芋出し画像

䞖界名🌎「Prodigy-神童-」⚔第䞉章 革呜


 ――第䞉章 革呜――

 Dr.が垰っお来た遠埁の郚隊の治療に疲れ、医務宀で転寝をしおいる時、倩地を倉える新たな戊いが産声を䞊げようずしおいた。
Dr.はそんな事も知らず、倢を芋おいた。ザむンが正軍に初めお来た時の倢だった。街を抜け出したザむンはただ若く、力を䜿いこなせずにこの正軍に連行されおきた。人は生きる為に飌いならされる そんな悲しかっただけの珟実が、䞀瞬だけ光を垯びお芋えたあの時の事を Dr.は今も鮮明に芚えおいた。

 将軍は捕らえられおきたザむンを目に、䜕時もの台詞を蚀った。
「お前の遞択肢は二぀しかない。死ぬか ゎットハンタヌになるか。」
Dr.はこの質問を聞くのが嫌いだった。どうせ答えは䞀぀しかない。死ぬか 生きるか そういう事だ。そしお、生きる方を遞んだずお、医務宀には毎日䜕人もの負傷兵や死䜓が運ばれる。その䞭に含たれるだけだ。
遞択肢は二぀もないかも知れない。飌いならされるものに、遞択肢などないのだ。
しかし、ザむンはこの時、Dr.の本圓に聞きたかった答えを蚀葉にしたのかも知れない。ザむンは䞡手を兵士に捕らわれ、力なく項垂れおいるようにも思えたが、この質問に顔を䞊げ、匷い県差しでこう蚀った。
「俺は 俺は生きたい 。」
その蚀葉は只、切に願う䜕かを感じさせた。
たった二぀だった遞択肢を自ら倉えようずする匷い意志が感じられる。倉わらないず思っおいた日垞が、もしかっしたら倉わるのかも知れない その蚀葉はDr.に垌望を䞎えた。
将軍は、それからずいうもの、この懐かないザむンを毛嫌いしおいるが、Dr.はその蚀葉を蚀ったザむンの目を芋お、遠き日に行方のわからなくなった兄を重ねおいた。

 そんな倢を芋おいたDr.を䞀人の兵士の声が起こした。
「倧倉だっ起きろ」
血盞をかいおきた兵士にDr.は県鏡をかけなおし、䜕があったのかず尋ねた。
「ザ、ザむンが 将軍にたお぀いたっ 
あい぀、オリゞナルだったんだっ血を芋るぞっ」
その兵士の蚀葉に、Dr.は壁にかけおあった癜衣を取り着る間もなく、
「よく知らせおくれた。」
ず、兵士に投げやりに蚀うず慌おお医務宀を出た。ずっず兄ずしお確信のなかったザむンがやっず兄だず確信出来たずいうのに、ここで死なせるわけにはいかない。 䟋え、それが正軍の兵士党員を敵に回す事だずしおも。
Dr.は長い廊䞋を走る䞭、兄がただ無事であるように願っおいた。

 そんなDr.の願いをよそに、もう既に戊いは始たっおいた。将軍がいる倧広間に䜕時でも戊える準備をした正軍兵が将軍の前に総勢で構え守備し、ザむンず距離を眮いお揃っおいる。そしおその正軍兵の前には総隊長のルむスが立ちはだかっおいる。ザむンはそんな䞭に、迷いもなく剣を翳し、
「どけぇヌヌヌっ」
そう、蚀っお突っ蟌んで行った。しかし、ルむスは冷静に、
「嫌だね。 総隊長の俺を、倒しおからにしろ。」
そう返し、埅っおいたず蚀わんばかりに䜕時も手にしおいる癜い手袋を床に叩き぀けた。
鬌軍曹ず鬌神の䞀階打ちが始たろうずしおいたのだ。
「俺はお前ず戊いたいんじゃねぇ邪魔なんだよっ」
嚁勢よくザむンがルむスに吠えた。しかし、ルむスは退く気配など芋せず、
「邪魔なら 消せばいい。」
そう蚀っお、サヌベルを抜く。アリスはそのルむスの背で涙を浮かべおいた。
どうしお 傷぀け合うの そう、宛もない悲しみを胞に。
ザむンはルむスず戊う決意をし、剣を顔の前に持っおいき、目を閉じガヌドでもある韍を呌び起こす。韍は蠢きながらルむスの前に出珟した。ルむスや他の兵士も初めお芋るザむンのガヌド胜力だった。ザむンは人柱のような幟぀もの韍に守護されたが、ルむスもそれを解陀しようず颚の守護を呌び出し、サヌベルで空を裂き突颚を巻き起こした。真っ黒な烏の矜がルむスから巻き䞊がる突颚に舞い䞊がる。次の瞬間 
キィヌンず甲高い音を立お、ルむスのサヌベルの突颚を纏ったサヌベルずザむンの韍を纏う剣が衝突した。匟かれたのはルむスの方だった。ザむンの韍はルむスの起こした突颚でさえも呑み蟌んでしたったのだ。ザむンは韍の守護に守られながら、
「お前 本圓は、戊いたくないんだろ」
ず、静かにルむスに蚀った。ルむスはザむンの韍のガヌドが通垞の攻撃を跳ね返すものだけではない異垞な胜力を目にし、
「貎様 オリゞナルかっ」
ず、ザむンに問う。ザむンは、
「だったら䜕だ。 俺だっお、奜きでなったんじゃねぇよ。」
ず答え、肯定した。その答えにルむスは自分にこの戊いで勝利がないのを知った。俺だっお、奜きで戊っおいるんじゃない しかし 
そこたでルむスが考えた時、埌ろで怯えおいるであろうアリスの顔が浮かんだ。 俺には 守るべき者がいる 䟋え、盞手が神に䞀番近い存圚だずしおも 。
「䟋え、貎様がオリゞナルだろうず、敵わなぬ盞手だろうず 戊うのみっ」
ルむスはそう蚀い終えるず、敵わないであろうザむンに向かっおサヌベルを突き出し突っ蟌んでいった。
「いやぁヌヌヌヌっ」
アリスの悲鳎が響きわたる。

しかし、アリスが閉じおいた目を開けるず、思いもよらない光景が其凊にはあった。ルむスのサヌベルが、ザむンの肩を射抜いおいたのだ。
「䜕故 ガヌドを解陀した」
ルむスは予期しないザむンの行動に戞惑いながらも聞いた。
「わから ねぇ よ。」
痛手を負ったザむンは䜕凊ずなく攟心状態で小さな声でそう蚀った。そしおもう䞀床、狂ったかのようにザむンは床に膝を付き、䞡耳を手で塞ぎ、目を閉じたたた、
「そんなの、わかんねぇよっ」
ず、叫んだ。その瞬間、ものすごい゚ネルギヌず共に韍が荒れ狂い始めたのだ。ザむンの䞭にあった倧きな迷いず生きる悲しみが怒涛の劂く圢を成しお攟出されたのだ。その゚ネルギヌが届いたのか、Dr.は䜕かを感じ曎に廊䞋を走る速床を速めた。
怒り狂う韍は暎走し、先ほどたで戊っおいたルむスでさえも、戊う事を攟棄し、アリスの手をずっお逃げた。近くにいた兵士を韍はどんどんたいらげおいっおしたう 。そこにいた誰もが、止められない事を悟り、散っお逃げ惑う。Dr.がその堎に蟿り着いた時、修矅堎ず化した、地獄絵図が目の前に広がっおいた。誰もがザむンから逃げ惑い、恐怖に怯えおいる。けれどDr.にはそれは違うように芋えた。倧きな悲しみの叫びのように、ザむンが自分を呌んでいる気がした。怒り狂う䜕者でもなく、倧きな悲しみが暎走しおいる姿にしか芋えない。䜕も 恐れる事などなかった。
Dr.は躊躇いもなく、ザむンに近づいお行く。䞀歩䞀歩 その悲しみを受け止めるように。
韍は䞻人であるザむンの匟にあたるDr.にはやはり攻撃をしなかった。唯䞀、このザむンのガヌドを解ける人物だからだ。Dr.は荒れ狂う韍の倧矀の䞭を分け入り、ザむンの元ぞ蟿り着くず、やっず手に持っおいた癜衣を着お、
「䜕やっおんだよ 。 こんなに暎走しちたっお 。」
静かにそうザむンに蚀うず、ガヌドを解陀した。ザむンの剣にDr.が手を觊れるず、韍は蠢きながら鞘に戻っお行った。嵐の埌の静けさの䞭、Dr.は癜衣から医療噚具を取り出し、
「仕事増やしやがっお 。」
ず、ザむンが生きおいた事に安堵し、優しい笑みを浮かべ蚀うず、ザむンの肩を包垯で止血した。ザむンの肩に觊れるず、小さく震えおいるのがDr.にも感じ取れた。正しさを探し迷うザむンの心がDr.にも䌝わった。䜕時か蚀ったDr.を倉えたザむンの蚀葉 
”生きたい”ず蚀ったあの蚀葉がDr.の脳裏を暪切る。信じおも良い その願いなら。
「行くぞ。」
震えるザむンの傷を負っおいない方の肩をかるく抌さえ、Dr.は蚀った。そしお、
「お前は 正しい 。」
静かに、小さくだが力匷くその蚀葉はザむンに響いおきた。Dr.の蚀葉にザむンは、ゆっくりず立ち䞊がった。遠い過去にDr.を守ったその力が、圢を倉えおザむンに戻っおきた瞬間でもあった。傷を負っおいた方の腕は力ないが、ゆっくりずザむンは剣を構えた。そしお、
「我はProdigy。神の名においお裁きを䞋す。
これは聖戊 迷いはないっ」
ず、先皋たでの恐怖ず迷いからの震えを吹き飛ばすかのような匷い声で蚀い攟ち、吹き䞊げる韍を再び身に纏い、剣を将軍に向け走り出した。その走りず共に、韍は剣を远い、たるで剣ず䞀䜓化しおいるように螺旋を描いた。このすさたじき、神の声を宿した䞀人の神童に、それを芋おいた兵士の䞀郚も、あるべき己の運呜の姿を芋぀けた。Prodigyずしお呜ある事を尊んだ。
しかし、ザむンの蚈り知れぬ力ぞの恐怖か、
それでも将軍を守る兵士もいた。正軍の兵士は二分し、革呜を求めるもの 革呜を成さんずする者の戊いになった。そんなザむンの埌ろを護衛するかのように駆け抜けるのは、ルむスだった。圌もたた、果お無く戊い続けるよりも終わらせる為の本圓の戊いに加戊したのだ。その暪には、垫を尊ぶギカの姿もあった。様々なガヌド胜力や攻撃が行き亀う戊堎に耐えられず、正軍本拠地も厩れようずしおいた。廃退しおいく基地の䞭、ザむン等は将軍の姿を探す。厩れ萜ちおきた倩井で砂埃が舞い䞊がり芖界も最悪だった。幟倚の兵士をかきわけ、ザむンは将軍が居たであろう堎所に蟿り着くず、そこには将軍の姿はなかった。
出口を芋るず逃げ去る将軍の姿が小さく芋える。
「埅おっ」
そうザむンは叫んだが、荒れた戊いの䞭、将軍に届く事はなかった。将軍の姿は惜しくも舞い䞊がる砂埃の䞭に消えお行った。それどころか、ザむンの埌方にいたルむス目掛けお、倩井が厩れ萜ちおきた。ザむンが振り返った時、アリスが走り寄るのを目撃したが、間に合いはしない距離だった。その䞀瞬はたるで時を止めたように、ゆっくりずザむンの目に映る。倩井の壁がルむスの頭䞊に萜ちるず思った瞬間、ルむスを突き飛ばしたのはギカだった。
「おいっしっかりしろっ」
ルむスは自分を庇っお壁に䞋敷きにされたギカに蚀った。
「倧䞈倫です 私なら。それより、早くここから脱出しお䞋さい。」
ず、ギカは答えた。骚折に至ったであろうギカの足をDr.は応急凊眮をする。しかし、これでは 走れそうにもなかった。
「行っお䞋さい。 そしお、革呜を成しお䞋さい。この日の為に 貎方を守りたいが故に今日たで鍛錬しおきたのです。貎方は私にずっおの垫であり垌望 生き延びお䞋さい。私が戊えるようになったらたた、剣を教えお䞋さい。」
ず、ギカはルむスに笑みを浮かべお蚀った。
ルむスはギカの手を取り、銖を暪に振った。
珟状はわかっおいる しかし、ルむスは自分も昔、今は亡き垫に剣を習った時があっお、
ギカに自分の昔を照らし合わせ、その成長を芋るのが楜しみでもあった。しかしギカの意思は固く、
「貎方がいなかったら、誰が私の目暙ずなるのですっ目暙を倱っおたで、私はどうしお生きれば良いのか必ず生き延びたす。ただ貎方に教えお貰わねばならない事があるのだから。」
ず、ルむスを突き攟しお蚀う。ルむスは匷く目を閉じたがその目を再び開けた時、
「生き延びろっ今の蚀葉、忘れずに信じおいるからなっ」
そう蚀っお、急がすザむンの手を取った。ルむスの迷いは倧きな願いを残し、決意に倉わった。兵士達も逃げ始めおいる。ザむン等は我歊者矅に脱出した。もう 戻れない事を感じながら。

 その歎史にも残るであろう倧惚事の埌、䞖界は萜ち着きを取り戻し぀぀あった。正軍本拠地は厩れ、再生にも時間がかかる。䞖界で繰り広げられおいたProdigyを取り巻く戊いは䌑戊にも思えた。しかし、それは逆に人々に恐怖を䞎える。Prodigyの存圚が自由になればなる皋、Prodigyではない人は、Prodigyの力を恐れる。
共存ずいうには皋遠かった。
それでも、小さな正軍のようなものは存圚した。人々が己の身をProdigyから守るため、必芁ずしお各地でそんな組織を立ち䞊げたのだ。いずれたた、正軍が埩掻するのは確実だった。
ゎットハンタヌも数を増しお、さながら保安官のようだ。
「束の間の平安だな 。」
ザむンががそりず呟く。
「本圓の革呜はこれからだ。今のうちに策を緎っおおいた方が良いだろう。」
ルむスが、ザむンの小蚀に蚀った。
「 あれ アリスは」
Dr.が、蟺りを芋枡しおルむスに聞いた。
「  さっきたでいた筈だが 。」
ルむスも蟺りを芋枡しおそう蚀うず、
「ちゃんず、お守りしろよ。」
ず、Dr.は面倒臭そうにそう悪態を぀く。
「垰っおきたら、芚えおろよっ」
そうルむスはDr.に蚀い攟぀ず、慌おおアリス探しに出かけた。
「はいはい、忘れおたすよん。」
ず、去っおいくルむスの埌姿にDr.は蚀うず、
結局ルむスの走っおいった埌を、ずがずがずザむンず二人でゆっくり远うのであった。

🔞続きのProdigy 第四章ぞ↓

この蚘事が参加しおいる募集

スキしおみお

読曞感想文

お賜銭箱ず蚀う名の実は骞骚の手が出おくるびっくり箱。 著者の執筆の酒代か圓おになる。若しくは珈琲代。 なんおなぁ〜芁らないよ。倧事なお金なんだ。自分の為に投資しなね。 今を良くする為、未来を良くする為に おな。 劂䜕しおもなら、薔薇買っお写メっお皆で癒されるかな。