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視覚に囁く『小ご絵』

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いつも大きくて立派な扉ばかり見せられてきたように思う。 深く考えることなく、大きくて立派な扉ばかり追いかけてきたように思う。 だけどいつもうまく開けられるわけじゃない。 ある…
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記事一覧

自己主張。

「こんな感じ・・・かな? ねえ、似てる?」  吾輩は、人間が上から目線で見下ろすほど、実…

野良の言い分。

「ねえ、まだ飼ってくれないの? また餌をくれるだけ? これだけなついてあげたんだもの、そ…

未知との遭遇。

「獲物にしては小さ過ぎる。食べても腹の足しにはならないだろうしなぁ」  何事も『初めて』…

冬を追う。

 追いかけても捕まえられなかったあの人みたいに、君はすんでのところで身を躱して逃げていく…

どれにする?

「世の出来事なんて我関せず。世間で起こる事件なんて、私にゃほとんど無関係なんだもんね」 …

ボロイズ・ビー・アンビシャス⁉︎

 何もしない、何も考えない日は瞬く間に過ぎるけど、時間を惜しみ空白を残さない生き方を選べ…

歩み。

「練習したてでうまく泳ごうなんて、おごっていますよ」と、プール付きの先生は言う。教室のない時間帯は指導にあたることなく、先生は監視兼任で来館者に適宜アドバイスを行っていた。 「まずは右手で3回、左手で3回。息継ぎなしでここまでやってみて」  バタフライはずっと憧れていた泳法で、投稿サイトやGoogle先生に教えを乞い、頭では理解したつもりでいたのに、見るとやるとでは大違いで、遅々として最初の一歩さえ踏み出せない状態だった。  クロールや平泳でさえ労多くしてまともに前に進まな

私たちは聞かれている。

「おまえまた店の煙草ば黙って持ってきよるが。ほんなこつ腹のたつ」と叱られていた鉄矢少年も…

喋る猫。

 うちの猫は一般的な猫と明らかに他の猫とは違う。初聴で記憶に刻み込む奇妙な声を発する。 …

好奇心、知りたさマックス、ケガ一生。

 怖いもの見たさは、世の常、人の常、猫の常。  知らなかったことを知りたくなるのも人の常…

神性復古。

「あの太田神社宮司の娘さんだってよ」 『ほお。東京の会社でバリバリやってるって聞いてたけ…

天高ければ猫も肥ゆる秋、なのか⁉︎

『今食べておかずして何とする』とは神のお告げだったか、悪魔の囁きか。それとも本能が導いた…

ガラスのテンジョウ。

「 アメリカではガラスの天井がある意味、ハリスさんの行く手を阻んだんだろうね」  そんな意…

ある猫の⚪︎まわり。

 自分に酔うことがある。  だって、猫なんですもの。  男前って言われることがある。  それはそれでイヤじゃない。  でも、乙女であることに変わりはないのよ。海に落とした指輪を見つけるように、どうぞ私を探し出してくださいな。そしてどうぞつかまえてごらんなさい。狂おしく思えるほど私を想って想ってもっと想って追いかけてきて欲しいのよ。   どんなに潔くふるまおうが、私は女。  つかまえて欲しいけど、つかまったままでいたくない。縛られるのはイヤだから、背中にまわしたその腕をする