シルクロード 華麗なる植物文様の世界
美しい本です。全ページに、カラーの写真や絵があります(^^)
題名どおり、たくさんの植物文様が載っています。
石に刻まれたもの、陶磁器に描かれたもの、装身具に仕立てられたもの、ハンコに彫られたもの、布に織られたもの、仏像に付随するもの、などなど。
シルクロード沿いの地域で、人間が、こんなにも豊かに、植物文様を享受してきたのだ、とわかります。
文様ばかりでなく、モデルになった植物も、紹介されています。これが嬉しいですね(^^)
外国の植物の場合、文様として見ていても、実物に馴染みがありません。改めて紹介されると、「これが、あれだったのかあ!」という驚きがあります。
例えば、学校でギリシャの建築を習うと、必ず登場する柱があります。コリント式と呼ばれる柱です。
コリント式の柱には、柱頭の部分に、植物の葉が彫られています。これは、アカンサスという植物の葉です。
アカンサスは、日本には自生しません。近年、日本でも栽培されるようになりましたが、まだ珍しいです。
そのようなアカンサスについて、ちゃんと写真付きで、説明があります。
文章を読むのが面倒でも、大丈夫です。
めくって眺めているだけでも、楽しいです。とにかく、図版が美しいですから。
特にお気に入りなのが、イスラム文様の部分です。
イスラム教の世界では、植物文様が、とても発達しています。イスラム教が、偶像崇拝を嫌うためです。人物や動物が登場する文様を、発達させませんでした。
イスラム教国のタイルや、じゅうたんの文様には、もう、ため息しか出ません。すこぶる精緻で、華麗だからです。
日本の植物文様も、載っています。
日本の漆器の文様など、どこの国にも負けていません。技術と美意識の高さに、感嘆します。
これほど美しく、かつ、ためになる本は、少ないと思います。しかも、お値段もあまり高くありません。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
地図・年表
執筆者紹介
エジプト
そびえ立つ生命の茎 / ナイルに咲く聖なる花
小さな植物にたくした思い
地中海世界
地中海の風のなかで / うつわをめぐる草花
柱から出でる華やかな刺【とげ】 / 闇を照らす地中海の樹
銀に刻まれた都市のシンボル
西アジア
年度に浮き出るメッセージ / うつわに咲く花
聖なる樹に向かいて / 異国の香り
王侯の宴 / 館を飾る
豊穣のしるし / 百花繚乱、イスラームの華
宮廷に咲いた色とりどりの花 / 織りなす楽園の世界
南アジア・東南アジア
谷間に咲く花 / 祈りのかたち
さあ酔いたまえ / 密林に築かれた祈りの世界 / 布に煌【きら】めく花々
東アジア
花咲く東西交流 / うつわに込められた幸福への願い
石に刻まれた植物たち / 浄土に咲く花
みほとけに手向けた花 / 鏡に映し出された楽園 / 貴人のたしなみ
地上に築かれた浄土 / 日本の空に咲く / 武士の美学
植物事典
パピルス、スイレン、ブドウ
アカンサス、月桂樹、オリーブ、ギンバイカ
ザクロ、ナツメヤシ、チューリップ
ハス、インドボダイジュ、サラ
サクラ、ボタン、モモ、キク
本誌掲載の作品を所蔵している美術館・博物館
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