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『ジブリパークの1日』

    1ねんBぐみ きんぱち ゆたか

 せんしゅうの日ようび、かぞくでジブリパークへ行きました。朝いちばんのにゅうじょうだったので、土ようびの夜になごやにつきました。
 日ようびはあさ7じにおきて、トーストとたまごがセットになったモーニングでオレンジジュースをのみました。
 でんしゃをのりかえてついたえきは『ばんぱく』というあとちをりようしたジブリパークのいりぐちでした。
 しばらくあるくと、ジブリのえいがにでてきそうなエレベーターがありました。エレベーターにのったのは1階のはずだったのに、降りても地上だったのでびっくりです。ジブリでは、1階が3じげんにひろがっているのです。

 エレベーターでおりた1かいにはほどなくするとアイススケート場があらわれて、おとうさんは「スケートに人がたくさん並んでいるよ」といいましたが、それはジブリの大倉庫の入場を待つ人の大行列だったのです。お父さんの勘違いで僕たち一行は少しだけ損をした気になりました。
 それでも僕たちが並んだ後から後から、電車を降りた人たちが降り積もる雪のようにどんどんたまっていくではありませんか。後ろに並んだ人の塊が見る間に前に並んだ人の塊より大きくなって、僕はなんだか鼻が高くなったような気分になりました。

 入場は朝いちばんの回で、時間が来るまで24分ありましたが、行列はまだまだ降り積もる積雪の量を増やしていきます。このままでは一面銀世界と化してしまうのも時間の問題か? そう思ったのは僕だけではありませんでした。あまりの人の多さにジブリのスタッフが5分早く入場を開始してくれたのです。
 お父さんは未だ慣れないスマホをノミを潰すように必死の形相で操ると、ついに誇らしげな顔が現れて、水戸黄門様を背後に控えた助さん格さんがするのと同じくスマホを印籠のごとく突き出すと、威張った胸で「どうだ」と自慢しているみたいに見せました。なんでも、ネット予約のチケットは、こうやって誰もが助さん、格さんになって「この紋所が目に入らぬかぁ」とやらなければならないということでした。
 でもお父さんの言うことだから、信じるのにも勇気がいります。そのお父さん、スタッフがひれ伏すとでも思っていたのでしょう。あまりに胸を張りすぎて電子チケットを見せつけたものだから、なんのことやらわからずきょとんとしたスタッフに「近すぎて見えません」と言われてしまいました。
 ああ、お父さんたら。またやってしまいました。

 大倉庫に入ると、またエレベーターが現れました。階段もありましたが、ちょうどいいタイミングでエレベーターの扉が開いたので、僕たち家族はアトラクションの少ないジブリで数少ない乗り物に乗ることにしました。
 エレベーターはまたしても地階に向かっていくのでした。千尋たち家族は湯屋までの道のりを丘をあがり階段を上って行きましたが、僕たち家族はエレベーターで降りられるところまで降りていったのです。
 降りたところはまたしても地上のような様相でした。ジブリパークは、1階のエバーエンディング・ストーリーなのです。
 最下層の地上に着いてすぐのところにインフォメーションがあって、そこで1グループに一部ずつもらえる施設案内図があると、『ジブリ なりきり』コーナー順番待ちの行列で前に並んでいる人に教えてもらいました。
 案内図は、これから始まるジブリパーク大航海になくてはならない羅針盤です。お父さんは「待ってろよ」と、あとで自分が戻ってくる居場所を確保して、インフォメーションに飛んで行きました。

『ジブリ なりきり』コーナーは、ジブリパークを知ってる人なら誰でも知ってる有名シーンの再現コーナーで、各映画の主人公たちと一緒に撮影ができる人気の場所のひとつです。
 空から落ちてくるシータを受け止めました。ポニョと一緒に波にも乗りました。カオナシと並んで電車にも揺られました。
 
 アリエッティのコーナーでは、人間がみんな小さく思えて不思議な世界に紛れ込んだようでした。
 ロボット兵とも写真を撮りました。

 ほかにもいろいろまわりました。さつきとメイの家にも行きました。家財の生活感からすると、七国山病院に入院していたお母さんが戻ってきていることがわかりました。残念ながら草壁さん一家は出かけているのか、誰もいませんでした。家の人が不在の家の中を歩きまわるだけでも悪いなあと思っていたのに、みんながタンスを開けたり引き出しの中を覗き込んでいるので、同調圧力に屈し、僕も同じことをやってしまいました。
 さつきとメイがのぼった屋根裏に続く階段を見つけ、のぼりたかったのだけど、立ち入り禁止で残念な思いをしました。階段にどんぐりが落ちていたところを見るに、真っ黒なあいつはまだ草壁家に本暮らししているようです。アリエッティではないのだから、本暮らしで間違いないですよね?

 ジブリパークには朝から夕方までいました。ジブリパークは、自分の中にしまわれたジブリの思い出の数々とつながれる電灯映写機なのだと思いました。
 魔女の谷エリアがもうじきオープンします。出来上がったら今度はお母さんと二人だけで行きたいと思います。

 おしまい。



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