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歩道橋が大嫌いな車好きの教授とタクシードライバーの矜持。

 青リンゴとマスカットのお菓子の味(香り)をつくった人は、何だか、すごい。そう、思っている。

 だって、実物は、それぞれ(赤い林檎と紫の葡萄と)そこまでの差はないと思うんだ……少なくとも、お菓子から漂うあの青リンゴやあのマスカットの香りなんてしない。梨と洋梨は、そういうのあるけど。

 大学のときに、車が大好きなのに、歩道橋が大嫌いな先生がいた。

「車が一所懸命歩いている人々を遠回りさせるのはおこがましい」

 自分が好きな物事に都合よく、現実を捻じ曲げて見がちな世間にあって、内省的に生きてらっしゃる素敵な先生だった。

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 会社の前でタクシーを拾って、行き先を告げたら、いきなり「どうも、久しぶり」と声を掛けられ、呆気にとられている。

 僕がまだ駆け出しの頃、大変、お世話になった大御所アーティストの元マネージャーさんだった。丸坊主になさっていたので、気が付かずに失礼してしまった。

 突然のご退職で、理由も聞けずにいたのだが、その車中、穏やかに話して下さった。

「闇雲に経験のみで、業界に残るのは忍びない。自分がアイデアを出すことで、成功に向かえるような新たな出会いがあれば復帰するかもだけど」

 とのこと。

 以前、ご担当されていたアーティストに関するお仕事は、常に、完璧。そのアーティストも大きな成功を収めた方だったので、まさか、そんな想いがあるとは露知らず……

「最後に、また、僕のワガママを聞いてもらったんだよ」

 と、仰った表情に、一片の迷いすら見当たらず、僕は、ただただ、畏敬の念を募らせた。

「このプロジェクトがダメなら辞める」

「自分のやりたいことじゃないから辞める」

 この業界ではよく耳にする台詞だ。

 でも、実際、決断し、行動に移すのは、相当な勇気を要するし、ほとんどの場合、口だけで有言実行とはいかない。

 この方は、本当に真摯に仕事と向き合って、生きてこられた/生きている/そして、生きていくのだと、呆然とするばかりだった。

––––2006年12月29日

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 2018年(再び、文章を書きだして十数年)––––僕は「だから、遠い未来も人はアナログに旅をする」という本を書きはじめ、2024年5月、思うところあり、公開することにした。

 音楽業界を目指す人、DXの本質を知りたい音楽業界 “以外” の方––––向けと、自分では思っている。

 今度は、僕の番かも知れないのに、
 みっともなく、しがみついてる。

 それでも、やらなきゃいけない。
 これを。

 もし、ご興味をお持ちいただき、
 お時間、許せば、読んでやってください。


あ な た の 邪 魔 を し て い る の は ––––
『 ど う せ 』 『 な ん て 』 『 く せ に 』
  と い う 、 誤 っ た 『 三 大 過 小 自 己 評 価 』

数 字 に は 、未 来 に お け る 希 望 や 願 い を 表 現 す る 機 能 も
予 測 不 可 能 な 結 果 を 正 し く 「 定 量 目 標 化 」す る よ う な
サ ー ビ ス も 付 い て い な い 】

【 現 代 の レ コ ー ド 会 社 は 、
  ど こ で も ド ア が あ る 時 代 の 鉄 道 会 社 】


【 マ ガ ジ ン 】



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