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10月16日、交響曲の誕生を予感させる充実の規模!そこから繰り出される鬼才性!ヴィヴァルディ、半端無い...

アマンディーヌ・ベイエのヴァイオリン、彼女が率いるリ・インコーニティの演奏で、ヴィヴァルディの多くの楽器を用いた編成による協奏曲を取り上げる、"IL MONDO Al ROVESCIO"。

聖ロレンツォの祝日のための協奏曲、2曲(RV 562, 556)に、ザクセン選帝侯世子を迎えるコンサートで演奏された協奏曲(RV 571)、やはり、何かのイヴェントのために書かれただろう、2つのオーボエのための協奏曲(RV 536)、さらに、ドレスデンの宮廷楽団に提供された、ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲(RV 576)、そして、ソロ・コンチェルト、フルート協奏曲(RV 432)に、ヴァイオリン協奏曲(RV 344)、アルバムのタイトルに採られた協奏曲、「プロテウス、あるいは逆さまの世界」(RV 572)という、全8曲...

いやー、聴かせます!もう、1曲目、ニ長調の協奏曲「聖ロレンツォの祝日のために」(RV 562)から、ただならない... 打ち鳴らされるティンパニー!勇壮に吹かれるホルン!この壮大さは、いつものヴィヴァルディとは違う... てか、バロックのスケールを越えている?かと思うと、ヴァイオリンが妙技を聴かせ、何だ?!この盛りだくさんさは!協奏交響曲とか、予感させるのか... ヴィヴァルディの先進性を目の当たりにさせられるよう。

"IL MONDO Al ROVESCIO"が取り上げる協奏曲は、祝祭用に書かれたものが中心。ということで、スケールは大きく、聴く者の耳を楽しませる要素がいっぱい詰まっている!で、よりエンターテインなのが印象的... そこに、鬼才ならではの、様々なフックがあって、聴き進めば、進むほど、魔法に掛けられるような感覚を覚え... いや、もう、ワンダーランド...

一方で、ソロ・コンチェルトは、ヴィヴァルディらしく、ヴィルトゥオージティに溢れ、また違ったベクトルで魅了してくる。ホ短調のフルート協奏曲(RV 432)の、フルートの雅かつ儚げな佇まいと、短調が生む得も言えぬ表情に惹き込まれ... イ長調のヴァイオリン協奏曲(RV 344)では、ヴァイオリンの明るく鮮やかなサウンドが存分に引き立ち花々しい!

そんなヴィヴァルディを聴かせてくれた、ベイエ+リ・インコーニティ。軽快にして、彼ららしい豊潤な響き(フランス流?)が、スケールの大きくなったヴィヴァルディの音楽を色彩豊かに盛り上げ、幻惑してくる!で、腕利き揃いのリ・インコーニティ... ソロがそれぞれにすばらしく、どの協奏曲も聴き応え十二分!もちろん、ベイエのヴァイオリンも冴え渡り、鮮やかさとともに、彼女ならではの芳しさが感じられ、魅了される。

それにしても、ヴィヴァルディって、聴いても聴いても、その魅力、尽きない... 室内コンチェルトの親密にして充実の音楽があるかと思えば、もはやシンフォニックなものまで!この幅が半端無い... で、どちらも、ホント、魅了されるのだよね...


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