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日記

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まいにちのなかで感じたこと思ったことの記録
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#エッセイ

日々

日々

街のまんなかはがらんどうで、人も少なく活気がない。

久々に通りがかったお気に入りのお店はつぶれて閉店していた。見上げた空には雲がずっしりと並んでいる。心なしか吸い込む空気も少し薄くなったような、全体的に淡いような。

透明になってしまったお店の数々が歩くたびに目に入り、この現実を突きつけられる。私たちの毎日に少しずつ追加されていく、あたらしい日常。

「もうお客さんとはその話しかしていないですよ

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ぐん、と手を伸ばして外側の世界に触れること

ぐん、と手を伸ばして外側の世界に触れること

買い物に出かけたら、隣の本屋さんが久しぶりに開いていた。

本屋さんに立ち寄るのもとてつもなく久しぶりだった。コロナ以前から本の購入はすっかりオンラインばかりになっていて、読みたい本は指先でスライドし、ピンポイントで指名買いすることがほとんどだった。

ぼんやりと棚を眺めていると、パチンパチンと心の中でなにかが弾けていくのがわかった。
自分の好きなものや興味のあるもの、ここ最近漠然と考えていたこと

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波をつかまえようとする白くて小さな手

波をつかまえようとする白くて小さな手

子どもが眠る時間になっていつも、ああもう今日のこの子に会えなくなる、と思って寂しくなる。

だっこしてよー! とえんえん泣いたとき、もっと早く手を止めたらよかった。洗濯物なんて後回しにすればよかった。もっとたくさん絵本を読んだらよかった。もっと抱っこしてあげたらよかった。
なーんていつも思うのだけれど、たぶんどんなにやっても足りない。
どれだけ一緒に遊んでも抱きしめても、この時間になるともっと遊ん

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