離島に残る若者たち、島の伝統食を後世に。
島根県の離島、海士町の伝統食「こじょうゆみそ」は知っていますか?
隠岐島前高校出身で、大人の島留学を卒業した井出さんと大人の島留学の卒業生空本さん、井上さんの3人は業務委託という形で、島の特産物を販売する有限会社海士物産海士支店(以下、海士物産)で働きながら、大学時代の友人たちが起業した合同会社FUngo(ファンゴ)の業務も担っています。
そんな海士物産で働く3名による、”こじょうゆみそ”の仕込みワークショップが行われました!
海士町のあそび場あまマーレにて開催された今回のワークショップ。
はじまりは、パワーポイントを用いて空本さんから海士物産や”こじょうゆみそ”の歴史についてお話がありました。
ここでクエスチョン!!
「こじょうゆみそ」と「一般的な味噌」との違いは何でしょう?
海士物産の生い立ちや”こじょうゆみそ”のこだわり、できるまでの過程を楽しく学ぶことができました。
いよいよ”こじょうゆみそ”づくりスタートです!!
発酵させ、完成の目安は1か月!
毎日かき混ぜ、どんな”こじょうゆみそ”に仕上がるのか楽しみですね!!
予定より多くの方々が参加されたという”こじょうゆみそ”のワークショップ。世代を越え、文化を越え、様々な人たちに海士町の伝統が受け継がれたことでしょう。
ワークショップ終了後、海士物産で働く3人にお話を伺いました!
━ーワークショップお疲れさまでした!!今回、”こじょうゆみそ”のワークショップをはじめた経緯は?
空本さん:
茜さん(あまマーレスタッフ)に「季節のワークショップイベントをやってみない?」と誘ってもらったことがきっかけです。
空本さん:
「海士物産がこういうことをしているよ」って話す機会は今までなかったですし、今年から農協さんが”こじょうゆみそ”の製造関係から撤退されて、海士物産が引き継いでこじょうゆばなを商店で売ったりしていて。値段も上がったけど、こういう値段になっている理由を伝える機会もなかった。なのでただ、ワークショップで作り方を教えるんじゃなくて「調味料のこだわりや手間暇かけて作っている背景も伝えたいです。」と言いました。
せっかくやるなら島の人に海士物産を知ってもらう。
島に愛される企業にしたいので。
━ー今日のワークショップを振り返ってどうでしたか?
井上さん:
楽しかったです。みんなでみそをつくったところ全部。
空本さん:
人がいっぱい来たのはびっくり!あまマーレパワーすごいなって思います。
井出さん:
”こじょうゆみそ”にどういうこだわりがあるかって考えるだけじゃわからないじゃないですか。
海士乃塩を使っています。加工前の粗糖を使っています。って言うのは伝わったかな。やっぱり直接言いたいことでもあったので。
━ー”こじょうゆみそ”の仕込み方などはどこで?
空本さん:
普段パートで78歳と73歳の方々に教えてもらって”こじょうゆみそ”を作ってきました。味噌の水分量とか温度の感じとか、正解がわからず試行錯誤しながら作っています。”こじょうゆみそ”だけじゃなくイカの捌き方やサザエの剥き方も教えてもらったりして。
━━お三方が海士物産で働きはじめたきっかけは?
井出さん:
ご縁です。業務委託という感じです。
━ー1年遅れて井上さんと空本さんが合流したとか
井上さん:
みんな大学の同級生なんです。詳しくはこちらの記事を見てください!
━━今はどういう仕事をしていますか?
井出さん:
イベントの出店もありますし、製造もしています。島の中では、仕入れもしていて。あと製造計画とか。
井上さん:
”こじょうゆみそ”とかあごだしとか…。町内に配達、販売をすることもしています。
━━まるどマーケット(海士町で行われているマルシェ)をはじめ、海士町のイベントにもよく出店されていますね!
井出さん:
それこそ、まるどマーケットの出店は空(空本さん)と雄一郎(井上さん)が海士町に来てくれてから。結構序盤から2人がまるどマーケットはやってくれていて。今も続いている感じです。
空本さん:
「海士物産が海士町でこんなことをやっているよ」っていうのを島の人に知ってほしいという想いがあって、「海士町ぽさがない」と島の人にも言われるなかで、海士町での活動を伝える手段の1つ。直接売ろうとマーケットに出したことがきっかけです。
━━イベントを通じて島の人との関係性も深まりました?
井出さん:
空本がまるどマーケットの実行委員会に入ってくれているので、そこでの繋がりでカオコイコーヒーの根岸さんとかアヅマ堂の祥子さんとかと知り合って僕ら仲良くさせてもらっているんで、お客さんで顔見知りになることもあるけれど、実行委員会に入ってからのほうが島の人との関係性が濃ゆくなった。
━━これからも”こじょうゆみそ”など島の伝統食を残していきたい想いはありますか?
井出さん:
農協さんの”こじょうゆみそ”をみんなが買っていたけど、撤退してしまったから”こじょうゆみそ離れ”があるんじゃないかって茜さん(あまマーレスタッフ)が話していたと聞いたんで...。
イベントには、お母さま方に来てほしいなって思ってイベント前日も呼びかけたりしていました。伝統が残っていて、味噌を自分たちで作っているからには、そこらへんは”こじょうゆみそ離れ”しないようにじゃないですけど、各家庭で残っていったらうれしいです。
なんか恐れ多いですけど、なくなるのは寂しいなって思うんで…。
空本さん:
僕らがきっかけでなくなるのは避けたい。(笑)
━━今後、海士物産として挑戦したいことはありますか?
空本さん:
イベントの最後に”こじょうゆみそ”をつくって美味しかったらInstagramで共有してって話しましたけど、実際に食べ比べとかもしてみたいね。
誰が一番愛情をかけていたとか(笑)多分味が変わってくると思うんで...
あと”こじょうゆみそ”を使った料理教室とか!
井出さん:
あと呼ばれたイベントにMAXで向き合う!
自分たちの会社じゃなくて海士物産として出店している。
そこに対する責任じゃないですけど、盆踊り呼ばれたら盆踊りにいくし、ビアガーデンに呼ばれたビアガーデンにも行くし!
人から信頼を預かって海士町で活動しているんで。
「最後に写真を撮らせてください」と3人にお願いしたところ、あまマーレのスタッフムラ―さんと茜さんも交えて撮影をすることに。
そんな人柄も3人ならでは。
伝統食を引き継いだ3人の若者。
今後も島の伝統を後世に届けていく。
(R5年度 大人の島留学生:渋谷)
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