パリ彩々。| 見ざる着飾る言わざる

洋服と服飾小物の中で「ほしいと思っているもの」と「持っていてよかったもの」などを、イラストと短文で記録します。 https://www.parisaisai.com

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  • 持っていてよかったもの

    最初は好きじゃなかったのに意外な良さに気づいたり、特に選んで買ったわけでもないのに活躍しているものについてのイラストと文章。

  • ほしいと思っているもの

    ほしいと思っているけれどまだ見つからないものについてのイラストと文章。

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Dries Van Notenの香水

この香水が発売されるという情報は、3月のファッションウィーク直前、ドリス・ヴァン・ノッテンの公式インスタで知った。 現代の衣服をめったに買わなくなった私が心酔する唯一のデザイナーの創った香水、そんなの絶対に買うしかないし、素晴らしいに決まっている。嗅ぐ前からうっとり。おまけに、発売される香りは1つじゃないのだ。10!いきなり10種類! このブランドが好きすぎるのでヘタな普段着では旗艦店に行きたくない... とウジウジしていたら、サンプルセットを通販してくれるという朗報が。

    • シルクのシャツ

      まさか自分が、こんなにたくさんシルクのシャツとかブラウスを持つ日が来るとは思わなかった。しかもわりと古いのばっかり。 赤、ピンク、ベージュ、黄色、黄緑、緑、水色、青、紫。虹色全色をコンプリートしてみてあらためて感心する、ショッキングピンクとグラスグリーンの発色の鮮やかさ。見るたびにため息が洩れる。が、彩度の高さに比例して色落ちも激しいので、洗う時には細心の注意を要する。 そもそもドライクリーニング指定されているのに自宅で洗濯することがまちがいなのだが、ドライクリーニングで

      • グラス・グリーン色のスカート

        人工芝のごとき高彩度な緑色の服にハマって探しまくったのは、2年と少し前だ。なぜか突然いいなと思うようになり、そうすると次々とその色の服が眼前に現れる、そして買う。 おそらく火付け役はボッテガ・ヴェネタのダニエル・リーで、どこかでなんとなく見たイメージが無意識に焼きついて膨らんだんだろう、と自分で分析している。人間の購買欲というものは、かくも単純に育つのだ。 フレアスカートとブラウスのセットアップから始まり、ペンシルスカート、ボックススカート、薄手のタック入りテーパードパン

        • ミニマリストな黒レザージャケット

          アメリカンスタイルのライダースジャケットについて、ここnoteで触れたことがある。今回は、ロンドンスタイルのライダースジャケットに着想を得て作られた1着について。 友人が誘ってくれて、年に数回ほど通っていた中規模ブランドのファミリーセール。 遠目にもなんだかステキなレザージャケットを見かけて、思わず近寄る。上質のレザーだ。 羽織ってみたら私の肩幅にちょうど。革の薄さに対して身幅はゆったりめに思える。裏地はシャツ地みたいなコットンで、なぜかベージュ肌色... あ、ヒョロッ

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          霞の空色シェットランドウール

          春分を過ぎたら、いかにも冬用のアウターとかニットは着ない主義なのだけれど、いまさら欲しいと思っている冬物ニットがある。 某ブランドの店頭で見かけていいなと思った品が、セール待ちをしているうちにうっかり売れていってしまい、美しく儚いイメージだけが力強く脳内に残った。 シェットランドウールの水色って、カシミヤとかモヘアとかにはない独特のニュアンスがある。なんというか、ぼんやり霞みがかった、発光するような感じ。澄み切った濃い夏の青空ではなくて、むしろ春先の夕方の、淡くて眠たい空

          桂離宮なコート

          このまえに書いた主題のストールをしみじみ眺めていたら、以前ほしいと密かに考えていた服のことを思い出した。 巨大なダミエ柄のコート。 桂離宮の松琴亭の、あの明朗で大胆で美しい衣装の、いや意匠の襖のような。模様はプリントではなくて、もちろん織りで。 身ごろはゆったりめで、高貴で上品ななシルエット。 素材は軽くふっくらして、かつ適度にハリのあるカシミヤ混がいい。 型はクルーネックのラグラン袖で膝丈か、膝下数センチ丈のチェスターフィールドか、迷うね。 いずれにしても、ボタン

          ブロックモチーフのストール

          毎年冬になると、持っていてよかったとしみじみ思うストールがある。しかも色ちがいサイズちがいで2枚。 スカーフで有名なあるブランドのプレスセールに友だちが誘ってくれて、そこで出会ったのだ。青ベースと紫ベース、どちらも好きな色味なので1点には絞り切れず、ならば両方買っちゃえ!ということにしたんだった。悩みすぎて脳みそが煮えそうになるとこういう決断をする。プレスセールでなければ、泣きながら1つに絞ったんだろうと思う。 私は近年ではいわゆるチェック模様の服を着ないし、ほとんど買わ

          コートでドレスでトランスフォーマー

          ひとつで2倍おいしいコンセプトに、とことん弱い幼少期から思春期を過ごした。 レストランのデザートメニューなんかに「ハーフサイズ2種の盛り合わせ」なる文字を見れば迷わず注文したし、宅配ピザのチラシにハーフ&ハーフの写真を見つけては密かにときめいた。 ファッションビルのセールでリバーシブルの上着なんて見つけようものなら、とりあえず試着。似合っているのかどうかよくわからないまま、二面もあるんだしどっちかは似合うだろう、という不思議な確信を持って貴重なお小遣いを何度か泡にした。

          ネコファーバッグ

          完全なひと目惚れだった。 3メートルほど先から2秒で見初め、小走りで近づき、それから抱きしめてずっと離さなかった。途中なんどもその姿を確認し、そのたびに心臓が高鳴った。もしやこれは恋か。 ネオンなピンクとパープルが混ざった、素晴らしい毛並み。 メタリックの華奢な背骨。 ほっそりした尾はマゼンタ色のサテン。 なんという愛らしい姿。気づけば無意識に、ふわふわのお腹を撫でて恍惚としてしまう。 食は細めで、ミニウォレットとカードホルダーで満腹。 「新しいバッグ?ステキ!」と

          山吹色のニット

          これ買ったのはずいぶん前のことになる。デパートの大改装工事前の在庫処分セールで、角の折れた値札には何重にも値下げシールが貼られ、びっくりするくらい安くなっていた。 山吹色のウールで、ボートネック。肩から二の腕あたりまではラグラン袖ふうで、その先は細くてまっすぐなリブ編みに切り替わる。身幅はどちらかといえばルーズで、丈はやや短め。 Dries Van Notenがまだ、ベルギー生産だった頃の品物だ。 このときに一緒に買った、太畝コーデュロイ地のペンシルスカートは今でもだいじ

          サムライベルト

          高校のときの代数・幾何担当の先生には、隠れた愛称があった。確か「サムライ」とか「武士」とか、そんなのだったと思う。 定年退職もそう遠くない年代の男性で、とにかく痩せていた。中学校の社会科の資料集に載っていた即神仏みたいに。 あの世代の人にしては長身で、高さが足りない教壇に何十年も手をついているせいなのか、上半身はみごとな曲線を描いていた。黄金比スパイラルを、身をもって形成されていたのかもしれない。 さて、先生はいつも白っぽいシャツに紺色のニットのベストを重ね、グレーの背

          白いロングブーツ

          1年ほど前、このnoteで最初に書いたのが、白いショートブーツの話だった。 完全に理想どおりとは言えないものの、ほぼ理想的デザインで高価すぎず、足が痛くなったりしない1足を数ヶ月前にめでたく入手した。長らく探していたし、とても気に入っている。 さて、少し前から気になって探しているのはこれまた白いブーツで、今度は長い方である。ロングブーツ。黒とか茶色のブーツだと、スカートとのコントラストが強すぎることが増えてきたので、必要。 今季の流行りだった(らしい。デパートの靴売り場

          朱赤色の革の手ぶくろ

          ピンク色の服に合わせるべくオレンジ色のスカートを探しているのだけれど、なかなか見つけられない。欲しいものが具体的すぎるから、時間がかかるのはしかたない。 冬のセール初日。パリ左岸のデパートの服飾小物の売り場で、小さな人だかりを見つけた。 手袋がサイズ別に行儀よく箱に並べられているのを、4-5人が真剣に品定めの最中のようだ。そこに私もなんとなく加わってみた。 朱色に近いオレンジ色のスウェード革が目に入る。巷でよく見かける、熟したイチゴのような沈んだ赤色ではなく、神社の鳥居

          パレード用ミリタリーコート

          大学卒業後に勤めたデザイン事務所の影響(正確には、その事務所のクライアント企業のコーポレートカラーだったので、職場で目にしない日はなかった)で好きになった、特別な色がある。 パントーン色見本ではWarm Gray(ところで、Grayはアメリカで一般的な綴りで、Greyはイギリスで一般的な綴りだというのを最近になって知ったよ)と呼ばれる、暖色系グレーである。今では絵を描く時もレイアウトデザインをする時も、がんばって意識して避けないかぎりはついつい使ってしまう色。 その暖色グ

          モコモコでシュッとしたミュール

          たとえ用がなくても、なんなら遠回りになってもつい定期的に立ち寄ってしまう、パリ左岸の某デパート。 横目にディスプレイを眺めるだけで入店したことはない地上階の某高級店に、なんとも色鮮やかなオブジェがある。どうやら2色展開で、それぞれが同じくらいの華やかさでお互いを引き立て合っている。アイドルのデュオ歌手みたいに。 ...か、かわいいっ! 不意にしばらく立ち止まってしまった。カッと見開いた目を下方に向け店頭でフリーズするマスク姿の私、あらためて想像すると相当こわいな。 顔

          豹の威を借るレインコート

          じつは2枚も持っている、でも見かけるとついまた欲しくなる。それはレオパード柄、もといヒョウ柄のレインコート。 ところで、ヒョウ柄。 柄の大きさと配色とコントラストが肝心なのはもちろん、プリントされる生地の質感もかなり重要である。 あまりにマットな生地だと、せっかくの柄に陰影も表情もつかなくて安っぽい。 かといってビニールみたいにツヤツヤすぎると反射が柄に勝ち過ぎるし、品がなくなる。動くと微妙にツヤがあるかな、くらいが私の理想の質感である。 その点、1970年代あたりの