「男の子だってお姫様になれる!」ーー東京新聞の特集に子ども文化を学ぶ

▼1年の終わりには様々な分野で回顧する特集が組まれるが、2018年の各紙の特集で興味深かったのは2018年12月29日付の東京新聞に載った「子どもの2018」だった。

こどもに関するニュースを年表にしており、これは他になかった。

▼最大のニュースは船戸結愛(ゆあ)ちゃんが児童虐待で亡くなった事件だった。これについては稿を改める。

▼東京新聞の特集は、それ以外のたとえば文化のニュースにも目配りがきいていて、貴重な特集だったと思う。そういえば「小学生のランドセルが重すぎる」という問題もあった。

以下の4つの話題がクローズアップされていた。

1 おむつ持ち帰り問題

2 「アルミホイル玉」人気に

3 ブロック塀倒れ女児死亡

4 「男の子のプリキュア」話題

▼このうち、4の「男の子のプリキュア」話題が取り上げられたのが珍しい。

〈12月 少女が戦士になって活躍する人気アニメ「プリキュア」に「男の子のプリキュアが登場した」とネットで話題に〉

〈自分の可能性をあきらめそうになった少年が、主人公の少女たちに励まされて変身し、希望を取り戻すー。少女たちが戦士になって活躍する人気アニメ「HUG(はぐ)っと!プリキュア」(ABCテレビ・テレビ朝日系日曜午前8時半)の12月2日放送の回を巡り、ネットで「男の子のプリキュアが登場し、時代の流れやジェンダー(社会、文化的につくられた性差)にとらわれないストーリーだ」と話題になりました。

 番組ではそれまでも「男の子だってお姫様になれる!」などのせりふが反響を呼んでいました。〉

▼筆者はこの番組を見ていなかったのだが、去年の12月になる前、たまたまヨーロッパ出身の友人と昼食を一緒に食べた時、彼はそばを食べながら目をキラキラさせて「少し前のプリキュアは神回だった」「最近のプリキュアは神回が多い」と熱く語っていたことで知った。彼は日本のアニメ大好き人間。プリキュアには国境を超える普遍性があるのだと感じた。

アニメは社会風俗の鏡でもある。それはときには無意識を映し出す鏡にもなる。このプリキュアの番組を知って筆者は素敵なことだと感じたが、生きる希望を持った人もいるだろうし、とても不愉快に思う人もいるだろう。

マスメディアではあまり報道しないが、ネットでは大きな話題になっている話題がたくさんある。それらのなかには、東京新聞などのブロック紙にとどまらず、もっと光を当てて広く共有されれば社会が豊かになる芸術作品がたくさんあると思う。

(2019年1月17日)

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