「今日も生きてる」って思う日々の連続でした
友人の紹介で知った大人の島留学に心惹かれ、2021年1月より大人の島留学に参画した堀之内さん。
離島で暮らすことは、少し特別でおもしろい気がする。そういった期待感を持ちながら来島し、海士町役場 交流促進課で、ふるさと納税に関する業務を行っていました。
2021年3月より大人の島留学は修了しますが、引き続き、この島で暮らす堀之内さんに、この1年間を振り返っていただきました。
この土地はどんな土地だろうか
友人の紹介で知った海士町。直感的に行ってみたい!と感じ、大人の島留学に参画した堀之内さんは、これまで考えたこともなかった「離島暮らし」に挑戦しました。
――島で暮らしてみていかがでしたか?
堀之内さん:
「仕事して、帰ってきてからシェアメイトとご飯を食べたり、休日には散歩に出かけてお気に入りの場所を見つけたり、何気ない日常が好きでした。特別な何かはなくても、「自分、今日も生きてるな」って感じるくらい満足していました。
散歩していても、いつまでも覚えていたい瞬間がたくさんあったし、季節によって変わる景色はいつ見ても飽きない。都会では感じづらかった、余白のある生活が幸せで、ずっと大切にしたい暮らし方だと思っています。」
島で暮らしてみて、東京や地元での暮らしでは気づかなかった新しい魅力を見つけたという堀之内さん。この土地はどんな土地で、どんな人がいて、どんなふうに暮らしてるのかを意識する機会は今までになかったといいいます。
――この島で特に好きな日常はありますか?
堀之内さん:
「やっぱり散歩やドライブをしてるときです。この間、ドライブをしてる時に、お気に入りの木を見つけたんです。木の形が良くて(笑)
都会だと、物で溢れていて一つひとつのことを見つめられないから、「これ好きだな~」と考えることも少ないというか…。島ではただドライブしてるだけだけど、好きなものがどんどん見つかっていく感覚がいいなと思っています。周りの自然に目を向けられる、穏やかな時間が好きですね。」
▼堀之内さんが綴る島暮らしの様子
自分の仕事に愛着がある
1年3か月の間、堀之内さんはふるさと納税と交流促進課の業務を行っていました。2021年12月までの海士町ふるさと納税寄附総額は2億円を超え、ふるさと納税を支える一員である堀之内さん。
堀之内さんの仕事は、大きく2つあり、1つ目はふるさと納税関連の事務を、2つ目は視察対応を行っていました。
1つ目のふるさと納税関連の仕事では、日本全国から申し込みいただく、ふるさと納税の受け付けや、事業所へ返礼品を依頼する発注作業をしていて、その間、受領書の郵送や、控除申請の受付など、寄附者さんとのやり取りを担当されていました。
他にも、新しい返礼品を増やすため、職場の方と一緒に多くの事業所へ訪れ、ふるさと納税業務周りで事業者さんがどういうところにお困りであるか聞いてまわりました。また関連する打ち合わせにも参加して、議事録作成などに携わっています。
2つ目の視察対応では、月に1度、海士町へ視察される企業の方や大学生など、お客様への対応を行っており、受付から日程調整、宿など、視察に必要なサポートをしていました。
―― 日々の業務の中で、特に好きな仕事を教えてください。
堀之内さん:
「ふるさと納税の寄附者さんに、感謝の手紙をお送りすることです。ふるさと納税サイトでの応援メッセージや手紙をくださったときに、お返しさせていただいていて、温かい言葉をいただけるのは、すごく力になっています。
このようなコミュニケーションから、私たちと寄附者さんが繋がっている感覚があり、島と寄附者さんとの距離が近づいている気がしてうれしいです。」
12月31日が締め切りのふるさと納税。それにより、堀之内さんの仕事は1月1日まで続きました。年末年始は特に忙しく、受領書の封入作業を1日400件以上行っていたといいます。
受領書の封入作業は、当初から堀之内さんが担当してきた仕事であり、2021年の最後を締めくくる仕事でもありました。その最後の封入作業には、今まで働いた思い出が詰まっていて、ぐっとくる瞬間があったそうです。
自分が受け持っていた仕事へ愛着を持てていたことや、達成感があったことに、自分が仕事と向き合ってきた成果が感じられてうれしかったと話していました。
1人しかいないという責任感
1年3か月の間、交流促進課の一員として、日々業務に勤しんできた堀之内さんですが、2021年の10月に少し変化があったといいます。
10月より、新しく島体験生の立石さんが交流促進課に勤めることとなり、業務内容が新しくなりました。今までは事務とその他の仕事を合わせて行っていたものが、立石さんと分担し、堀之内さんは事務に専念することになりました。そこから事務への意識が変わり、責任感が人一倍強くなったといいます。
堀之内さん:
「事務を私一人で担当している分、ミスやもの忘れが、直接寄付者さんへのご迷惑につながる。ちょっとした疑問や不安を「まぁいいか」と済ませることはできないし、筋を通した仕事を心掛けなければいけないと、改めて仕事への意識を考え直すきっかけになりました。」
――そんな中、この1年間で大きな1歩を踏み出したこと、チャレンジしたことはありますか?
堀之内さん:
「海士町の地区のみなさんに向けて、地区版ふるさと納税の説明をしたことです。『地区のみなさんに、地区版ふるさと納税のことを説明してみない?』と声をかけていただいたことがきっかけで、説明の機会を設けていただきました。
海士町民のみなさんにも、この制度を知っていただきたかったので、実際に、区長さんや地区のみなさんの前で、説明をさせていただきました。」
地区版ふるさと納税とは、寄附者さんが指定した地区へ、寄附金が贈られるという仕組み。より地域に特化して地区を盛り上げていきたいという想いが込められているそうです。
――チャレンジしてみていかがでしたか?
堀之内さん:
「今まで人前に立って、説明する経験がなかったので、緊張しました。このような経験をさせていただけたことがありがたいです。
大人の島留学生たちが、地区版ふるさと納税のチラシを作って地区に広めてくれていたみたいで、協力してくれたことがうれしかったです。自分が受け持った仕事だったので、とにかく無事に終わることができて安心しました。」
「1つのことを続けるのは大切だと思う」という言葉
2022年の3月、大人の島留学が修了。堀之内さんは、これからも海士町での暮らしを続けることになります。
――島で暮らし続けたいと思ったのはどうしてでしょうか。
堀之内さん:
「島のみなさんからの『もう少し島にいてみたら?』という言葉をいただくことが多く、心に残っていました。1年3か月じゃ短いかなと思っていたし、島で引き続き暮らせることも素敵だなと思ったんです。」
将来を考えるうえで、移住は大きな決断。なかなか決断に踏み込めなかった堀之内さんでしたが、1年間お世話になっていた交流促進課長からの言葉が最終的な決断に至ったと話します。
堀之内さん:
「課長とお話しさせていただいている時に、『1つのことを続けるのは大切だと思う。』という言葉がなんとなく腑に落ちました。思い返すと、今までずっと続けてきた経験はなかったなぁと。だから、いい機会かなと思いました。
でも、4月からは大人の島留学生はやめて、海士町役場の会計年度任用職員として働くことになりました。自分の捉え方次第でもありますが、大人の島留学生だと、島留学生としての立場に甘えてしまうような気がしたんです。一度、全部自分の責任でいち島民として働いてみたくなりました。」
堀之内さんは、交流促進課長のもとで働きたいとの思いから、4月から引き続き、交流促進課で働くことになります。
些細なところにも常に目を向けてくださり、起きた問題の大小に関わらず、なぜ・どこがいけなかったのかにしっかり向き合って、指摘してくださる課長のもとで、これからもたくさん学ばせていただきたいと堀之内さんは話していました。
この1年3か月の間、自分自身のことを少しわかったという堀之内さん。周りにいてくれる島のみなさんが優しいからこそ、自分もみなさんのことを大切にしたい。改めて自分がみなさんを大切にできる方法で、日々感謝を伝えていきたいと堀之内さんは話していました。
LINKS
前回の堀之内さんの「わたし、島で働く。」はこちら!
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