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だけど、良い日。(後編)

 あっついんだかさむいんだか。どうも、コーシです。

 運のない出来事が次々と起こる日、通称”ダメ日”を過ごしているコーシ。千円札が返金されなかったり、雨でジーパンが履けなかったり、渋滞から抜けたと思ったらさらに事故渋滞だったり、胃もたれを引き起こしたり。
 しかし暇な時間に映画「パルプ・フィクション」を見ることにより、気分を落とさずに大学を乗り切ったコーシ。さすがダメ日を乗り切るプロである。
 そしてこれから私は失恋した親友ともんじゃを食べに行く。

 集合場所へ、どんな顔をして親友と会えば良いか想像しなら車を走らせる。渋滞に次ぐ渋滞。今日1日を通して60km/hを出した記憶がない。
 なんとか月島まで車を走らせる。

 月島のもんじゃストリート。この雰囲気は嫌いじゃない。町全体が”もんじゃランド”みたいでワクワクする。

 集合するためにもんじゃストリートからは少し離れた場所を歩いていると、目の腫れた男が向こうからやってきた。暗いしまだちょっと遠いから顔なんてわからないが、雰囲気で目が腫れているのが分かる
 ただ彼は大人だ。笑顔で「いきなりすみませんね。」と私に言った。一安心する。

 ギリギリ雨も止んでゆっくりともんじゃストリートを歩く。
 単純に、親友と会えるのは嬉しい。親友と会話ができることが嬉しい。会話のテンポとか、流れとか、そう言ったものがマッチするのが親友だと思っている。
 適当なもんじゃ屋さんに入り、2階に通された。傘を傘立てに置き、席に着く。

 今日もんじゃ屋さんに来たのは彼のご所望である。なんでも、私が作るもんじゃを食べると良いことがあるらしい

え、なにそのロマンの無い貢献の仕方。なんかもっとオシャレな運のばら撒き方を身につけたかった。パスタとか作って運をもたらしたかった。

 もんじゃとお好み焼きと焼きそばを一つずつ注文すると驚くスピードで全品が運ばれてきた。もんじゃサイドから「ほれ!運ばら撒け!」と言われているかの様な。。

 もんじゃを焼き始める。
 やはり親友。会話が止まらない。嬉しいのは会話が一歩的じゃないことだ。最近、聞き役に徹することが多い。みんな、話を聞いてほしいんだろうけど、もうちょい会話のキャッチボールがしたい。
 久々の”会話”を楽しむ。まぁもちろん内容は寂しいものだが、場の雰囲気は明るかった。

 もんじゃが完成する。
 明るく振る舞ってくれている彼だが、今日初めてのご飯らしい。尋常じゃないスピードでもんじゃが消えていく。火傷を心配するスピードだった。

 大学生活の話。高校生の時の話。今後の話。
 等身大で会話できる親友と過ごす時間はあっという間で、お好み焼きも焼きそばもすぐに平らげた。
 どちらも私が作った。料理が好きなので全然楽しめたが、なんだか運を吸い取られた気がしてならない

 少し話し足りないので、車で彼の最寄りまでドライブすることにした。
 お会計を済ませ、外に出る。ポツポツ雨。傘をパクられていた。そうだった。忘れていたが、今日はダメ日だ。行動を慎もう。
 駐車場まで歩きながらアイスを食べようと、コンビニに入店する。アイス用の冷凍コーナーが故障して、アイスが一つも売ってなかった

 こういうことである。ウケる。

 車に乗り込み、出発する。

 たった20分のドライブの間、私はすごく喋ってしまった。
 私は他人の不幸も自分の不幸も笑ってしまいたい人間だが、不幸から得てしまうネガティブなエネルギーを甘く見ることは決してない。
ポジティブなエネルギーは自分で得ようとしないと得れないくせに、ネガティブなエネルギーは生活を送るだけで得てしまう。不可避なのだ。
 そのネガティブなエネルギーをどのようなパワーに変換して消費するのか、これが人生で重要なことであり、その人の本質が見える部分だと信じている。

私は自ら不幸になろうとする人が好きじゃない。

 彼には、ネガティブなエネルギーを誤った方向に使って欲しくない。
 だから深く語ってしまった。

 彼の最寄りに到着した。「また今年中に会おう。」と約束し、私は1人車を発進させた。

 帰り道、シャッフル再生から椎名林檎の「人生は思い通り」が流れる。人生TOP5には入る大好きな歌。

”追掛ける眩しさと追越す寂しさよ くたびれた脚にこぞって絡まる闇”
”たった今この瞬間をつかまえたい 私たちは何時も行ったきり戻れない”

椎名林檎「人生は思い通り」

 駐車場、珍しく車庫入れがうまくいかない。

 帰宅する。長い1日だった。
 しかし私の1日はまだ終わらない。

 パルプ・フィクション最後の20分。こいつに今日を締めてもらおう。

 コーシ しそとツナ缶。
 Instagram @kohhhhhshi.f (アート投稿中!)
 Twitter @kohhhhhshi_f

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