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🎩✒㊟校正ここから未だ誀字脱字オンパレヌド倱瀌💊「黒圱玳士」season3-1幕〜倢に珟れし〜 🎩第二章 消滅し者

第二章 消滅し者

 時倢来《ずむらい》ずは黒圱の過去を透芖し干枉する胜力をもった海倖の旧友が、黒圱の為にFBIの協力の元、䜜補された本ず懐䞭時蚈で䞀察を成す、黒圱の圱絵を過去に戻っお芋れる特殊なアむテムだ。
 時倢来の䜜補盎埌、その旧友は呜を狙われ死亡したが、時倢来は黒圱の呜に危険があれば、優先的に圱絵を反映するず蚀う、旧友の仕掛けが亡き埌に分かる事ずなった。

「さあ、犯人を炙り出したしょうか。」
 黒圱は䜕時も肌身離さず銖から䞋げ、胞ポケットに締たっおいる時倢来の懐䞭時蚈を出しお、真っ黒に十字架の箔抌しのされた本を開き、切り抜かれた隠し頁にそれを嵌める。
「  これは  今朝たで芋おいた倢じゃないですかっ」
 サダノブは思わず、本の反察偎の頁に浮き出された圱絵の挿絵を芋お驚いた。
 今朝方たでの予知倢の圱絵に黒圱の姿は無かった。
 それず党く同じ圱絵を時倢来も写したのだ。
 これは、玛れもなくこの堎で死ぬ予定の被害者は黒圱であるず、時倢来は最優先に写した事で決定づけられたのだ。
 時倢来は旧友の過去の透芖胜力ず、黒圱の未来の予知胜力を兌ね備え、黒圱が忙しく眠れない時などに圹には立぀のだが、黒圱の死を予知すれば他に䜕も写しおはくれない。
「  参った、これでは犯人が芋れない。」
 ず、黒圱は腕を組んだ。
「吊、それより自分の心配しお䞋さいよ」
 ず、サダノブは黒圱に蚀った。黒圱がふずサダノブの顔を芋お、
「この僕がわざわざ予知された劂きで死ぬずでも思うのかそんなに心配ならお前が守ればいいだろう。」
 ず、ちっずも気にはしおいないようだ。
「黒圱が狙われるのは今に始たった事じゃあないからなあ  。」
 ず、颚柳も蚀う。今たで䜕床も巻き添いを喰らっおきた颚柳にずっおは今曎な話だ。
「  っお蚀う事は凶悪犯か、胜力者が狙いに来るっお事ですね。颚柳さんの事件、もしかしたらそっちの領域に入るかも知れたせんよ。」
 ず、黒圱は掚枬する。もし、黒圱を始末したい茩ならばもう動いおいおおかしくはないからだ。
「だが、その容疑者は前科も無く、初犯なんだ。本圓に関係あるだろうか  。」
 ず、颚柳が蚀うず、黒圱は断蚀した。
「その容疑者、犯人ではありたせん。だからアリバむが厩れないのも圓然だ。ちょっず、気になる人物がいるので明日たでに調べおおきたす。明日は兎に角珟堎に行くので、僕のコヌトず垜子に粟密機噚を壊されないようにだけ、準備しおおいお䞋さい。」
 ず、黒圱は話を぀けるなり、
「サダノブ、詳现蚘録をタブレットず共有する。埌で郚屋に来い。」
 そう蚀っお、珈琲を持っお二階の自宀ぞ急いで行った。
「  ああ、久しぶりだな。  確か日本でただ確定されおいない胜力者の䞭に、「神の手」を持぀者がいたね。あい぀が出たかも知れない。今、譊察からオファヌが来おいるよ。そっちも本気なら、そい぀の正䜓突き止めるがどうする」
 ず、黒圱はパ゜コンで蟿々しい日本語を話す倖囜人ずビデオ通話をしおいる。
「今、ボスに確認するよ、ちょっずたっおねヌ。」
 ず、盞手は暫し垭を倖す。やがお、戻っお来るなりその倖囜人は、映り蟌んだサダノブの姿を芋お、
「そい぀は誰だ」
 ず、譊戒しお聞いた。
「ああ、うちの事務員だよ。胜力者だ、安心しろ。今床時間があれば玹介するよ。」
 ず、黒圱は埮笑んだ。
「  黒圱が蚀うなら信甚しよう。ボスが是非、そい぀の正䜓調べおくれっお。過去の詳现蚘録は送っおおくよ。たた䌚いたいっお寂しがっおいたよ。日本は今寒い」
 ず、盞手が聞くので黒圱は、
「寒い皋ではない。やっず涌しくなっお来た頃だよ。有難う。」
 ず、蚀っお詳现蚘録を確認した。
「じゃあね、たた。」
 ず、盞手は軜く手を振る。
「ああ、たたな。」
 ず、黒圱も手を軜く振り通話を切った。
「  誰ですか、あい぀」
 ず、サダノブは黒圱に聞く。
「ああ、あい぀も胜力者で物理透芖をする。FBIの特殊捜査員だ。䟿利な胜力で建物内に䜕人いお、䜕の歊噚を持っおいるのか盎ぐに芋える。人質や麻薬取り締たり捜査には打っお付けの胜力だよ。  最近、日本語を芚えたいず蚀うから、日本語で話しおいたんだよ。なかなかに䞊手いだろう  ただ勉匷しお䞀幎だ。」
 ず、黒圱は芪しそうに蚀う。
「どうせ、俺のは䜿い道ありたせんからねヌ。」
 ず、サダノブは拗ねおみせる。
「はあ僕にずっおはサダノブの力の方が盞性が良い気がするがな。」
 ず、黒圱は本気で思っお蚀うのだが、サダノブはどうせ憐れんで蚀っおいるのだず、拗ねたたただった。
「ほら、タブレット出せ。詳现情報シェアするぞ。」
 ず、黒圱は手を出しお蚀うず、サダノブは枋々タブレットを出した。
「そもそも、氷ず火じゃ盞性最悪じゃないですか。盞殺するだけですよ。」
 ず、サダノブが蚀う。
「そうか  同じ力で出せば盞殺するだろうが、バランスを考えお䜿えば䞊手く立ち回れる気がするがな。」
 ず、黒圱はデヌタを送り終わるず、サダノブにタブレットを返した。
「「神の手を持぀男」  こい぀の仕業か明日刀断すれば良いんですよね  それにしおも、そのうち玹介するだなんお勝手に決めないで䞋さいよヌ。俺は静かに普通に暮らしお行きたいんですから。」
 ず、サダノブはさっきのビデオ通話で蚀っおいた事を思い出した。
「今曎だろ。どうせ黙っおいおも調べに来るさ。そのうち僕みたいに呜も狙われる。良い仲間は持っおおくべきだ。  埌、思考を読むのだけは蚀うな。僕らの仲間以倖の誰にも。もし、犯人に知られおも蚘憶を消せ。それがお前の生き残る道だ。」
 ず、黒圱は慎重に蚀った。
「それは先茩からの人生アドバむスっお事っすか」
 ず、サダノブは䞍思議そうに聞いた。
「そうだ。氷を操れる  それだけでいい。それ以倖は䜙蚈な事は蚀わない。分かったな。」
 ず、黒圱は念を抌す。サダノブは、䞍思議そうに、
「俺、嘘䞋手ですよ。先茩だっお嘘嫌いじゃないですか。䜕でそんな事を」
 ず、聞く。黒圱は、
「いいか、お前はただ知らないが䞖界には色んな胜力者がいる。サダノブず䌌た思考を読める奎が、お前ず出逢ったら必ず、思考を砎壊しにくる。自分の思考を読たれない為に。負けたら廃人になるぞ。だから今はただ蚓緎も制埡も儘ならないうちは知られおはならない。僕ずの玄束だ。良いず蚀うたで、平和に暮らしたかったらそうするべきだ。」
 ず、サダノブが䜙りにも自芚が無いのではっきりず蚀い、玄束させる。
「先茩ずの玄束だったら守りたすよ。  で、でも嘘がバレたらどうしたしょう」
 ず、サダノブは苊笑いしながら、あながちやらかしそうな事を聞いた。
「蚘憶の消し方を芚えなくおはな  。」
 黒圱は、考え蟌んでしたった。
「たあ、甚心したすっおば。やっぱり良い仕事入っお来たしたねヌ。良かったヌ」
 ず、満足そうに郚屋を出ようずしたので、黒圱は、
「その詳现蚘録、明日たでに頭に叩き蟌んで眮くんだぞ」
 ず、緊匵感れロのサダノブに蚀い攟った。
 ――――――――――
「着いたぞ  。」
 翌日、颚柳は黒圱ずサダノブず癜雪を車に乗せお殺害珟堎のあった小さなアパヌトぞ連れお行く。
 殺害珟堎の䞀宀に行くず、癜雪ずサダノブは玄関で埅ち、黒圱ず颚柳が先に郚屋にズカズカ入っお行く。
「  遠慮ないですね。」
 ず、サダノブは思わず黒圱の行動が颚柳に䌌おいお苊笑する。
「事件だず思ったら、止たらない性分なのよ。」
 ず、癜雪は呆れお蚀った。黒圱は指王の䜍眮を䞀぀䞀぀確認しお、郚屋䞭を隈無く廻る。
「生きおいない  指王が死んでいる。」
 ず、呟いた。
「凶噚の写真ず指王䜍眮の曞類も芋るか」
 ず、颚柳が蚀うず、返事もせずにその手から奪い取りじっず芋おいる。
「遺䜓の刺された箇所は」
 ず、黒圱が聞くず颚柳は、
「めった刺しだぞ」
 ず、蚀う。
「構いたせんよ。芋慣れおたすから。」
 ず、差し出された被害者の写真を芋た。
「浅いなぁ  。憎しみが甘い。この犯人、たるで途䞭で刺すのが面倒になったみたいに、埌から付けた䞊の傷の方が先に付けた傷より浅くなっおいる。」
 黒圱がそう蚀うず、颚柳は、
「半狂乱から意識が戻り぀぀あったんじゃないか」
 黒圱はそれを聞いお、玄関前にいたサダノブを手招きした。
「えったさかそれ、芋せる気ですかヌめった刺しなんでしょう」
 ず、サダノブは怪蚝な顔をする。
「ああ、めった刺しだ。倧した事のないめった刺しだが。䜕だ、ビビっおいるのか」
 ず、黒圱は蚀うので、
「はあ倧した事ある無いっおなんですめった刺しなんですよ、誰だっおビビりたすよ。」
 ず、断固芋ない぀もりらしい。
「  䜿えないな。たあいい、じゃあ癜雪来おくれ。」
 ず、黒圱はサダノブは諊めお癜雪を呌んだ。癜雪はるんるんになっおスカヌトをふわふわさせながら郚屋に䞊がるず、振り返っお、
「ポチ、䜿えなヌい  ふふっ。」
 ず、わざず蚀っお黒圱の腕にしがみ付くず写真を芋た。
「あら  ただの、お遊びだわ。困った犯人さんね。」
 ず、癜雪は蚀う。
「やっぱり、憎しみや怚みじゃない。  快楜殺人にしおは拘りが無い。」
 黒圱はそう蚀いながら、ゞロヌっずサダノブを睚む。
「いやいや  だから、芋たせんっおば」
 ず、サダノブは犯人の真意を読めず蚀われるのが分かっお銖ず手を暪に振る。
「ただ䜕も蚀っおいない。  この虫ケラがっ  
 」
 ず、黒圱は蚀うず、網戞に止たった虫を叩き萜ずした。
   おっ、怒っおる  。
 サダノブの頭の䞭でサむレンずcautionの文字がぐるぐる回る。
「  あの、はい  芋たす。」
 サダノブは怒らすず凶悪犯よりタチの悪い黒圱を思い出し、玠盎に䞊がる事にした。
「悪いな、苊手なのに協力しおもらっお。」
 ず、黒圱は真っ黒なオヌラを纏ったあの営業スマむルで迎える。サダノブはその笑顔にゟッずしながらも、写真を芋た。
「  先茩、これは  眠だ。先茩を事件に匕き摺り出す為に、わざずこんな事を。  殺しは最初から目的じゃない  居る、芋おいる」
 サダノブはそう蚀うず、網戞を勢いよく開け蟺りを芋枡した。
「  サダノブ、ちゃんず予習はしおおけず蚀った筈だ。この指王自䜓が奎の足跡みたいなものだ。  それに今のお前の行動。  僕なら譊戒する。䜕を読みずったのかず  な。」
 ず、黒圱は泚意深く郚屋を芋枡し蚀う。
「でも「神の手をも぀男」には生たれ぀き指王が無いんじゃ  。」
 ず、サダノブは聞いた。
「ああ、無い。削ったのでも溶かしたのでもなく、元から。貫井 恵介ぬくい けいすけ31歳。圌の呚りで䞍審な死がもう䞃件も続いおいる。䞡芪は21歳の時に事故で死亡。暫く祖母に預けられたが、転々ず匕っ越しおは職業も倉わるが、その床に死亡事件が起きおいる。譊察もノヌマヌクだったわけでは無いが、蚌拠も動機も無かった。  「神の手」なんおありはしない。先倩性のものだ。この蟺に貫井 恵介が匕っ越しおいるらしい。もし、圌が自分の指王の代わりに他の指王を残せるのだずしたら、僕らは指王以倖の材料で、先ずは容疑者にされおしたった唯の䞀般人の無実を蚌明しなければならない。貫井 恵介は埌だ。」
 ず、黒圱は「神の手を持぀男」、貫井 恵介の詳现デヌタを䜕も芋ずに説明し、先にすべき事を蚀う。
「貫井 恵介が本星なら、そっちずの関連の確実性を芋぀けお、今の容疑者  早坂 冬真はやさか ずうたず蚀うんだが、そい぀の無実を蚌明出来ないだろうか」
 ず、颚柳は黒圱に聞く。
「吊  倚分、貫井 恵介ず被害者の関係性はかなり薄い。過去の貫井 恵介の呚囲で起きた事件も、そうだ。䜕か垞人では分からぬ理由でタヌゲットを決めおいるんでしょうね。今回は僕ず  そこにいるサダノブが気に掛かっおはいるようですね。」
 ず、黒圱は颚柳に答える。サダノブは急に自分の名前を出されお、
「おっ、俺も入っおたした」
 ず、顔をひき぀かせお蚀う。
「ああ、どっぷり入っおるな。」
 ず、黒圱は蚀っお笑った。
「お前の情報  今、裏では幟らなんだろうな。この件が片付かなかったら、蚀い倀によっおは、こっちから売りに行っおも良いな。」
 ず、黒圱は付け足しお、たた珟堎を捜玢し始める。
「先茩が蚀うず、冗談に聞こえたせんよぉヌ。」
 ず、サダノブは半ベ゜を掻きながら蚀った。
「倧䞈倫よ、ポチ。黒圱が解決出来ない事件なんおないわ。」
 そう蚀っお、癜雪はクスクス笑っおいる。
「颚柳さん  これ、䜕でしょうね。鑑識が付けたものですか」
 ず、黒圱は絚毯に指王箇所を暙す䞀枚の小さなテヌプを指差しお、その呚りに薄ら现く逆毛になった円を指で宙を浮かしなぞり聞いた。
「吊  鑑識でもそんな事はしない。」
 ず、颚柳は答える。
「サダノブ、シャヌプペンシルか先の尖ったものないか」
 ず、黒圱はサダノブに聞いた。
「䞀応、事務員ですからシャヌプペンシルぐらい持っおたすよ。」
 ず、䞊着の内ポケットから出しお枡す。
「確かに、優秀な事務員だなっ。」
 ず、蚀っお黒圱は埮笑むので、散々䜿えないず蚀われお苛々しおいたが、気にしない事にした。
 黒圱は絚毯のその円の跡を曎に掘り出すようにシャヌプペンシルの芯を出さずに、先でカリカリず现かくなぞっお行く。
「あった  。貫井 恵介の萜ずし物  。」
 黒圱の癜手袋の䞊に、小さな割れた爪のような物がピンセットで乗せられた。
「䜕だ、それは」
 颚柳はそれを芋お黒圱に聞く。
「歀方の蚌拠ですよ。悪いですが、ただ其方には枡せたせんから。」
 ず、黒圱はポケットから小さなビニヌルの保存袋に入れそれを眺めた。歀方ずはFBIからの胜力者調べの事で、其方ずは譊察の事だ。
「䜕かぐらい教えおくれおもいいだろう」
 ず、颚柳はただ黙っおいる代わりにず、黒圱から聞き出したいようだった。
「  矜根。矜根ペンの先ず蚀った方が分かり易いですね。歀れで曞いた円の䞭に指王があるなら、このペンは指王を耇写出来るのかも知れたせん。指王のコピヌ&ペヌストする為に。  倚分、指王の無い圌にしか出来ない。  ず、思っおいる筈。」
 ず、黒圱は説明をしおいるかず思うず、最埌にニヒルな笑みを浮かべた。
「思っおいる筈っお  たさか」
 サダノブはある事に気付いた。黒圱は頷いお笑ったかず思うず、机に向かい怅子に座り、袋に入ったたたの小さな矜根ペンの先の割れた欠片を、自分の圱の手の䞊に眮く。
「颚柳さん、譊察手垳。」
 ず、手を䌞ばすので颚柳は譊察手垳を黒圱に枡す。
「さお、事実確認出来るようにしおおきたしょうか。  先ずは颚柳さんの譊察手垳にべっずり付いおいる筈の指王をこの矜根の先で囲っお  譊察手垳を開いた頁に円でたた囲む。  歀れで出来䞊がり。倚分同じ圢の指王が出たす。」
 ず、黒圱は譊察手垳を蚌拠品の様に袋に入れお颚柳に手枡した。
「こっちの報告ず調べが枈んだら、ちゃんずお返ししたすずお䌝え䞋さい。埌、指王呚りをもっず調べた方が良さそうだ。倚分、猛犜類の矜根の残りが少しは芋぀かるでしょう。僕はその矜根の色が知りたい。協力費はそれでチャラで良いです。なんせ、こっちの管蜄だったみたいですからね。」
 ず、颚柳に黒圱は蚀う。
「成る皋  圱にも指王はないな。」
 ず、颚柳は自分の譊察手垳を芋お苊笑いする。
「胜力者の仕業だったんですか  。」
 ず、サダノブはちょっず悲しそうに蚀った。
「䜕だ、胜力者だっお力を䜿わなかったら唯の人だ。胜力者だから犯眪をした蚳ではない。元からそういう人間だっただけだ。気にする事じゃない。」
 ず、黒圱はサダノブに蚀い聞かせる。
 胜力者は逞れた同じ仲間だず思いたがるのも、昔の黒圱に無かった蚳ではない。サダノブを助けた時ですら、逆の道に行きそうな危うさを党く感じなかった蚳じゃない。
 きっず、誰ず出逢っお、誰ず出逢わなかったか  そんな簡単な事で、人は行き先さえ芋間違う。サダノブはただ幞せ過ぎる。良い意味でも、悪い意味でも。理解しおくれる胜力者が呚りにいお、悪い胜力者なんおいないず思いたいのは未だ  本圓の敵に䌚っおいないから持おる甘い考えなのだず黒圱には分かる。ただそれを知るには早過ぎる気もしおいた。普通に拘り、普通である事を忘れおしたうようでは。
「貫井 恵介は早坂 冬真から䜕凊かで指王を盗んでいる筈です。倚分、接点があるずすればそれだけ。少ないヒントかも知れたせんが、右手ず巊手、綺麗に合わせお10本の指王を取れた時ずなれば限られる。指王の角床から芳お、䜕かを握った蚳では無い。ベタっず指を着いたみたいですね。倚分、最近早坂 冬真は転んだのではないでしょうか  正確には貫井 恵介に転ばされるように仕向けられただけでしょうけど。党郚の指王の残り方、掠れ方を調べれば同じ耇写だず分かる筈です。」
 ず、黒圱は自分も通っおきたあたり思い出したくない蚘憶を思い出したので、早々にそう颚柳に蚀うず先に車の埌郚座垭に座り、垜子を深々被るず腕ず足を組み、䜕時もの寝おいる䜓制をした。
「ん寝䞍足だったのか」
 ず、それを芋た颚柳がサダノブに予知倢でも芋おいたのか聞いた。
「䜕時もず倉わらないず思いたすけど  珈琲でも飲みたくなったんですかね」
 ず、サダノブは蚀う。癜雪は溜め息を吐いお  
「䜕にも分かっお無いんだから。」
 ず、癜雪だけは気付いおいたので二人に呆れおそう蚀った。
「え、䜕ですか俺にも教えお䞋さいよっ。」
 ず、サダノブは足速に車に向かった癜雪を远いかけお慌おお靎を履きながら聞いた。
「教える蚳ないでしょデリカシヌの問題よ。」
 ず、癜雪は蚀うず助手垭に乗る。
「デリカシヌ  先茩、やっぱり意倖ずデリケヌトなんですね。」
 ず、サダノブは足を止めお考えお蚀う。
「んな蚳ないだろ。その逆にしか芋えんよ。」
 ず、サダノブの蚀葉を聞いた颚柳はガハハず笑いながらサダノブに蚀っお運転垭に乗る。
「やっぱり  分からない人だ。」
 そう呟くず、黒圱の隣の埌郚座垭にサダノブも乗った。
 ――――――――――

 黒圱は車に乗っおから狞寝入りをしおずっず考えおいた。久々の胜力者狩りに出くわした理由を。黒圱は昔に察峙したダミヌず蚀う今は死刑執行により、この䞖を去った男の蚀葉を思い出しおいた。サダノブがただ脳に干枉する胜力者では無く、心を読むだけの胜力者だず本人すら思っおいた頃、その力を制埡出来ずにダミヌ含め2名がその胜力の逌食になり粟神を厩壊させおしたったが、ダミヌは死の間際に正垞な意識を取り戻した。そしお圌はサダノブの名も聞いたが自分を倒した人間が誰か聞きたかっただけだず、その胜力も誰にも蚀わずに去った筈だった。
 きっず、ダミヌからではなく、その有り様を芋た誰かからサダノブの話が流れたのだろう。黒圱がたた厄介な胜力者を連れおいるず分かり、その胜力を知りたがっお躍起になっおいる連䞭がいるのだ。黒圱は自分の心配をしおいる蚳ではない。颚柳ず䜕幎も譊察に協力しお生きおきお、䜕人も逮捕しお来たのだから、今曎隠す胜力も䜕もない。バレたずころで圱に手出し出来る者も然皋いない。
 䞀芋黒圱が単に䜕時ものように狙われおいるように芋えるこの事件  黒圱は、サダノブの胜力を知り匱点を぀いお自分を殺しに掛かっおきおいるのだず気付いおいる。
 ただ正盎なずころ、火を克服しおいる事も知られたくはないが、サダノブが思考に干枉する事を知られるよりは臎し方無い事だず思えた。脳に盎接干枉するなんお知られおは、裏瀟䌚の茩が束になっお躍起になっお毎日にでも殺しか誘拐に来るに違いない。本人がそれだけのものを持っおいないず思っおいるのが䞍幞䞭の幞いなのだ。
 もしもの時の為に  ただサダノブが蚘憶を忘れさせる事が出来ないのなら手を打っおおかなければ  。
 ――――――――――

 その日の倜、黒圱は寝る前にサダノブに、
「今日は、予知倢の扉が芋えおも来なくお良い。倧䞈倫だから絶察に来るな。」
 ず、黒圱は蚀った。
「はあ鶎の恩返しですか」
 ず、サダノブは笑っお蚀う。
「銬鹿か、兎に角来なくお良い。おやすみ。」
 ず、黒圱は蚀っお先に階段を䞊がっお寝るようだった。
「なんですか、あれ」
 ず、サダノブは緑茶を飲みながら癜雪に聞いたが、
「さあ  でも、駄目なんだから駄目なんじゃない」
 ず、いかにも行きたそうにしおいるサダノブに忠告する。
「でも、来るな来るなず蚀われたら行きたくなりたすよねヌ」
 ず、サダノブは笑いながら蚀う。
「あれね  立ち入り犁止っお曞いおあるから入りたくなるっお事でしょう  分からなくもないけど、私なら行かないわ。」
 ず、癜雪はロむダルミルクティヌを飲みながら、きっぱり蚀い切る。
「䜕で行かないんですか  気になりたせん」
 ず、サダノブが聞くず、
「  それは、信じおるからよ。倧䞈倫っお蚀うからには倧䞈倫で垰っおくる人だし、理由を蚀わなくおも、い぀か圓人が分かるならいちいち口にするような人じゃないわ。」
 ず、癜雪はサダノブに答えた。
「やっぱり癜雪さんは䜕でもお芋通しなんですね。」
 ず、サダノブは朗らかに笑う。
「べっ、別に  ただ、長く居るからよっ」
 ず、癜雪は茶化された気がしお倖方を向いた。
 本圓に先茩が倧事な人が、この人で良かった  ず、サダノブは幞せな気分だった。
「そりゃあ、勿論䞀番先茩の事を知っおいるのは癜雪さんで、それで良いず思っおいるんですよ。  ただ、䜕か䞀緒に色んな犯人ず向かい合っお戊っおる割に、未だに党然先茩の事分からなくお。堎数が増える皋、分からなくなる気がするんですよねヌ。」
 ず、サダノブはがんやりず蚀う。
「なぁヌに珍しく悩み盞談」
 ず、癜雪は玅茶をたた䞀口飲むず聞いた。
「あヌ  倚分、それですかね。」
 ず、盞倉わらずサダノブは分からない事を分からないたたに蚀う癖が盎らないらしい。
「  圱なんか誰も掎めないものよ。サダノブはただ圱を远っおいるんじゃなくお私は逆に思う事にしおいるの。圱圚るずころに黒圱がいるだけっお。本䜓がいなきゃ、圱も圹立たずよ。」
 ず、癜雪は蚀った。
「圱が圹立たずなんお  先茩に䌚っおから䞀床でもただ思った事ありたせんよ。あんな䟿利な圱はないですからね。」
 ず、サダノブは笑った。
   本䜓っお  あの鳥の事だろうか  
 サダノブはふず、黒圱が京郜に行っお買っおきた埡札を芋䞊げる。
「  匱点はい぀か最匷の歊噚にする為にあるのよ。」
 ず、癜雪は蚀った。
「  えっ」
 振り向くず癜雪は玅茶を飲み終わったのかキッチンに向かっおいた。
 ――――――――

 黒圱は倢の䞭  あのギャラリヌから月を黙っお芋䞊げるず、自分の足元から竜巻の様な熱颚を起こし呚りの業火を巻き蟌んでいくず、そのたたコヌトを翻し倜空に飛び立った。
 ある物を取りに行く為に。
 そこは穏やかな川が流れ、先には圩の花々が咲き誇る矎しい景色が芋える。その景色は䜕凊か黒圱の䜜り䞊げた「真実の䞘」に䌌おいる。黒圱はその景色を儚気に芋据えるず、小さな獅子の食られた銙炉を川の氎で掗い枅め、それが終わるず手を翳し銙炉に火を灯す。甘い癜檀のような銙りがした。銙炉から煙が出なくなるず、たた川の氎で掗い、たた火を点けを繰り返す。銙炉の䞭には䜕も入っおいない。黒圱が灯した火だけが、小さく揺ら揺らず䞭で浮いおいお、そこから煙が出おいるのだ。
 やがお黒圱は自分の圱で䜜った圱時蚈を芋お、朝が近い事を知り、慌おおコヌトに小さな銙炉を仕舞うず赀い炎を再び纏い飛び降りた。遠くその姿は流れ星の様に。
 ギャラリヌの真䞊の倩空で旋回しスピヌドを萜ずし庭から䞭ぞ入っお行く。あの燃え盛るだけだったギャラリヌの炎も、今や黒圱が纏い䜿いきり、黒い錫があるだけの虚しいだけの廃墟に芋えた。
 靎跡だけが、響き  黒圱は少し䌑もうず、その廃棄にも䌌た懐かしい家で壁に凭れお目を閉じた。
   もし、歀凊から出られなくなったら、い぀か焌け死ぬのかも知れない  
 そんな事を思っお恐怖を芚えた事さえ、今は懐かしい。
 過ぎた若さの様に  痛みもなく、思い出せる。
 きっず、あい぀が来なかったら、未だに僕はこんな所でそんな無意味な恐怖ず闘い続けおいたのかず思うず、気が付けば埮笑んでいた。
 あの予知の絵を芋なければ  幞せになれるず思っおいた。しかし、それは違った。火から逃れたのなら芋る必芁も無かったのに、それでもあの絵を芋お  やがお、劂䜕に自分が幞せだったず気付かされる。
「  あの絵を  もう芋ないでも良いかな。」
 この予知倢が芋せるギャラリヌの䞭、初めお思った匱音だったず思う。ここに眠る屍になった母ず父の像にか、それずもあの日倱った党おにか、誰にかも分からず、唯疲れ果おそう蚀った。
 䜙りに静かな  死の様に安らぐその真っ暗な灰の䞭の時に耳を傟けお  。

 遠くから、靎音が響いおくる。段々ず近付くのに、あたりに疲れお動く気も起きなかった。
 その靎音は黒圱の前で止たる。䜕をするでも無くそこに圚るのだけは分かる。
   ずうずう死神でも来たのかず、黒圱はふず笑った。
「  酷いな。今、俺の事死神っお思いたしたよね。」
 ず、聞き慣れた声がした。  サダノブか。来るなず蚀ったのに。ず、黒圱は気付いたがやはり動く気にはなれなかった。
「少し䌑んでるだけだ。攟っおおけ。」
 ず、黒圱はやっず重い口を開いお蚀った。
「それだけですか。蚀いたい事は。」
 珟実に垰ろうずしない黒圱にサダノブは聞くが、䜕も答えおはくれない。
「  歀凊で匕き篭もりですか今は疲れ果おおも、珟実は違う。  こんな所で  諊めないで䞋さいよ、先茩。」
 サダノブには読みたくなくおも分かっおしたった。今、黒圱は䜙りにも長い戊いで、自分の呜を守るのですら必死だったのに、幞せにしおくれる呚りも守らなくおはず疲れ果おおいる事に。終わりにしたいず願いながら、あの真実の䞘を䜜り願い続け、死を静かに受け入れようずしおいる事も。
「ただ、分からない事だらけで  だから、圹立たずで  でも、い぀も教えおくれたじゃないですか。倉な力もどうすりゃ良いのか。だから、普通に笑えるようになったのに。もう凍えたくない。䞀人にするなっお、蚀っおおいお攟っおおけなんお  。  我儘なんですから。俺、䜕の力にもなれたせんけど、䞀぀なら出来る事、あるんすよ。」
 黒圱はそのサダノブの蚀葉に少しだけ重い瞌を開く。
 目の前に真っ癜な小さな獅子が珟れ黒圱を芋おいる。黒圱は懐かしい気がしお埮笑むず、その獅子は狌の様に遠吠えを䞀぀し、くるりず跳ねるず二䜓になり䞀䜓には角が生えおいる。その獅子達は黒圱の䜓をコヌトを噛み、必死で匕き摺り䜕凊かぞ連れお行こうずしおいるようだった。
 黒圱は力無くそのたたにしおいるず、連れお行った先はサダノブが䜕時もギャラリヌに入っおくる時に䜿う扉の前だった。
「  歀凊からはプラむバシヌじゃなかったのか」
 ず、黒圱は獅子達の頭を撫でお蚀った。
 獅子はたた吠えお跳ねお回るず、サダノブが怒っお立っおいた。
「先茩が、自力で出る気ないから、仕方ないからですよそれに今日は倢芋お無いんで真っ暗です」
 ず、蚀う。
「出口ずか無いのか」
 ず、黒圱はサダノブの倢の䞭を掌に小さな炎を灯し、歩きながら聞いた。
「俺は予知倢ずか芋たせんから。普通に起きるのを埅぀しかありたせんね。それより、少しは元気になったみたいですね。」
 ず、サダノブは黒圱が䜕時もの歩みず口調に気付いお様子を䌺う。
「  ああ、守護ずはこう蚀うものなのだな  。」
 ず、䞍思議そうに蟺りを芋枡し立ち止たる。
「  そうだ、感謝の぀いでだ、いい倢を芋せおやろう。」
 ず、黒圱はコヌトを翻し倢の䞭にたた違う䞖界を呌び蟌んだ。  それはあの「真実の䞘」だった。
「矜䌑めをするなら始めからこっちにすれば良かった。」
 ず、黒圱は埮笑んだ。
「確かに  。」
 サダノブはそう笑っお蚀うず、䜕時もこの䞘に来るず景色が良く芋える自分で決めた特等垭に行き、䜕時ものように空を仰いで埮颚に吹かれ寝転がる。
 黒圱はサダノブの暪に腰掛け、サダノブの腹に䜕かを眮き、
「  ほら、やる。倧事に持ち歩け。」
 ず、蚀った。サダノブは䞊半身を起こしおそれを䞡手で萜ちないように持った。
「  銙炉っお蚀うんでしたっけこれ。」
 ず、サダノブはあたり瞁がないので聞いた。
「そうだ。銙りを楜しむ為の物だが、それは違う。忘华の銙炉だ。誰かに思考を読む胜力がバレた時にだけ䜿え。」
 ず、黒圱は説明する。
「  忘华の銙炉  。間違えお普段䜿ったらどうなるんですかね」
 ず、サダノブは自分でもやらかしそうだず䞍安になっお聞く。
「どうせ、お前の事だからそう蚀うず思っおいたし、想定枈みだ。䞭には䜕も入れるな。その銙炉は僕しかたけない。だから、持ち歩けず蚀ったんだ。」
 ず、黒圱が蚀うずサダノブは安心したのか、小さな銙炉の现かい装食を芋おいる。
「あっ、これ狛犬でしょう」
 ず、サダノブが取っ手の小さな装食を芋お蚀う。
「違う、獅子だ。」
 黒圱はそう蚀うのだが、サダノブはじっず其れを芋お、
「違いたすよ、絶察犬ですよ。」
 ず、蚀うので黒圱は面倒になっお、
「じゃあ、ポチにすればいいだろっ」
 ず、蚀った。
「そうか  お前もポチか。なんか芪近感わくなヌ。」
 ず、喜んでいるようだった。黒圱もポチが二匹ず思うず、さっきたでの獅子二匹の嚁厳もあったものじゃないず思わず笑った。
「これ  枡す為に  。」
 サダノブはじっず銙炉を芋おいた。  あんなに無理させおたのは俺か  ず、気付いお笑えなくなっおしたった。黒圱は急にサダノブが浮かない顔したので、
「僕やサダノブの蚘憶は消えない。点けおみるか」
 ず、蚀った。
「そうですね。」
 ず、サダノブは無理をしお笑った。嘘が嫌いな黒圱に少し申し蚳ない気持ちもあったが、黒圱もきっず嘘を぀いたから。この甘い銙りが䜕時迄も途切れなければいいのにずただ眠る様に目を閉じお願った。分かっおいたんだ  

 目芚めたらきっず  この悲しくお優しい倢は忘れおしたうだろう。

🔞次の↓season3-1 第䞉章ぞ↓歀凊からお急ぎ匕っ越しの為、校正埌日ゆっくりに぀き、⚠誀字脱字オンパレヌド泚意報発什䞭ですが、この著者読み返さないで筆走らす癖が埡座いたす。気の所為だず思っお、面癜い間違いなら笑っお過ぎお䞋さい。皆んなそうしたす。そう蚀う埮笑たしさで出来おいる物語で埡座いたす^ ^

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スキしおみお

読曞感想文

お賜銭箱ず蚀う名の実は骞骚の手が出おくるびっくり箱。 著者の執筆の酒代か圓おになる。若しくは珈琲代。 なんおなぁ〜芁らないよ。倧事なお金なんだ。自分の為に投資しなね。 今を良くする為、未来を良くする為に おな。 劂䜕しおもなら、薔薇買っお写メっお皆で癒されるかな。