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あったかい旅の記憶

最近は気軽に旅ができなくなってしまった。

でも過去の旅を振り返ってみるとあったかい気持ちになる。

それは旅の中で何度も優しさに触れたからだ。



ローマで空港行きのバスの運賃が足りなくて周りに助けを求めたことがあった。

私は半泣きで「Help me !」と声をかけまくる。

運悪く小銭がない人ばかりで、諦めようとした。

しかし、ある男性に声を掛けたら足りない分の小銭をくれた。

私は何度も「Thank you」とお礼を言った。

その後、既にバスに乗っていた女の子たちがわざわざ降りてきて私に小銭を渡そうとしてくれた。

気持ちだけ受け取ってお礼を言った。

まだ暗いローマの朝、バスは駅を出発した。

ライトアップされたコロッセオが私を見ている。

そんな景色を見ながら色々な人に気にかけてもらったことが嬉しくて、そしてバスに乗れたことで安心して涙がこぼれた。



ブルネイでもこんなことがあった。

市内から空港まで向かうバス、事前に調べたのにいつまでたっても空港へ行かない。

Googleマップを起動したら、空港を通りすぎて外れの港町に向かっていることがわかった。

途中下車も考えた。

しかし、知らない土地にバスがいつ来るかも分からずに降りるのは怖かったので、とりあえず終点まで行くことにした。

終点へ行けば、空港へ行くバスがあると思ったから。

終点に着き、私は運転手に空港へ行くバスはあるか確認する。

しかし、答えはまさかの"ない"

絶望だ。

あと4時間後には飛行機が出発する。

え、飛行機乗れないかも・・・

嫌な想像ばかりしてしまう、頭の中はパニック。

運転手が「少し待て」と言うのでバスの中で待つ。

時間は刻々と過ぎてゆく。

時計とにらめっこしながら私は嫌な想像ばかりしていた。

しばらくして運転手が私に「空港に寄ってあげるよ」と言った。しかも正規の1ブルネイドルで。

私は嬉しくて泣いた。運転手はそんな私を見て「なぜ泣く?まだ間に合うよ」と言った。

そして私は無事に空港に着き、帰りの飛行機に間に合った。



この他にも何度も優しくしてもらったし、助けられた。

世の中捨てたもんじゃないな。

人のやさしさを感じれば感じるほどもっと、もっと旅に出たくなる。

そして日本で外国の旅人が困っていたら力になりたいと思った。

やさしくされた分、今度は私がやさしくする番だ。

はやく気軽に旅できる日が来ますように。

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