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江戸の都市伝説---怪談奇談集 (河出文庫 し 10-4)


江戸の都市伝説---怪談奇談集 (河出文庫 し 10-4)

 題名のとおり、江戸でささやかれた不思議な話を、集めた本です。
 怖い話、不可解な話、あさましい話、忠義に感心する話などがあります。

 一つ一つの話は、短いです。すらすらっと、すぐに読めます。
 文章は現代語訳されているため、読みやすいです。読めば、江戸時代の人々の心持ちが、わかります。
 江戸時代には、仏神の奇跡があると信じられていましたし、仇討ちというものが、公式に認められていたんですね。やはり、現代とは、違う世界だったのだなと感じます。

 妖怪や幽霊の怖さより、人の心の怖さのほうが、身にしみます。
 けちで、死後まで財宝に執着する人や、死後まで継子を恨む人、痴情のもつれによる殺人などが登場するからです。いつの時代も、恐ろしいのは、人の心の闇ですね。

 怪談というより、殺人、詐欺、強盗などの犯罪の話も多いです。
 「都市伝説」ですから、全部が本当にあった話ではないでしょうが、犯罪の話は、現代にも通じるものがあり、生々しいです。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

怪奇譚
 鬼の手
 二つの首
 雲に乗った死骸
 茶碗の中の顔
 死骸の肉を食う僧
 僧の執心
 吝嗇【りんしょく】男と蛇
 児小姓【こごしょう】の幽霊
 密通者の幽霊
 嫉妬深い女の幽霊
 処刑された妻の怨念
 生霊
 など

祟りと奇跡
 慈眼大師の怒り
 仏像の祟り
 神木の祟り
 愛宕【あたご】の神の祟り
 鎮守の蛇
 天神池の祟り
 鹿食の祟り
 人が禁ずること
 目黒不動の罰
 神の祟り
 釈迦に亡父母に会いたいと願う
 血脈【けちみゃく】
 など

復讐・殺し・盗み
 殺された僧の復讐
 手討ちにされた者たちの怨念
 獄死した者の報復
 小坊主の復讐
 仇討ち
 妻の仕返し
 夫の首を奪った女
 僧への復讐
 小児の手討ち法
 烏【からす】の婆と妓女【ぎじょ】玉野
 飢饉と自殺
 恥辱を受けて自殺
 など

奇談
 親王事件
 吝嗇【りんしょく】家の死
 異形の赤子
 童誘拐事件
 三つ子の出産
 天から降る土
 怒りが火災を起こす
 畜生道に堕ちた夫婦
 好色坊主と娘
 小鳥の祟り
 好色医師と貪婪【どんらん】婆
 天網恢恢【てんもうかいかい】疎【そ】にして漏らさず
 など

解説 江戸のふしぎ話



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