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離島に残る若者たち、島の伝統食を後世に。

島根県の離島、海士町の伝統食「こじょうゆみそ」は知っていますか?

隠岐島前高校出身で、大人の島留学を卒業した井出さんと大人の島留学の卒業生空本さん、井上さんの3人は業務委託という形で、島の特産物を販売する有限会社海士物産海士支店(以下、海士物産)で働きながら、大学時代の友人たちが起業した合同会社FUngo(ファンゴ)の業務も担っています。

井出風之介さん(左)、井上雄一郎さん(真ん中)、空本航一さん(右)

そんな海士物産で働く3名による、”こじょうゆみそ”の仕込みワークショップが行われました!

こじょうゆみそとは
海士町に伝わる代表的な郷土食。
その名の通り、醤油のような、味噌のような、両方の味を楽しめます。
昔から醤油としてお刺身と食べたり、もろみそとして野菜と食べたり、ご飯のおかずにするなど様々な使われ方で親しまれているこじょうゆみそ。

海士町のあそび場あまマーレにて開催された今回のワークショップ。
はじまりは、パワーポイントを用いて空本さんから海士物産や”こじょうゆみそ”の歴史についてお話がありました。

海士町で創業50年。海士物産の企業理念
『海士町を大切にする』という原点回帰の想いから、立ち上げた
『KIYA』(きや)というブランドのお話
”こじょうゆみそ”のもと、
こじょうゆばなができるまで。
大豆や塩など海士町産を使用し、大豆は炒って使うらしい

ここでクエスチョン!!
「こじょうゆみそ」と「一般的な味噌」との違いは何でしょう?

正解は。。。夏に仕込むこと!

海士物産の生い立ちや”こじょうゆみそ”のこだわり、できるまでの過程を楽しく学ぶことができました。

いよいよ”こじょうゆみそ”づくりスタートです!! 

 こちらは海士物産でつくられた糀(こじょうゆばな)。
みんなでほぐします!どうやら少しあたたかいらしい
軽量してから大きな樽へ
調味料をあわせます
海士乃塩や粗糖を使用するこだわり
みんなでかき混ぜる
混ざったら”こじょうゆみそ”なるもとが
持参したタッパーに移して
名前をつけて1か月。愛情を込めてかき混ぜましょう
これは大事です!”こじょうゆみそ”を育てる際に気を付けるポイントの説明

気を付けるポイント
・愛情を込める
・湿度、温度に気を付ける(風通しのいい、寒くないところ)
・蓋をきちんと閉める
・綺麗な手で、毎日かき混ぜる
・蓋や縁についた”こじょうゆみそ”は拭き取る
・雑菌が失敗するきっかけ

参加されたみなさんからは「おすすめの食べ方」や「かき混ぜる頻度」など
数多くの質問が飛び交いました!


発酵させ、完成の目安は1か月!
毎日かき混ぜ、どんな”こじょうゆみそ”に仕上がるのか楽しみですね!!

予定より多くの方々が参加されたという”こじょうゆみそ”のワークショップ。世代を越え、文化を越え、様々な人たちに海士町の伝統が受け継がれたことでしょう。


ワークショップ終了後、海士物産で働く3人にお話を伺いました!

左から井出さん、井上さん、空本さん

━ーワークショップお疲れさまでした!!今回、”こじょうゆみそ”のワークショップをはじめた経緯は?

空本さん:
茜さん(あまマーレスタッフ)に「季節のワークショップイベントをやってみない?」と誘ってもらったことがきっかけです。

イベントのきっかけをくれたあまマーレスタッフ茜さん(右から2番目)とムラ―さん(真ん中)

空本さん:
「海士物産がこういうことをしているよ」って話す機会は今までなかったですし、今年から農協さんが”こじょうゆみそ”の製造関係から撤退されて、海士物産が引き継いでこじょうゆばなを商店で売ったりしていて。値段も上がったけど、こういう値段になっている理由を伝える機会もなかった。なのでただ、ワークショップで作り方を教えるんじゃなくて「調味料のこだわりや手間暇かけて作っている背景も伝えたいです。」と言いました。

せっかくやるなら島の人に海士物産を知ってもらう。
島に愛される企業にしたいので。

━ー今日のワークショップを振り返ってどうでしたか?

井上さん:

楽しかったです。みんなでみそをつくったところ全部。

井上さん

空本さん:
人がいっぱい来たのはびっくり!あまマーレパワーすごいなって思います。

井出さん:
”こじょうゆみそ”にどういうこだわりがあるかって考えるだけじゃわからないじゃないですか。
海士乃塩を使っています。加工前の粗糖を使っています。って言うのは伝わったかな。やっぱり直接言いたいことでもあったので。


━ー”こじょうゆみそ”の仕込み方などはどこで?

空本さん:
普段パートで78歳と73歳の方々に教えてもらって”こじょうゆみそ”を作ってきました。味噌の水分量とか温度の感じとか、正解がわからず試行錯誤しながら作っています。”こじょうゆみそ”だけじゃなくイカの捌き方やサザエの剥き方も教えてもらったりして。

空本さん


━━お三方が海士物産で働きはじめたきっかけは?


井出さん:

ご縁です。業務委託という感じです。

━ー1年遅れて井上さんと空本さんが合流したとか

井上さん:
みんな大学の同級生なんです。詳しくはこちらの記事を見てください!


━━今はどういう仕事をしていますか?

井出さん:
イベントの出店もありますし、製造もしています。島の中では、仕入れもしていて。あと製造計画とか。
井上さん:
”こじょうゆみそ”とかあごだしとか…。町内に配達、販売をすることもしています。

井出さん


━━まるどマーケット(海士町で行われているマルシェ)をはじめ、海士町のイベントにもよく出店されていますね!

井出さん:
それこそ、まるどマーケットの出店は空(空本さん)と雄一郎(井上さん)が海士町に来てくれてから。結構序盤から2人がまるどマーケットはやってくれていて。今も続いている感じです。

空本さん:
「海士物産が海士町でこんなことをやっているよ」っていうのを島の人に知ってほしいという想いがあって、「海士町ぽさがない」と島の人にも言われるなかで、海士町での活動を伝える手段の1つ。直接売ろうとマーケットに出したことがきっかけです。

まるどマーケットに出店


━━イベントを通じて島の人との関係性も深まりました?

井出さん:
空本がまるどマーケットの実行委員会に入ってくれているので、そこでの繋がりでカオコイコーヒーの根岸さんとかアヅマ堂の祥子さんとかと知り合って僕ら仲良くさせてもらっているんで、お客さんで顔見知りになることもあるけれど、実行委員会に入ってからのほうが島の人との関係性が濃ゆくなった。


━━これからも”こじょうゆみそ”など島の伝統食を残していきたい想いはありますか?

井出さん:
農協さんの”こじょうゆみそ”をみんなが買っていたけど、撤退してしまったから”こじょうゆみそ離れ”があるんじゃないかって茜さん(あまマーレスタッフ)が話していたと聞いたんで...。
イベントには、お母さま方に来てほしいなって思ってイベント前日も呼びかけたりしていました。伝統が残っていて、味噌を自分たちで作っているからには、そこらへんは”こじょうゆみそ離れ”しないようにじゃないですけど、各家庭で残っていったらうれしいです。
なんか恐れ多いですけど、なくなるのは寂しいなって思うんで…。

空本さん:
僕らがきっかけでなくなるのは避けたい。(笑)

伝統食を引き継いで


━━今後、海士物産として挑戦したいことはありますか?

空本さん:
イベントの最後に”こじょうゆみそ”をつくって美味しかったらInstagramで共有してって話しましたけど、実際に食べ比べとかもしてみたいね。
誰が一番愛情をかけていたとか(笑)多分味が変わってくると思うんで...
あと”こじょうゆみそ”を使った料理教室とか!

ワークショップの最後はInstagramの紹介も

井出さん:
あと呼ばれたイベントにMAXで向き合う!
自分たちの会社じゃなくて海士物産として出店している。
そこに対する責任じゃないですけど、盆踊り呼ばれたら盆踊りにいくし、ビアガーデンに呼ばれたビアガーデンにも行くし!

人から信頼を預かって海士町で活動しているんで。

盆踊りの出店

「最後に写真を撮らせてください」と3人にお願いしたところ、あまマーレのスタッフムラ―さんと茜さんも交えて撮影をすることに。
そんな人柄も3人ならでは。


伝統食を引き継いだ3人の若者。
今後も島の伝統を後世に届けていく。

(R5年度 大人の島留学生:渋谷)


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