止まり木図書館司書ーー図書館のご案内
「『かきとかき』では平面だけど、『牡蠣と柿』だともくもくなにやらが浮かび頭の中で立体を形成する。漢字は古くから使われていた立体起動装置なんですよ」
漢字はつまるところ、細分化された素数の単語。単語は助詞やら動詞やら副詞などとせってはぶつかり火花を散らし、くっついては離れ、またひっつき、じたばた暴れだしていく。発光しては消灯し、明滅を繰り返しながら立体に浮かびあがっていく。そのようにして足に根を生やしたような不動の単語が仲間を引き連れ、川が流れるように意味を紡ぎ出し、川面を