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じっくり暮らし、観光業界で働く。大人の島留学という入口から。

前職を辞め、株式会社海士で働くことを希望して来島。
直接転職ではなく大人の島留学という制度を選択した理由とは…。

島根県の離島、隠岐島前地域で大人の島留学・島体験に参画した皆さんの来島前・来島後、そしてこれからについてお届けする「私、島で働く。」
来島のきっかけから島での仕事・暮らし・自分自身の変化など
1人1人のストーリーをお届けしています。

R5年度の大人の島留学生として海士町に来島。
株式会社海士(以下、株海士)で勤務する山内さん、西村さんにお話を伺いました。

山内さん(左) 取材当時25歳 茨城県出身
西村さん(右)取材当時23歳 兵庫県出身
R5年度大人の島留学生として来島

島のホテルで働くと決め、退職。

前職を辞め、1年間島で暮らしながら、観光分野の地方創生に取り組む「大人の島留学生」として参画した2人。

━━海士町に来る前はどんなことをされていたんですか?

西村さん:
携帯ショップで1年間働いていました。転職したいなと思ったタイミングにEntôが紹介されている番組を見たことがきっかけで…。それも1年前に父親が録画していた番組をたまたま1年越しに観て、「ここで働きたいな」とその日に応募しました。

山内さん:
地元の野球チームを持った会社に入り、球団職員として働いていました。
そこのグループ会社で福祉のスタッフとしても働き、土日は球団スタッフとしてグッズを売ったり、SNS集客などに携わっていました。
その後、同じ会社内の飲食部門に異動して、自分が退職するまでは飲食店の店長として働いていました。

━━それぞれ違う分野から島のホテルに…。株海士で働きたいと思った理由は?

西村さん:
人と関わる仕事がしたいと思って携帯ショップに就職しました。カウンターで1対1でお話しができる接客がいいなと思って入ったけど、お客様は携帯のお悩みで来店されて、解決できて喜んでいただけているところにさらに営業をかける必要がある。
その時に「モノを介さず、まごころ100%を届ける仕事がしたいんだ」と気づき、ホテルの直接お客さまにサービスを届けられるっていいなという思いからEntôで働くことを決めました。

山内さん:
きっかけは株海士が発信するnoteです。
学生時代から一人旅をしていて、「自分もいつかゲストハウスを立ち上げたいな」と思っていました。
宿泊業界で働く前に色んな業界を勉強してから宿泊業に活かせたらいいなと思って、前の職場に就職しました。けど、違う業界で働いてみて宿泊業界に携われない歯がゆさを感じて、転職することに決めました。転職活動中にいろんな求人を見ていたけど「募集の文字だけで実際に宿泊業界で働く人ってどんな人がいるのだろう?リアルな声が聞きたいな」と思うようになって転職サイトから一回外れて調べていたら株海士が発信しているnoteを見つけて…。

━━それでnoteに辿り着いたんですね…ちなみにどのnoteですか?

山内さん:私の離島lifeというnoteの連載です。

山内さん:
実際にどんな仕事をしているのか、休日はどんな過ごし方をしているのかがリアルに綴られていて、話を聞いてみたいなと思い、応募フォームを送りました。Entôもオープンして間もないため、立ち上げの部分にも関われるのではという面白さもあって。
島に来たらいろんなチームに属しながら働けそうだなというのがnoteを読んで伝わってきました。宿泊業界を知る上でも、勉強になるなと思ってここを選びました。

株式会社海士で働く、各チームの紹介
タビナカチーム
Entôに滞在するゲストをサポートするチーム。
タビマエチーム
Entôにお越しになる前をサポートするコンシェルジュチーム。
クリンネスチーム
客室を創り上げる”しつらえ”のプロフェッショナルチーム。
ダイニングチーム
Entô Diningにて、朝食とディナーでゲストをおもてなしするチーム。
キンセンチーム
港にある常識商店と、レストラン船渡来流(セントラル)亭を運営するチーム。

転職か大人の島留学か、選択は大人の島留学

━━直接転職という形もあったかと思いますが、大人の島留学制度を活用した理由は?

西村さん:
ここに来るまで大人の島留学を全然知らなくて、普通に株海士に転職するつもりでした。最終面接のときに「ぜひ来てください」って言ってもらえて、もちろん株海士として採用もするけど一個選択肢として「大人の島留学もあるよ」って提案していただいて。

━━最終面接で言われたんですね!急な提案に迷わなかったですか?

西村さん:
大人の島留学だったら「いろんな事業所の子たちと住めるってところと、その子たちから派生していろんな人たちと関われるな」というのも想像がついて。「職場と家の環境はちょっと変えたいな」というところもあったので割と迷わずに大人の島留学を選びました。

山内さん:
僕も転職する流れで応募フォーム送って、採用過程の中で海士町に「大人の島留学という制度があります」と提案していただいて。「どうしようかな…?」と思ったけど、大人の島留学だったらシェアハウスも無料で使えて、島に来る上での初期投資が免除されるのは大きかったので、大人の島留学で来ることにしました。島の環境も知れるし、一人で島に来て、友達ゼロの状態で島で暮らすのは、ハードルが高いかなとも思っていたので。

━━大人の島留学という制度を利用したメリットはありましたか?

西村さん:
一人で普通に転職していたら、何か頼るのも職場の人だし、生活も職場の人との時間が多かったと思います。大人の島留学だからシェアハウスも違う事業所の子と関わるし、なにより仲間がたくさんいることが心強かったです。しんどい時期もなく、楽しく過ごせたのは大人の島留学のみんなと過ごせたからだと思います。事業所が違っても悩んでいるタイミングが同じだとか、この子たちも頑張って乗り越えているから私も頑張ろうって思ったりとか、すごい大きな存在ですね。

心強い大人の島留学の同期と

山内さん:
お試し来島をしたときに、おじいちゃん・おばあちゃんが若い人に「あんたは大人の島留学生かね?」と聞いているのを見て、大人の島留学っていう制度が浸透しているんだなっていう驚きがありました。
実際に来て、島民のみなさんに「大人の島留学で○○邸に住んでいます」と話すと「よく来たね」って返ってきて、受け入れ度合いがすごいなって実感しました。そのおかげでグッと島民のみなさんと距離が縮まって、なんの悩みもなくコミュニケーションが出来たり、気軽に直会(島の打ち上げ)に参加できるところがすごいメリットです。

自分に合った働き方で

━━いまはどんなお仕事をされているんですか?

西村さん:
基本Entôの中でフロント業務をしています。チェックイン、チェックアウト、ゲストのご滞在中のお困りごとや過ごし方のご相談に乗るなどがフロントの仕事。クリンネスとして客室清掃もしていることがあり、私はその2つが主な仕事です。

お客さまにアメニティのポストカードを渡す西村さん

山内さん:
僕は西村と一緒のタビナカチームというフロントのチーム、そのほかにもクリンネスチーム、朝食と夕食を提供するダイニングチームにも所属しています。
さらに、株海士が運営する港のレストラン船渡来流セントラル亭や代表は同じだけど別会社の島ファクトリーという会社が運営するB&Bあとどでも働いています。あとはリネン工場にも。結構、移動しながらマルチに働かせてもらっています。今月はフロントに3日しか入っていないです(笑)

西村さん:
全然見ないもん!かぶらないよね(笑)

━━同じチームでも働き方が全然違うんですね…。それは大人の島留学だからそういう働き方なんですか?

山内さん:
大人の島留学だからというわけではなくて、株海士という会社的にも各個人の意思を尊重していて、社員だから大人の島留学生だからとかそういう枠組みではなく、株海士で働く人全員に、どんな働き方がしたいのか聞いていると思います。自分は将来ゲストハウス経営という目標があるため、「いろんなところで働きたいです」とお話したところ今の形で働かせてもらうことになりました。ここまでマルチに働いている人はいないかも…。(笑)

港のレストラン船渡来流セントラル亭で調理も担当する山内さん

西村さん:
私は「お客さまと直接関わりたいです」とお伝えしました。「経験を詰みたいので、何でもやります!」と。
でも面談でふと、「お花が好きです」と言ったら「花壇を担当してもらえないか」と提案していただいて、お客さまと直接関れるフロント業務をしながら、花壇の手入れやその延長で畑もはじめました。ほかにも旬の食材を使ったウェルカムドリンクを作るなど、幅広く継続して働かせていただいています。

右上のピクルス。畑で採れた野菜がEntôの朝食で提供されました。

━━仕事で印象に残っているエピソードはありますか?

西村さん:
人との関わり方にも種類があるなと思いました。フロントでは、フロントスタッフらしいコミュニケーションを心がけています。そんな中でもEntôで焚き火をやっているときは、フロントスタッフとお客さまではなく、人と人との関わりも大切にできる場所だなと思っていて、カジュアルに人と関われる瞬間はすごく楽しいなぁって。
カジュアルに人と関わることが好きなんだということに気づきました。


山内さん:
B&Bあとどではお客さまと接するタイミングは朝食しかなくて。
せっかくならお客さまと話したいなと思い、朝食の時間にお話しするのですが、そこで1人のお客さまと仲良くなって、その方の離島をお見送りに行ったことが印象に残っています。

お客さまをお見送り

山内さん:
「仕事だからこうしなきゃ!」じゃなくて宿のスタッフであり、島民でもある。「あとどでよかったな」、「Entôでよかったな」と思っていただけたとき、旅の価値がグッとあがるのかなと船を見送った瞬間に思いました。

━━参画前と参画後、仕事場の見え方に変化はありましたか?

山内さん:
マルチに働かせてもらって、「自分らしい働き方ができているな」と思いました。
いろんな部署で、いろんな経験ができて、いろんな人とコミュニケーションができる。今の働き方が自分には合っているんじゃないかなって再認識しています。それに気づけてよかったですし、風通しよく働かせていただいけて感謝しています。

自分らしい働き方を発見

西村さん:
Entôが忙しい時期にも関わらず、休みをとらせていただいて夏には盆踊りのお手伝いにも参加させてもらいました。働きながら地域との関わりに積極的に参加させていただける環境がありがたいなと思っています。

地域との関わりにも積極的に参加できる環境

暮らしと仕事を味わう時間。


━━同じ地区に住む2人。3つのシェアハウスは毎日なにかしらイベントがあるイメージですが…?


山内さん:
シェアハウスってよりかは地区の方々を中心に輪が広がっていて、それが必然と3つのシェアハウスが集まりやすくなっている理由かもしれないです。

西村さん:みんなでって感じだよね。

山内さん:
地域のみなさんに声をかけてもらうことも多いし、なら「横のつながりも大事にしたいよね」って3つのシェアハウスでご飯の持ち寄り会をしたり、誕生日パーティーをしたりとか頻繁にあるかな。

定期的に集まる3つのシェアハウス

西村さん:ほぼ月1で集まっている(笑)

山内さん:今月も誕生日があるから、何かしらやっています。

━━大人の島留学を選択してよかったですか?これから島に興味がある人や参画を検討されている方にメッセージをお願いします。

西村さん:
もう一回選べるよって言われたら大人の島留学を選びますね。土日のイベントも友達と一緒だから行こうと思うし、地域との関わりもつないでくれる。

来島直後の綱引き大会

山内さん:
来島してすぐに綱引き大会の練習もしていたもんね。馴染むのが早い。

西村さん:
シェアメイトがつなげてくれた縁でした。それがあったおかげで島暮らしが充実しているのだと思います。1年という区切りもあるし、仕事も楽しみつつ、島に入りやすい制度です。

シェアメイトと綱引き大会のユニフォームで1枚

山内さん:
大人の島留学をする人って学生も多いし、社会人経験者も多いと思うので、島に来るハードルは一旦置いて、身を任せてきてほしいと思います。来たら住むところもあるし、合う人、合わない人もいるだろうけど友達もできる。
悩みもいろいろ出てくると思うのですが、生活をしていく中で一つずつ気づけていけたらいいのかなと思います。

仲間と島のカラオケへ

西村さん:相談できる人はたくさんいるからね。

山内さん:
そうだね。ちっちゃな悩みは一度置いて、もし迷っているなら島にふらっと遊びに来る感覚で大人の島留学に参画してもらえたらいいのではないかなと思います。


あとがき

そんな山内さんや西村さんと同じように、1年間、離島でローカルライフを体験しながら、新しい地方観光創りに取り組む「大人の島留学生」を募集しています。

島を知ることは観光業においても大切なこと。
1年間の島暮らしから新しい働き方と出会えるかもしれません。

(R5年度 大人の島留学生:渋谷)


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