仮面―ヨーロッパの祭りと年中行事 (現代教養文庫)
ヨーロッパに息づく、仮面の文化を紹介した本です。
ヨーロッパと言えば、キリスト教に染まった社会ですね。ですから、祭りや年中行事も、キリスト教に関わるものばかりです。
ところが、その下には、キリスト教より前の、古い多神教の文化が、残っています。
本書を読むと、それが、よくわかります。
まず、たくさんの「キリスト教的でない」仮面の写真に、圧倒されます。悪魔、魔女、鬼のようなもの、動物神などのオンパレードです。
文章を読んでみると、冬至や、年の変わり目の行事に使われる仮面が多いです。
ヨーロッパの「仮面神」たちは、日本のナマハゲ、アマメハギ、トシドン、マユンガナシなどの来訪神に、とても似ています。外見もそうですし、現われる時期や、果たす機能についても、そうです。
人間の原初的な願いや信仰は、洋の東西を問わず、同じだということでしょうね。
ヨーロッパの各地に、このような「仮面神」たちが生き残っていることに、なんだか、ほっとしました。
本書で、知られざる「古き良きヨーロッパ」を、お楽しみ下さい(^^)
本書の後ろにある「ヨーロッパ歳時記」と、「ヨーロッパの年中行事一覧」とは、ヨーロッパの文化を知るのに、とても役立ちます。
日本では、なかなか、入手しにくい情報です。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
神と霊の支配する世界
1 森の王国
2 農耕社会の自然のリズム
3 霊を招く火―万聖節【ばんせいせつ】と万霊節【ばんれいせつ】
4 深まりゆく冬
太陽の誕生日
1 火の神の訪れ―冬至祭
2 太陽の誕生日―クリスマス
訪れる神々
1 十二夜
2 大晦日の訪れ神クロイセ
3 新年の訪れ神ペルヒト
冬の追放
1 ファスナハト(謝肉祭)
2 冬とのたたかい
3 樹木に託して
4 魔女
冬の埋葬
1 予祝の祈り
2 埋葬と処刑
3 共同体の民衆劇
生きている仮面
1 中世民俗の生きる村
2 仮面の祈り
3 神々の黄昏
甦る生命
1 四旬節【しじゅんせつ】
2 聖週間
3 甦る生命―復活祭
4 シチリア島の復活祭
5 死と再生の神々
6 冬との訣別
豊饒の祈り
1 五月の樹
2 神々の結婚
3 夏至祭
4 収穫感謝
参考文献
あとがき
付・ヨーロッパ歳時記
付・ヨーロッパの年中行事一覧
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