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豹の威を借るレインコート

じつは2枚も持っている、でも見かけるとついまた欲しくなる。それはレオパード柄、もといヒョウ柄のレインコート。

ところで、ヒョウ柄。
柄の大きさと配色とコントラストが肝心なのはもちろん、プリントされる生地の質感もかなり重要である。

あまりにマットな生地だと、せっかくの柄に陰影も表情もつかなくて安っぽい。

かといってビニールみたいにツヤツヤすぎると反射が柄に勝ち過ぎるし、品がなくなる。動くと微妙にツヤがあるかな、くらいが私の理想の質感である。

その点、1970年代あたりのポリアミド地は絶妙だ。当時としては最高の技術で製造されたんだろうけど、現代のそれに比して織り組織の緻密さも撥水性もイマイチ。艶も出したかったのか出したくなかったのか、どっちつかずの感じ。

その曖昧な質感のテキスタイルにヒョウ柄が載ると、プリントがいい具合に「とぼける」のだ。脇役キャラのヒョウ柄、と言えばいいだろうか。キレがないので主役にも悪役にも向かないが、脇役に最適な存在感。

雨の日は憂鬱だ。傘を差すから手が塞がるし、濡れた状態の傘をいちいち畳んだり広げたり忙しいし、足元は悪いし。水濡れに弱いシルクのシャツとかは怖くて着られないし。

でもヒョウ柄のレインコートを纏えば万事解決。たちまちパワーが漲って、虎の威を借る狐ならぬ、豹の威を借る私の完成だ。

ヒョウになったと思えば、大抵のことは乗り切れる。

ただでさえ狭い歩道に大きな水溜りがあっても、身軽なヒョウなので平気。傘の骨が突然折れても、野生のヒョウなので平気。前を歩く人が泥水を後ろに跳ね上げていたら... 短気なヒョウなので襲い掛かろうと思う。

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