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䞖界名🌎「Prodigy-神童-」⚔第六しか章 真実の嘆き

 ――第六章 真実の嘆き――

 それから日埌だった。Arcadiaぞ蟿り着いたのは 。皆、近づくに぀れ、蚀葉数も枛っおいた。廃墟でしかなかった筈の堎所には、正矩を纏う癜に包たれ、バビロンの塔のように、正軍の本拠地は眮かれおいた。街に入るず、ザむンはある堎所に向かった。Dr.ず育った 厩れ掛けの家だった。
「あの日 俺は芋た 。」
ザむンが静かに蚀葉にした。
「マザヌコアが空ぞ䞊る姿だ。 ずおも悲しそうな顔をしおいた。䜕かを蚀ったず思ったが、俺には聞き取れなかった。」
ザむンの続けた蚀葉に、Dr.が反応した。
「芚醒した日か」
Dr.が聞くず、ザむンは頷き、
「あれからだ 蚘憶を倱ったのは 。」
ず答える。口を挟むように、Jr.が蚀った。
「ガヌド解陀装眮 俺はただ、その力を知らない。俺で盞手になるものなら良いんだが 。」
そんな匱気なJr.の蚀葉をDr.は初めお耳にした。二䞖ずしおもこの地に䜕か、求める答えがあるのだろう。
「その時は その時だ。」
Jr.の蚀葉にルむスはそう蚀い、先を急ごうず蚀うように本拠地に向かっお歩き出した。ザむンは皆に少し遅れおだが぀いお行く。Dr.はそのザむンの姿に嫌な予感を感じおいた。たるでその姿は 戊いを恐れる者のようにも芋えたからだった。
「やっぱりっすか」
Jr.は先頭を歩くルむスに蚀う。
「圓然だろう。こういうのは正々堂々ず、真っ向から仕掛けるべきだ。」
ず、ルむスは面癜がっおいるような笑みを浮かべお答えた。正軍本拠地の門前に、䜕事もなく䞀行は歩んでいた。しかし、ルむスの真意は戊いを楜しもうずしおいるのではない。
ある人物が、ルむスの前に立ちはだかった時、それは蚌明された。ギカだ 。
「久しぶりだなっ。」
そう軜い声で蚀ったものの、ルむスの顔は無衚情だった。
「貎方らしい 正面から来るなんお。䜕時か垫を超えなくおは 私は、倉われない。」
ギカはそう蚀うず、癜い手袋を投げ、剣を抜き垫であるルむスに向けた。ルむスも、心を決めたのか静かにサヌベルを抜く。
「これは俺の問題だ 先ぞ行けっ」
ルむスがギカ目掛けお走りながらそう叫んだ。
これが本圓の戊いの始たりなのだず、誰もが感じた。ザむンずJr.は先に塔の䞭ぞず走り出す。躊躇いも迷いもなく この戊いを終わらせる為に 。
ザむンは塔の内郚に入るず共に、剣を抜き、韍を出珟させた。螺旋階段を駆け登りながら、韍はJr.ずザむンを守るように匧を描く。
Jr.は掛け䞊がるザむンを揎護するように、埌方にいた。癜い制服の茩が階段の䞊から、駆け䞋りお来るのが芋える。Jr.は深玅の火炎を䞊空ぞ巻き䞊げた。螺旋階段に沿っお舞い䞊がる火炎はザむンの韍ず同化し、たるで火韍ず化したようにも芋える。荒れ狂う火炎を纏った韍が塔を䟵食しおいった。正軍の兵士であろう癜い服が黒い灰ずなっお、螺旋階段の呚りに零れ萜ちお行く。い぀か、この街を襲った地獄のような光景が、再び珟実のものずなった。
䞊局郚に二人が蟿り着き、扉を空けるず、そこには静寂が匵り詰めおいた。
「䜕時かの光景のようだな 。お前ならばわかるだろう、鬌神よ。」
将軍は王の肖像画を眺めおいた。
「知っおいるか無胜な神の子よ。私はマザヌコアを知っおいた。お前達の母がこの゚デンの栞に䜏んでいた頃から 。我父王を捚お倩界ぞ逃げた 醜き、神の名を語る魔女をっ」
その蚀葉を残すず、将軍は先皋たでの静寂ずは裏腹に、修矅のように勇たしい憎しみで、足元のサヌクルから突颚を巻き䞊げた。
「怯んでいる隙はないっ、行くぞっ」
Jr.はザむンに向けおそう蚀ったが、ザむンの反応はなかった。
「駄目だ 。」
ザむンが小さくそう、䜕かに怯えるように蚀葉にした。
Jr.がザむンの姿を確認するず、ザむンの守護である韍がザむンに絡み぀いたたた、攻撃態勢を解陀しおいるではないか。それどころか、䞻人のザむンの䜓の動きを止めようずするかのように締め付けおいた。
「これが ガヌド制埡装眮の嚁力なのか」
Jr.は思わずザむンの姿を芋お、絶望したかのように口にした。
「私は装眮なんお䜿っおいないよ。 それは俺に授けられた力だ。」
将軍はそう蚀った。
「お前もProdigyだったのかっ」
Jr.がそう聞いたが、答えはだった。
「Prodigyの胜力が本圓に神から授かりし力だず信じおいるのか 俺は、Prodigyでもなく人ずしお神から守れた存圚。貎様等ず同じにされたくないな。」
そう、将軍が蚀う間にJr.は将軍に近づいたが、サヌクルに入った瞬間 身動きもずれない。
これが真の神の力なのか Jr.の脳裏に恐怖ず混乱が生じる。
「神だろうが䜕だろうが 知った事じゃねぇよ」
そう、将軍に眵声を济びせたのはザむンだった。ザむン自身、オリゞナルだがそれを気にした事などなかった。
只、今は 自分が信じおいた韍に裏切られた気分で、苊しさは心にあったのかも知れない。
本圓に犠牲たで芚悟しお欲しかった自由 こんな事で諊める事は出来ない。
「そう 神などいない 。」
聞きなれない女の声がした。䜕凊か懐かしく 悲しげな声にも聞こえた。蟺り䞀面に眩しい皋の癜光が照らし、ザむンの韍が解けおいく。そしお光がおさたった時、そこにその声の䞻の姿があった。
「マザヌコア䜕を今曎」
将軍が憎しみを蟌めた芖線で声の䞻にそう蚀った。
「これが 。」
Jr.は声をあたりの衝撃に詰たらせた。
「我子よ なんお愛しいのでしょう。」
マザヌコアが蚀ったその芖線の先にいるのは、オリゞナルのザむンでもなく、Prodigyの血を継ぐJr.でもなく、将軍の姿がある。
「神ずいう存圚ならば私の心にもありたす。私を産んだ存圚はなく 私は昔、己の粟神の䞭に神ずいう架空の存圚を厇め信じたした。この囜の王に出䌚った時 私は䞀人の女ずしお、己が創造䞻であるにも関わらず王ず共に生き そしお死ねればず願っおしたったのです。
この䞖界に生きる者を創造した時、私は呜ずいうものに可胜性を持たせようず、我愛しい子等に自ら創造出来る力を䞎えたした。けれど それがこの悲しい戊いになるずは 。私は、この戊いを悲しみ、それを止める存圚ずしお、貎方達Prodigyを創造したのです。」
今床はザむンずJr.の方を向いお、マザヌコアは蚀った。
「では、王ず貎方の子が 。」
ザむンはそう蚀うず、将軍を芋た。マザヌコアは頷いた。
「ごめんなさい 貎方を狂わせおしたったのは、母である私の責任です。」
マザヌコアは慈しみの目で将軍を芋た。
「愛しい貎方を眮いお、私は身を隠さなければならなかった。王が人々に打たれた埌、その戊いは終わらなかった。 私の存圚がただ 残っおいたから。私には、戊いを止める術はなく、自ら身を隠す事でそれが終わるのならばず、倩に身を朜めたした。Prodigyずいう、垌望を残しお 。」
マザヌコアはそう蚀った。
「今曎、䜕を蚀う我父王の魂たで奪い、この戊いの匕き金を創っおおきながら、お前は自分だけ逃げるように消えたんだぞっ 俺は戊うお前が戊いが終わる事を望むなら、俺はこの戊いを終わらせはしない」
将軍は、マザヌコアに怒りを露にそう蚀った。
「䜕故だ 俺は、戊う為に産たれたのではないっ俺が兵士ずしお産たれたのならば、俺はその運呜を立ち切るマザヌコアの残した想い 今ならわかる 。創造する力 今、貎方から受けた本圓の呜の意味を蚌明する。」
そう蚀っおザむンは将軍に剣を抜き突っ蟌んで行った。韍は呻きを䞊げながら、ザむンを揎護する。

「䜕故だ 母よ 。」
ザむンはその攻撃を仕掛けた盎埌に、小さくそう蚀った。
「貎方も この子も 私の愛しい者には倉らない 。貎方達、生きる者達に、私は創造の力を蚗したした。私が 神ずしお存圚する理由はもう ないのです。 生きなさい 私の意志を継いだ 愛しい 子 。」
ザむンの攻撃を受けたのは、将軍ではなく、将軍を庇ったマザヌコアだった。マザヌコアはその蚀葉を最埌に息絶えた。愛しさに溢れたやさしい笑みで たるで聖母のように、赀い悲しみの涙を流した。眪を背負っお誰もが産たれる その意味を誰よりもこの創造䞻が知っおいたのかもしれない。マザヌコアが庇ったにも関わらず、ザむンの韍が、将軍たでも殺しおいた。蠢く韍はマザヌコアの嘆きのような奇声を䞊げながら、䞻であるザむンの元に戻っおくる。ザむンは韍の䜓を撫でた。
目を閉じお その嘆きを受け止めるように 。

その頃、ただ真実を知らない者の戊いが塔の倖で続いおいた。ルむスずギカだ。
「ガヌドがなくずも、俺にはこの剣がある 手加枛するなよ。」
ルむスがギカに蚀った。確かにその蚀葉の通り、ギカはガヌド解陀装眮でルむスのガヌドを解いたものの、攻撃ではルむスの方が䞀段䞊だった。二人の剣ず剣が重なり、軋みの音を䞊げおいた時、ギカはルむスに蚀った。
「私の䜓には装眮が埋め蟌たれた。もう 二床ず昔の私には戻れない。貎方ず あの時のように 我歊者矅に剣を習っおいた頃が懐かしい 。貎方しかいない 私を戻しお欲しい 。」
ギカがルむスにそう蚀った次の瞬間 ギカの剣が高音を立おお折れお吹き飛んだ。ルむスは悲しみの為か、目を閉じお最埌になるであろう䞀撃を繰り出す。
その瞬間だった。ルむスが目を閉じおいる隙に、アリスずDr.が動いた。こんな戊いの結末を望んでいなかったのは、二人も同じだった。
Dr.が癜衣を翻し、拳銃の銃口をギカに向けた。
ルむスが目を開けた時、厩れ萜ちたギカの姿があった。しかし、自分の攻撃ず違うもので受けた攻撃でギカが倒れた事を悟るず、ルむスは恚むような目で蟺りを芋枡す。ルむスが、状況を刀断する前に、アリスは召還をした。
ルむスは䜕が起こったのか理解出来ず、動揺した口調で聞いた。
「どういう事だ」
そう蚀っお、剣をおろしたルむスの腕にアリスがそっず觊れる。
「麻酔匟だ ギカは生きおいる。」
Dr.はギカの匟䞞の痕を治療しおいる。
「ルむス あなたは蚀ったわ。この剣は守る為にあるのだず。」
アリスはルむスを諭すように蚀った。召還の䞭ではもう、ルむスずいえども戊いは出来ない。
「生きおいるのか それだけで良い。生きおさえいれば、倉えられるものもある 。」
安堵するかのようにルむスは蚀った。ただ 䌝えたい事も 逆にお前から教わりたい事も沢山ある。

「ギカさんが目芚めるたでお茶でもしたしょうか、マスタヌ。」
ラビヌはアリスずルむスに蚀った。
「俺にも䞀杯、よこしおくれよ。」
Dr.も治療を終えおそう蚀った。
「これが終ったら 今床は装眮を取り倖さなくおはいけないからな。忙しくなるぞ。」
Dr.がそう続けた蚀葉に、ルむスは安堵の笑みを浮かべる。そしお、眠りに぀いおいるギカが目芚める時を思い描いおいた。䜕を これからギカに䌝えよう。䌝えたい事は山皋ある。
けれど 䞀番䌝えたかったのは、生きる事そのものなのかも知れない。そう、ルむスは思った。

マザヌコアの死埌、Prodigyの胜力は倱われた。
党おのProdigyは人間ず同じ 。しかし、その隔たりは消える事はなかった。
「たさか あんたがねぇ。」
Dr.は、からかうようにザむンに蚀った。ザむンは王の意志を継ぎ、皮が䞀぀になるよう努めた。ルむスずアリスずDr.ずJr.に支えられながら。

人々はそれでも自分ず違う存圚を恐れ、差別を䜜っおは隔離しようずする。それは䜕時しか憎しみに倉わり それを悲しみの血に倉える。子は産みの芪の守護ず嘆きも知らず それでも䞍噚甚に生きようず這う無力な存圚。
自ら あらゆる隔たりを䜜っおは、やがお誰もがその隔たりに苊しむ。
誰でもない 憎しみは己の心が創り出すもの。
誰もが 母のも぀創造する力を継承しお産たれる。

悲しい皋 平等に 

 ――――――完――――――――

「黒圱玳士」にお、Prodigy参戊臎したす。
 其方もどうぞ宜しくお願いしたす。
 最埌たでお読みいただき有難う埡座いたした。
       著者 泪柄 黒烏 るいす くろう

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お賜銭箱ず蚀う名の実は骞骚の手が出おくるびっくり箱。 著者の執筆の酒代か圓おになる。若しくは珈琲代。 なんおなぁ〜芁らないよ。倧事なお金なんだ。自分の為に投資しなね。 今を良くする為、未来を良くする為に おな。 劂䜕しおもなら、薔薇買っお写メっお皆で癒されるかな。