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視覚に囁く『小ご絵』

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いつも大きくて立派な扉ばかり見せられてきたように思う。 深く考えることなく、大きくて立派な扉ばかり追いかけてきたように思う。 だけどいつもうまく開けられるわけじゃない。 ある… もっと読む
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2024年1月の記事一覧

緒。

 擦過音を伴いながら、そのノイズは細い管を経由して、生きながらえるための養分を送り込んで…

noteの公に晒されない中途半端な仲間たち。

 noteの下書きに、公開されないコンテンツが、置き去りにした書棚に塵が積もるようにして溜ま…

幸せの支え合い。

「寒い日が続くわね」と君は甘えた声で言う。 『そうだね』と返した僕の返事では飽き足らない…

年式落ち編集者のつぶやき。

 今や欲しい情報のほとんどはネットでたいがいのものは見つけられる。だけど、欲しい情報中の…

ある医者の翳り。

 せっかく救った命でも、死刑を宣告されちゃあね。複雑な気分だよ。  医者としての使命は果…

朝が終わる前に。

 遮光カーテンを開けると、たちまち朝日の粒子が飛び込んで、部屋の中で遊び出す。  眩しい…

止まり木図書館司書ーー図書館のご案内

「『かきとかき』では平面だけど、『牡蠣と柿』だともくもくなにやらが浮かび頭の中で立体を形成する。漢字は古くから使われていた立体起動装置なんですよ」  漢字はつまるところ、細分化された素数の単語。単語は助詞やら動詞やら副詞などとせってはぶつかり火花を散らし、くっついては離れ、またひっつき、じたばた暴れだしていく。発光しては消灯し、明滅を繰り返しながら立体に浮かびあがっていく。そのようにして足に根を生やしたような不動の単語が仲間を引き連れ、川が流れるように意味を紡ぎ出し、川面を

『ジブリパークの1日』

    1ねんBぐみ きんぱち ゆたか  せんしゅうの日ようび、かぞくでジブリパークへ行…

大人の庭園遊び。

 ガキの時分は、裏庭にあった大自然だったさ。山あり谷あり河川ありの。  ところが万博がす…

誘い。

 たまごを茹でるように浸し、目を覚ます。夢に浮かんでいたような世界が茹で上がると引き締ま…

ゲンさんの呟き。

「仕事なんか、辛くなきゃおもしろくねえだろ」  ゲンさんは相変わらず過激で暴力的だけど、…

止まり木図書館司書ーー裸を売る女。

 セブン芸能で働いているんですか。 「そう」  ということは、ヌード?  カウンターでアタ…

止まり木図書館司書。

 ずっと探していたんだよ。図書館司書の空席をね。  やっと空席があったんだよ。尖塔まで続…

人生には答えの出せない問いが多すぎる。

「犯罪者は被害者になればいいのよ」と痴漢に絶えない女が言った。「私人逮捕系ユーチューバーは、痴漢撲滅の影のガーディアン」とも。 「いい気味だわ。こっそり撮った輩は獲られて当然。お灸を据えなきゃ炎上以上にすけべ心が燃え上がる。つけあがらせないためにも、私人による吊し上げは必要よ」 「SNSでちょいと私人取り締まりの噂を流せば、痴漢も盗撮魔もたちまち身をすくませるの」 「肝も根性も座ってないのに、妄想とズボンを膨らませ、欲望にまかせて行動しちゃうからあんなことになるんだわ。