阿修羅のジュエリー (よりみちパン!セ シリーズ44)


阿修羅のジュエリー (よりみちパン!セ シリーズ44)

 『阿修羅【あしゅら】のジュエリー』という題名を見て、何の本なのか、内容が思い浮かぶ方は、少ないでしょうね。

 本書は、有名な、興福寺の阿修羅像を、取り上げています。
 でも、仏像の本ではありません。ジュエリーの本です。阿修羅は、とっかかりであって、ジュエリーのほうが、本題です。

 あまり知られていませんが、あの阿修羅像は、全身に、華麗なジュエリーをまとっています。
 作られてから、千三百年ほども経ってしまったため、色が褪せて、わかりにくくなっているだけです。

 なぜ、阿修羅は、華麗なジュエリーをまとっているのでしょうか? そのデザインは、誰が、どんなふうに、決めたのでしょうか?

 これらの謎をたどったのが、本書です(^^)

 阿修羅のジュエリーの謎をたどると、シルクロードを旅することになります。阿修羅は、もともと、遠いインドの神さまだったからですね。シルクロードを通って、日本にやってきました。

 本書では、阿修羅の故郷であるインドやペルシアにとどまらず、もっと西方へも、旅しています。阿修羅のジュエリーのデザインは、西方のジュエリーとも通じているからです。

 すべての謎が、解けているわけではありません。
 けれども、ジュエリーを介して、雄大な歴史と文化の一端に、触れることができます(^^)

 シルクロードの文化に興味がある方、ジュエリーに興味がある方に、本書をお勧めします。
 阿修羅の秘密を、少しのぞいてみたい方にも。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

キラキラへのイントロダクション 「輝き」をデザインできる人間の力

第1章 阿修羅ジュエリーの発見 「飾る」デザイン力
 発見の目
 ☆アシュラと出会う 拝まれてきたフィギュア
 ☆なぜアシュラは人気者なのか?
 ☆アシュラ・ジュエリーの大発見!
 ☆神や仏のこうごうしさを象徴する「装飾」のデザイン
 ☆菩薩のジュエリー
 など

第2章 シルクロードからジュエリーロードへ 宝石の道と王妃たち
 発見の目
 ☆ビザンティン帝国とオリエント
 ☆テオドラとユスティニアヌスのビーズ
 ☆宝石のアジア
 ☆宝石の道
 ☆ビザンティンと天平【てんぴょう】をつなぐジュエリー
 など

第3章 「花」と「星」のアシュラ ペルシアから奈良へ
 発見の目
 ☆花マルと花のデザイン
 ☆阿修羅の衣に満ちる「花」 宝相華【ほうそうげ】のスカート
 ☆ジュエリーの「光」と「花」
 ☆ロゼッタ 花のデザイン
 ☆光のデザイン 連珠【れんじゅ】文様
 など

第4章 マリア様と貴婦人の真珠の髪飾り イタリア・ルネサンスと東方貿易
 発見の目
 ☆人間が主人公!のルネサンス
 ☆「美しきシモネッタ」の首飾り
 ☆人間のジュエリー
 ☆ジュエリーの画家たち
 ☆オリエントから来た美
 など

第5章 サロメと仏像のストラップ 祈りのジュエリー
 発見の目
 ☆フランスとアジア
 ☆サロメのジュエリー
 ☆モローとインド美術
 ☆クリムトのモザイク
 ☆宝石の魔法
 など

結びのことば さらなる旅に向かって
 ☆ジュエリーから見えてくる「世界」
 ☆シルクロードを越えて、ユーロ=アジア世界へ
 ☆大いなる旅【グレートジャーニー】



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