅刻はしない。乗り継ぎ先の電車も、およそ30分程度順調に進んでいった。
ところが、終点の数駅手前で事件が起こる。自分が乗っている電車の、目視できないどこかのホームドアが故障したのだ。ここで足止めを予期せぬ食らった。面接先には、「ホームドア点検があって遅れる可能性があります。復旧目処はまだ立ってません」と事前に連絡をした。
結果として、点検は20分未満で終わり、駅を降りるやいなや急いでダッシュした甲斐もあって、集合時刻から2分遅れただけで済んだ。しかし、問題はここからである。
待合室まで通してくれた人は、「〇〇線の遅延で大変でしたね」とお声を掛けていただいたが、面接室に通されると、明らかに面接官の気が立っている。
「なぜ弊社を志望したのですか」の質問に対して回答している時には腕組みをされており、明らかに表情が不機嫌だった。次に他社選考状況についての質問があった。
面接官「他社の選考状況についてはいかがですか。進んでいる段階も含めて教えて下さい」
私「はい、現在三次面接まで進んでいる企業さんが◯社、二次面接が◯社、筆記試験通過が◯社です。内定はまだなく、御社が第一志望でござ…」
「要は御縁が無いということですよね?」
途中で遮るように、面接官は強くこう言い放った。ハッキリ言って、かなり感じが悪い。社名を出したいくらいである。まだ自らの怠慢や無報告で遅刻したならまだしも、こちらは最初の路線の遅延が判明した段階で即報告を入れた。電車での移動が1時間未満にも拘らず、45分も前に到着するように出ている。それでも遅刻をしたのだ。
もう随分前の話になるので、これから先の記憶は残っていないが、その後もかなり棘のある面接が展開された。当然手応えはゼロ。この会社とは、この面接を最後に連絡が途絶えた。
いかがでしたでしょうか。22章の会社は前の面接の段階で、あまり社風が良くないのかなと感じていましたが、ここまで圧迫だとは思っていませんでした。
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