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ボロ鉄瓶の再生①

どうも。こんにちは。
今回は鉄瓶の修理について。色々学びがあり面白かったので共有します。

前回noteを始めてどんどん書くぞ〜と思っていたけど、ぱったり更新できずでした。その後すぐに仕事で多忙を極め、12月には長年付き合った彼女と結婚をしました!めでたい。

しかしここ暫くはメンタル不調に陥り脱力していた。元々あまり精神に安定感のあるタイプではないけれど、精神的にかなり弱っている状態から仕事諸々で強い心理的負荷がかかる状態が一年半以上続き、じわじわと心の平常を失い、色々やり終えたところで完全に折れてしまった。精神不調の状態で何かやってもうまくいかないし、うまくいかないことで更に追い込まれるのでよくない。頭の中が散らかっていてやるべきことがわからず、やるべきことをやるエネルギーも無く、何か好きなことをしたくてもどうにも活動的になれないでいる。

色々連絡が滞ってしまっていたりレスポンスが悪かった方は本当に申し訳ないです。ここ最近は一時期よりかなり安定しています。早く元気になりたい。

前回書いた時も、何か逃げる場所を探すような思いで書いたと思う。何かを書くことに救いを求めているのかもしれない。最近は、何か手を動かして物を作ったりするフィジカルな作業が暮らしの中に足りないことも精神不調の数ある要因の一つなのではと思って手を動かす先を探している。

さて、前置きが長くなってしまったが、ここから本題に。

鉄瓶に学ぶ

鉄瓶が欲しくて長らく色々探していたところ、最近ヤフオクでイメージにぴったり合うものを見つけたので比較的安価に手に入れた。手に入れたはいいが、思ったよりもかなりひどい状態のもので、当初はマジで使いもんになる状態ではなかった。未だに使えるようにするために色々手をこまねいている。その作業につられて手を動かしたことが、結果的に最近の精神の安定の一助となっている気がする。

しかしなかなかに難しかった。インターネッツの大海をdigり情報のかけらを集めながら試行錯誤した過程をここに書き残しておきたいと思う。ヤフオクや骨董市で手に入るようなジャンク鉄瓶を再生して使いたいという奇特な人間はこの世に数限られるだろうが、こういうニッチ情報こそ共有していきたい。そして直接的に興味は無くとも「人間、やろうと思ったらなんでもなんとかできんねんな」くらいの感慨を抱いてもらえたら幸いだと思う。

カメラなり自転車なり、安く入手した中古品を自由に手を加えながら自分好みに再生して使うことは大変興味深く面白いが、今回もとても学びのある体験になった。日本古来の知識・素材の偉大さ、理化学的作用の面白さ、果ては日本古来の草木染めの技術にまで興味は広がっていく。

三ツ丸鉄瓶

まずここで今回手に入れた鉄瓶を紹介しておこう。

じゃん。

購入当初の鉄瓶。かなり侘びている。

絵に書いたような鉄瓶らしいデザインがとても気に入っている。装飾のない鋳肌の仕上げ、自然な張りのあるシルエット、少し小ぶりなサイズ感、のびやかなツル、本体と同じ鋳鉄製の蓋、シンプルな摘の形。ちょこんとついた注ぎ口の形も相当かわいい。(良い鉄瓶の注ぎ口は赤ちゃんのおちんちんみたいだなとよく思う。)内部には丸を三つ重ねたような文様が鋳込まれている。唯一の装飾?が見込みにあるというのもニクい。ここまで作為的な意匠や装飾性のない素朴なデザインの鉄瓶は骨董も現代の製品も合わせてもなかなか見つからない。どこをとってもちょうどいい感じがする。鉄瓶に関する骨董的な知識は皆無なので時代や産地はわからないが、佇まいを見るにそれなりに古そうに思う。

外側は致命的なダメージもなくきれい。しかし問題はこの内側である。

赤錆だらけの内部。底に三ツ丸。何の文様なのだろう。

ご覧の通りガッビガビに錆びている。元々「内側に錆あり」との記載があり写真も見ていたので状態は承知していたが、鉄瓶クラスタのみなさんが口をそろえて言う「鉄瓶は錆びるもの。錆びても問題なし。茶ガラを煮込めばよい。」との言説をホイホイ信じて購入に踏み切った。茶ガラを煮込む意味は不明である。しかし現物は画像から得られた印象の10倍くらいひどく、沸かした湯はほうじ茶並に茶色いし、それからは生魚のような臭いがする。生臭さというものの正体は血液に含まれる鉄分の臭いなのだと実感した。そもそも湯を沸かす以前に腐食はかなり進んでいて、少し触ると錆がポロポロと剥がれていく始末である。これでは問題があると言わざるを得ない。

これを修理しようにも、ここまでの状態の鉄瓶メンテ情報はなかなかない。「よほど酷ければ修理に出しましょう」の域であり、一般的に自力でどうにかしている人はなかなかいなさそうだ。正直これはもう無理かもと諦めかけたが、おそらく100年以上は前の品であろうこの美しい道具を無下にすることはできない。昔の工人が工夫を重ね、手間をかけた素晴らしい仕事をこの先の世界に引き継ぐことは圧倒的に正しいことだと信じている。ヤフオクとはいえ、私の手元に辿り着いたのも何かの縁なので、やってみよう。

鉄瓶修理の方法

較的アクセスしやすい鉄瓶のメンテナンス・修理情報は大別して2種類ある。

①鉄瓶のメーカー、茶道具商、その他小売店が提供する一般向けのメンテナンス案内
これは主に新品の鉄瓶を買って使用していく中で発生する程度の軽度な修理については言及されている。今回のように骨董ジャンク品として入手した鉄瓶にあるような激しいサビの再生についてはカバーされていない。
取られる手法はとてもマイルド。
・茶殻を煮る
・ひたすら湯を沸かして湯垢をつける
・普段は絶対にNGだけど酷ければ棕梠たわしでやさしくサビを落とす

②ハードDIYerたちのやってみた的YouTube動画
この方々は私のものよりも酷い状態のものも果敢に修理している場合もあり、非常に参考にさせていただいた。しかし設備・環境的に再現できない部分も多い。流石に大阪のど真ん中の狭い賃貸マンションで鉄瓶を赤くなるまで熱して冷水にジュウみたいなやり方は現実的に難しい。ある程度専門的な知識の元にやらないと狙った効果が得られなそうだ。致命的なダメージを与えてしまうリスクも高い。
取られる手法は非常にワイルド。
・空焼きして表面のサビを焼き切る
・ワイヤーブラシ、ステンレスたわし、グラインダーなどでサビを落とす
・数十分空焼きし続け十分加熱して、冷水で急冷する
・油を塗ってガスバーナーの炎を十分当て、油分を飛ばす
・穴が開けば漆と鉄粉を混ぜて埋める
・鉄瓶を空焼きして漆を焼き付ける
・鉄瓶全体が浸かる鍋で緑茶と一緒に煮込む
などなど。

とにかく共通することはサビを落として茶殻を煮ればいいということである。
茶殻?はあ?何のおまじないやねん、とはじめは思っていたが、これは科学的に明確な意味にある対処だった。まずは教科書通りのやり方から始めてみよう。

さて、実作業までの前置きが長くなってしまった。色々試してもう一息というところまできている。絶賛進行中なのでプロセスを記録していきます。
本当に常用に耐えうるレベルにまで自力で直せるのか?次回に続く!

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