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10月23日、チーム・ハンガリーによるフランス・バロック、マニアックに攻めつつ、ますます充実!ジェルヴェのグラン・モテ...

ジェルジュ・ヴァシェジ率いる、ハンガリーのピリオド・オーケストラ、オルフェオ管、パーセル合唱団による、オルレアン公爵家の楽長を務めた、ジェルヴェのグラン・モテ集。

シャルル・ユベール・ジェルヴェ(1671-1744)。
太陽王の弟、オルレアン公に仕える従者を父に、パリで生れ、早くから音楽の才能を開花。何でも、12歳の時に、王のシャペルの楽長のオーディションを受けたという伝説があるほど... やがてオルレアン公爵家の楽長となり、2代目、オルレアン公が、ルイ15世の摂政になると、その後ろ盾もあって、1723年、王のシャペルの楽長のひとり(楽長職をカンプラら4人と輪番で務めた... )となり、宮廷のためにに、多くのモテを作曲。

で、このアルバムが取り上げるのは... 詩篇54篇『神よ、我が祈りをお聞き届けください』、『子らよほめまつれ』、詩篇42篇『神よ、われを裁きたまえ』、詩篇12篇『いつまで、主よ、わたしを忘れておられるのか』、そして、テ・デウムというグラン・モテ、5曲... 王のシャペルのために書かれた、それに相応しい、まさに"グラン"なモテ!

フランス・バロックを切り拓いたリュリ(1632-87)の正統を受け継ぎ、情感に溢れる音楽を展開しつつ、オルレアン公がイタリア音楽好きだったこともあり、イタリアのセンスも引き入れる... と、イタリア帰りのシャルパンティエ(1643-1704)のような鮮烈さ、パワフルさも響かせる!それは、いいとこどり?ジェルヴェの前の時代の二大巨匠のスタイルを巧みに融合し、さらなる魅力を発するのがジェルヴェのグラン・モテ...

一方で、ジェルヴェは、ロココを彩ったフランソワ・クープラン(1668-1733)、カンプラ(1660-1744)らと同世代... つまり、ロココへとうつろう時代に在って、ジェルヴェの音楽は、オールド・スタイルだったか... が、かつての時代の、バロックの重々しさがもたらす聴き応えたこそ、魅力!ロココ調に浮ついてない、骨太にこそ惹き込まれる。

というジェルヴェを聴かせてくれた、ヴァシェジ+オルフェオ管&パーセル合唱団。ハンガリーから見つめるフランス・バロックの独特さ... その独特さを以ってケミストリーを起こしてきた彼らが、掘り起こす、隠れた逸材の興味深さ!オールド・スタイルの総合としてのジェルヴェの独特さが、チーム・ハンガリーが持つ、ある種の東方性と共鳴するのか... そうして、フランス・バロックの有名どころにまったく引けを取らない音楽を繰り出す!いや、思いの外、魅力的!

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