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オカルトの図像学


オカルトの図像学

 『悪魔の事典』や、『オカルトの事典』で有名な、フレッド・ゲティングズ氏の著作です。
 この分野には、定評ある著者だけありまして、本書も、良い仕上がりです(^^)

 題名のとおり、本書では、オカルト的な図像を解説しています。神秘的な図像が、たくさん載っています。オカルト好きには、たまりません(笑)
 ただし、ほとんどが、ヨーロッパの図像です。アジアなど、ヨーロッパ以外の世界の図像を見たい(知りたい)方は、別の本を当たりましょう。

 身近なところでは、西洋占星術の図像があります。牡羊座【おひつじざ】に始まって、魚座【うおざ】に終わる図像は、たいがいの人が、どこかで目にしているでしょう。
 ヨーロッパでは、思わぬところで、これらの図像を見ることがあります。

 例えば、イタリアの都市、パルマにある、ある洗礼堂では、天使の頭の上に、蟹座【かにざ】が描かれています。
 その理由は? そして、この天使の名前は?
 答えは、本書にあります。

 また、オカルト好きならば、錬金術に関わる図像を見たことがあるでしょう。
 自分の尾をくわえた龍、フラスコの中の鳥、燃える火の中のトカゲ、太陽を食べるライオン、などです。
 こういった図像の解説も、されています。

 オカルト好きでなくても、西洋の美術が好きならば、本書を読む価値があります。
 神秘的なものに限らず、西洋の美術には、オカルト的な図像が現われることが多いからです。

 一例を挙げておきましょう。キリスト教の聖母子像です。ヨーロッパの絵画では、最も平凡な画題の一つですね。
 聖母子像の中には、不思議な姿のものがあります。「三日月の上に、聖母子が立っている」というものです。
 なぜ、聖母子が、三日月の上に立たなければならないのでしょうか?
 答えは、もちろん、本書に載っています。

 本書の答えは、絶対的に正しいとは限りません。
 オカルトという言葉の原義は、「隠されたもの」です。そもそも、オカルトの知識は、一般的に広められるべきものとされていません。知識は、何重もの神秘の扉で隠されています。
 それが理解できるものにしか、オカルトは、理解できません。

 本書の記述は、前記のことが理解できる人向けです。
 万人向けではないことに、御注意下さい。オカルト初心者は、別の入門書を読んでから、本書を読むほうがいいです。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

序 神秘のヴェール

1 オカルティストの星の知識
2 アストラル界 目に見えない海
3 人間界
4 地相術と地霊
5 黒魔術 見えない世界の力の利用法
6 護符と呪文符 邪視という目に見えない力
7 悪霊 見えない悪党
8 錬金術 うちなる再生の秘密

訳者あとがき
索引



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