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さぶすクラシック日誌。2022年版...

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毎日、1タイトル、スポティファイでクラシックの新譜を聴いてみた。
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2022年10月の記事一覧

10月27日、ドゥグーが歌う、シューベルトのアリアにリート... ドイツ・ロマン主義の"夢"の世界をさ迷う...

フランスのバリトン、ステファン・ドゥグーが、ラファエル・ピション率いるフランスのピリオド・アンサンブル、ピグマリオンの伴奏で歌う、シューベルトのリートに、アリアに... "Mein Traum"。 シューベルトの未完のオラトリオ『ラザロ』から、シモンのレチタティーヴォとアリア「私はどこに... 力ある者よ、塵の中に」で始まり、オペラ『アルフォンソとエストレッラ』の合唱にアリア、リストがオーケストレーションした「影法師」、そして、未完成交響曲... なのだけれど、2つの楽章の

10月26日、まさに、グランドなオペラ、『悪魔のロベール』。長大にして、盛りだくさん、19世紀的なるもののが詰まった、テーマパーク!

マルク・ミンコフスキの指揮、ボルドー国立オペラ、ジョン・オズボーン(テノール)のタイトル・ロールで、グランド・オペラの時代の幕を開ける、マイアベーアのオペラ『悪魔のロベール』。 フランス革命?何でしたっけ?と帰ってきた貴族たちによる復古王政が七月革命(1830)により終わり、新たに始まったブルジョワたちによる七月王政(1830-48)... 何と言いますか、成金趣味っぽい似非貴族主義?そんな時代を象徴するのが、グランド・オペラだったか... イタリアのベルカント・オペラがヨ

10月25日、プリマ、ポーリーヌ・ヴィアルドが歌ったアリアの数々... 華やかな19世紀の記憶を呼び覚ます...

フランスのメッゾ・ソプラノ、マリーナ・ヴィオッティが、クリストフ・ルセ率いるレ・タラン・リリクの伴奏で、19世紀を彩ったプリマ、ポーリーヌ・ヴィアルドが歌った魅惑的なアリアの数々を取り上げる、"A TRIBUTE TO PAULINE VIARDOT"。 ポーリーヌ・ガルシア・ヴィアルド(1821-1910)。 父はロッシーニの信頼も厚いスペイン出身のテノール、マヌエル・ガルシア(『セヴィーリャの理髪師』の初演でアルマヴィーヴァ伯爵を歌っている!)で、姉は伝説のプリマ、マリ

10月24日、フランス革命をサヴァイヴした侯爵夫人、ピアニスト、モンジュルー... その数奇な運命が紡ぎ出す音楽の力強さ、深み...

イギリスのピアニスト、いつもおもしろいレパートリーを掘り起こしてくれるクレア・ハモンドの演奏で、モンジュルーの練習曲集『ピアノ教育のための完全教程』から、29曲... エレーヌ・ド・モンジュルー(1764-1836)。 リヨンの法服貴族の家に生まれたエレーヌ... 一家は間もなくパリへと移り、エレーヌはピアノを習い始める。が、その才能は手習いのレベルを越え、デュセック、クレメンティら、革命前のパリを彩ったヴィルトゥオーゾに師事するまでに... 一方で、1784年、モンジュル

10月23日、チーム・ハンガリーによるフランス・バロック、マニアックに攻めつつ、ますます充実!ジェルヴェのグラン・モテ...

ジェルジュ・ヴァシェジ率いる、ハンガリーのピリオド・オーケストラ、オルフェオ管、パーセル合唱団による、オルレアン公爵家の楽長を務めた、ジェルヴェのグラン・モテ集。 シャルル・ユベール・ジェルヴェ(1671-1744)。 太陽王の弟、オルレアン公に仕える従者を父に、パリで生れ、早くから音楽の才能を開花。何でも、12歳の時に、王のシャペルの楽長のオーディションを受けたという伝説があるほど... やがてオルレアン公爵家の楽長となり、2代目、オルレアン公が、ルイ15世の摂政になると

10月22日、何と優美な!ラモーがポンパドゥール夫人のために書いた音楽の、まさにロココな魅惑...

ルイ・ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラ率いる、アンサンブル・レ・シュルプリーズの歌と演奏で、ラモーのオペラ・バレ『愛の驚き』からプロローグ『アストレの帰還』と、アクト・ド・バレ『レ・シバリテ』を取り上げる、"RAMEAU CHEZ LA POMPADOUR"。 1734年のオペラ・デビュー以来、次々にヒット作を送り出し、パリの音楽シーンを沸かせてきたラモー... その評判は、やがて宮廷にも届き、1745年、王家の婚礼のために2つのオペラをヴェルサイユで上演。王室作曲家の

10月21日、ロココの時代のトラジェディ・リリクに感慨... ラモーの『ゾロアストル』初演版...

アレクシス・コセンコ率いる、レザンバサドゥール-レ・グランデキュリーの演奏、ナミュール室内合唱団、レイナウト・ファン・メヘレン(オートコントル)のタイトル・ロールで、ラモーのオペラ『ゾロアストル』。 1734年、50歳、『イポリートとアリシ』(新たなトラジェディ・リリクとして賛否を呼んだ!)でのオペラ・デビュー以来、オペラ作家として、パリの音楽シーンを沸かせてきたラモー(1683-1764)が、1749年、パリ、オペラ座で初演したトラジェディ・リリク『ゾロアストル』...

10月20日、バロックからロココへ... うつろう中にこそ魅惑を生む、フランクール兄弟の音楽に聴き入る...

仏ピリオド界を担う次世代、テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(ヴァイオリン)と、ジュスタン・テイラー(クラヴサン)が、フランクール兄弟とその周辺を取り上げる、"LES FRÈRES FRANCŒUR"。 ヴェルサイユの宮廷音楽の一端を担ったアンサンブル、"王の24のヴァイオリン"の一員の父、ジョゼフ(1662-1741)の下に生まれた、ルイ(1692-1745)とフランソワ(1698-1787)のフランクール兄弟に、ルイの子でフランソワによって育てられたルイ・ジョゼフ(1

10月19日、"ソプラニスタ"、デ・サに驚かされた!そのガチなソプラノに圧倒された!

"ソプラニスタ"、ブルーノ・デ・サが、フランチェスコ・コルティの指揮、イル・ポモ・ドーロの伴奏で、女性が舞台に立てなかった、18世紀、ローマにおける女形(?)に注目するアリア集、"Roma Travestita"。 1587年、ローマ教皇、シクストゥス5世(在位 : 1585-90)は、教皇領内で女性が舞台に立つことを禁じる(プライヴェートな上演は見逃されていた... )。ローマ教会の総本山が支配する地だけに、何かと節制が求められる状況がありました。そうして迎える17世紀、

10月18日、バロック・オペラ、黄金期の輝き、伝説のスター・カストラート、セネジーノが蘇る!

アメリカのカウンターテナー、ランドール・スコッティングが、ローレンス・カミングスの指揮、エイジ・オブ・エンライトゥンメント管の伴奏で、伝説のスター・カストラート、セネジーノが歌ったアリアを掘り起こす、"THE CROWN"。 "セネジーノ"こと、フランチェスコ・ベルナルディ(1686-1759)。 イタリア、シエナ出身("セネジーノ"とは、シエナ人の意味... )で、シエナ大聖堂の聖歌隊で歌い、音楽の道を歩み出し、1707年、ヴェネツィアでオペラ・デビューを果たす。1717

10月17日、ドイツ・バロック、旅する作曲家たちのコンチェルト... その浮き立つサウンドに魅了された!

ヨハネス・プラムゾーラー率いるアンサンブル・ディドロの演奏で、バッハのブランデンブルク協奏曲の5番に、ピゼンデル、ハイニヒェンらのコンチェルトの数々... "Travel Concertos"。 バッハ(1685-1750)の名曲、ブランデンブルク協奏曲の5番(初期稿)に、ダルムシュタットの宮廷楽団のコンサート・マスター、ヨハン・ヤコプ・クレス(1685-1728)の3番のヴァイオリン協奏曲、ヴィヴァルディの弟子、ドレスデンの宮廷楽団のコンサート・マスター、ピゼンデル(16

10月16日、交響曲の誕生を予感させる充実の規模!そこから繰り出される鬼才性!ヴィヴァルディ、半端無い...

アマンディーヌ・ベイエのヴァイオリン、彼女が率いるリ・インコーニティの演奏で、ヴィヴァルディの多くの楽器を用いた編成による協奏曲を取り上げる、"IL MONDO Al ROVESCIO"。 聖ロレンツォの祝日のための協奏曲、2曲(RV 562, 556)に、ザクセン選帝侯世子を迎えるコンサートで演奏された協奏曲(RV 571)、やはり、何かのイヴェントのために書かれただろう、2つのオーボエのための協奏曲(RV 536)、さらに、ドレスデンの宮廷楽団に提供された、ヴァイオリン

10月15日、ドレスデン・コネクション!ワクワクさせられっぱなしの、カッコいいバロック、盛りだくさん!

アルフレード・ベルナルディーニ率いるアンサンブル・ゼフィロが、ザクセン選帝侯のお世継ぎのグランド・ツアーに始まる、ドレスデンの宮廷音楽の新たな花やぎ、見つめる、"Grand Tour a Venezia"。 1716年、若きザクセン選帝侯世子、フリードリヒ・アウグスト(1733年に選帝侯に、翌年にはポーランド王となる... )が、ヴェネツィアを訪問。その随行員には、後にドレスデンの宮廷楽団のコンサート・マスターとなるピゼンデル(1687-1755)、後にドレスデンの宮廷礼拝

10月14日、ドレスデンのコンサート・マスター、ピゼンデルのために書かれたヴィヴァルディのコンチェルトに、ワクワク!

naive、"VIVALDI EDITION"から、ジュリアン・ショーヴァンのヴァイオリン、彼が率いるル・コンセール・ド・ラ・ローグの演奏で、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集、第10集、"Intorno a Pisendel"。ヴィヴァルディの弟子、ピゼンデルをフィーチャー! ザクセン選帝侯のドレスデンの宮廷楽団のコンサート・マスターを務めたピゼンデル(1687-1755)。バッハやテレマン、ゼレンカらと親交を持ち、同時代を彩った作曲家たちから多くの作品を献呈された逸材