縞瑪瑙(しまめのう)の双龍〜オニキスの番龍〜🐉🦋🐉第五章 君とならば
5君とならば
「へぇ〜……随分とまぁ。」
私は笑ってそう云ったが、目の前には鬼の形相の暗雲が見える。
「大丈夫ですか。」
君は、ふと私を見てそう聞く。
「……誰に聞いていらっしゃるの?この白龍……黒龍の前では、この藤の一片たりも壊せは致しませんわ。」
……そう、君とならば……負けよう筈がない。
今日も形振り構わず挑めるのは、倒した先に君が待っていると分かっているから。
「何方が鬼だか、気が知れませんねぇ。」
と、君は冗談を云って微笑む。
「……鬼、女のやうですね。……私が怒りましたら、ああなるやも知れませぬ。……今日も素敵な子守唄を唄って下さらねば、許しませんから。」
私は、そうは云えども微笑み振り返ると、君を見る。
「……それは怖い、怖い。何方が鬼嫁になるやら。……君のやうに艶やかで真っ白な心の鬼は、僕は未だ見た事が無い。」
君がそんな事を言うものだから、闘う気も失せてしまいそうになるではありませんか。
「私は今や黒龍ですっ!とっくに、貴方の色に染まっています。……では……いざ、神妙に召されよ!」
……全く……赤面している場合では無いのです。
真っ暗な闇に浮かぶ飢えた私はまるで鬼。
何故、敵中なのに心地良いのか分からない。
この闇はまるで……君の色。
深い闇に光る縞瑪瑙(オニキス)は、君の手にある。
ほら……君にも見せたい。
白銀の龍の剣が、如何に闇に美しく漆黒を讃え輝くかを……。
「……鬼さん此方……手のなる方へ……。」
君のくれた藤を揺らして……。
ほら……こんなに、求められているかのやうに、うじゃうじゃと……魑魅魍魎が私に夢中になる。
嗚呼……如何かしてしまいそう。
こんなに愛されるのは
…………君からだけで結構よ。
君の声が聞こえたなら、私は鬼よりも鬼になれる。
いいえ……何にだって……なれる。
この恍惚な宴に、最高の舞を踊ってみせよう。
全て散り散りに砕け落ちるまで……。
黒龍に立ちはだかる者、何人たりとも通させぬ!
――通りゃんせ……通りゃんせ……此処は何処の細道か――
――通させぬ……通させぬ……此処は龍神様の茨道よっ!
我が龍よ……この迷い子達を導き給え
天上に相応しき道を与え給え
そして目覚めれば
私に似た君の腕へ帰ろう。
悪夢は……此処で仕舞いだよ。
――――――悪夢と共に光にて閉じる……おわり――――
(お急ぎ引っ越し中の為、校正後日ゆっくりにつき、⚠️誤字脱字オンパレード注意報発令中ですが、この著者読み返さないで筆走らす癖が御座います。気の所為だと思って、面白い間違いなら笑って過ぎて下さい。皆んなそうします。そう言う微笑ましさで出来ている物語で御座います^ ^)
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