映画「PLAN75」感想
この映画の別名タイトルとして
「老人はつらいよ 〜さくらの終活〜」
「男はつらいよ」シリーズでお馴染みの
国民のいもうと的存在であった倍賞千恵子さんも
御年81歳の立派な高齢者なんですね。
とはいえ、「男はつらいよ」シリーズは父が好きなので
そこまで詳しくはないですが・・笑
さくら役の倍賞さんの美しさはとても印象に残っています。
この作品は予告編の時から気になっていました。
高齢化社会として介護や医療、年金などで問題のある現代、
「75歳以上」は自ら死を選ぶことができる
「プラン75」という制度がある近未来の話です。
海外では尊厳死といった制度がある国もありますが、
さすがに死ぬ選択って・・って初めは思いましたが、
いやぁ、これは実際に訪れる未来かも・・っと、
リアルな生々しさを感じて興味を持ちました。
観終わったあとですが、
なんとも切ない、悲しい気持ちになりつつ、
自分の両親や自分の老後はどうなるんだろう?という
不安な気持ちにもなりました。
日本はどんどん貧しい国に成り下がっている今、
老人に対して外面は優しくても、実際は冷たい世の中です。
生きていくことがツラい。
長生きしても孤独や貧困に悩まされる社会。
生きていくってなんだろう?っと
ちょっと鬱な気分になります・・苦笑
人は誰しも老いるものですが、
老いても生きていたい世の中のあり方ってなんだろう?
っと、この作品を通じて、
いろいろな若い人たちにも観てもらって
歳をとっても明るく生きていける
世の中を考えるキッカケになってほしいです。
あらすじ・解説
みどころ・ポイントについて
品のある倍賞千恵子さん
78歳になる主人公を演じられた倍賞千恵子さん。
老いてもなお品性が感じらるお方ですね。
喋り方自体は普通な口調でありますが、
どこか気品を感じさせるところがあります。
また、主人公の性格なのですかね、
食事をした器を洗って、乾拭きをしたり
几帳面な性格が現れております。
ちょっとした事故があり、
長く雇われていたホテルの清掃を辞める事となり、
そこから再就職をするために
ハローワークに行きますが・・・検索結果がすべて0。
機械が壊れているの?っと職員に聞きますが、
いえ、壊れていませんね。っと冷たくあしらわれます。
78歳なら、年金で生活できないのか?っと思ったりしましたが、
やはりそこはリアルですね、
そこまで遠くない将来は
年金で暮らせなくなる社会が当たり前に。
78歳という高齢でも働かなきゃいけない社会。
高齢で仕事も選べず、真夜中の誘導警備員をやる始末・・。
だが、そんな仕事も短期であったり、いつもやれるとも限らない・・。
職業相談所で生活保護という紹介に対しても、
「まだ働けると思うんです。」っと、
まだ社会で活躍できるし、そのようなものに頼りたくないという想い。
ただただ、切ないですね。
自分の親が将来こうなったら、とか。。
自分も将来歳を取ったら、
社会に必要とされない存在になるのか?
っと考えさせられますね。
主人公のミチは、
自ら進んで「プラン75」を選んだわけではない。
もう社会で生きていけないっと絶望してやむなく選択。
悲しすぎるけど、現実でも近いようなことがあるかもしれませんね。
彼女は、死ぬ前日に特上寿司を注文します。
翌日の朝、特上寿司の入れ物を丁寧に洗い、
乾拭きまでします。…死ぬ日なのに。
性格がとても出ているシーンだなぁっとおもいました。
人間味のある磯村勇斗さん
これをいうと語弊がありますが笑
磯村さんは
「きのう何食べた?」の気分屋でワガママなゲイ役であったり、
「恋は雨上がりのように」のプレイボーイ役など、
いろいろと作品に応じて
キャラの幅が広い役者さんだぁっと感じております。
見た感じは綾野剛さんに近いタイプで
キツネ系で近寄りがたい雰囲気で
完璧主義のような人だなぁっと思っていました。
ただ今回の磯村さんの役にはすごい親近感というか
人間味のある役だなぁっと思いました。
今作では「プラン75」を推奨する役場の人として
いい意味で地味で味わいのある役でした笑
制度として存在する「プラン75」ですが、
やはり世間でも一部には受け入れられていない感じがリアルでした。
「プラン75」のCMが役場で流れると、
そのモニターの電源を無言で抜くひとりの老人。
「プラン75」の特設会場の準備をしている磯村さん、
その会場の看板に向けてペンキ玉らしきものをぶつける人たち。
役場で「プラン75」を推奨してまわる磯村さん本人も、
なにかに葛藤している感じがありました。
そんな中、
彼の叔父が「プラン75」を受けに会われました。
叔父とは過去に家族と何かあり、
しばらくあっていなかった様子。
本当は三等親にあたる人物を担当してはいけない
ルールがありましたが、
彼はそれを破り
叔父と共に淡々とその日を迎える中で、
一緒に食事をしたり、思い出話をしたりと過ごしていきます。
叔父は金もないため、「プラン75」の制度のひとつで、
合同火葬であれば葬儀もタダとなるため
それにも承諾します。
が、磯村さんは自身がプラン75の担当であることから
ある事実を知ります。
合同火葬の後の遺骨の処理が、
産業廃棄物処理の業者に回収される事実を知ってしまいます。
彼はそんなに親しい親戚ではないにしろ、
唯一無為のおじがそのような最後になることを
どうしても見逃せなかったんでしょうね。
プラン75の施設で死んだおじの遺体を
無断で引き取り、車に乗せて
ちゃんとした火葬業者に依頼するため奔走します。
なんかすごい地味な職員役でありながら、
フッと叔父への情から法をやぶり奔走する姿は
なんて人間臭いキャラなんだと・・思いました。
外国人労働者の問題
高齢化の問題とセットである事として、
介護事業は年々高まるが人材不足となり、
外国人労働者がお年寄りの世話をする世の中を映し出しています。
現在でもコンビニやスーパーなどでも
安い労働力として外国人労働者が多くいる日本ですが、
将来的には介護業界においても
それは一緒になるだろうという事ですかね?
(てか、すでに介護業界は外国人が多くいるのかな?)
祖国を離れ、見ず知らずの国のお年寄りの世話をして
生計を立てる外国人労働者。
老後、見ず知らずの外国人に世話される老人たち。
なにか歪んでる気がします。。
今作ではステファニー・アリアンさんという方が
異国の労働者として介護施設で働いています。
彼女には心臓が生まれつき悪いお子さんがいます。
だけど、彼女以外は祖国に残ったままです。
出稼ぎ労働者という事ですかね。
そのような人の視点でも物語りが展開され、
文化も言葉も違う日本という国で一生懸命働きます。
だけど、介護施設で働いたとしても
子供の手術代が稼げないために
「プラン75」に関わる行政の仕事を紹介してもらいます。
そこでは「プラン75」で亡くなられた方の
遺品を仕分けする仕事でした。
遺品は故人ごとに分けるわけではなく、
遺品の種類ごとに雑に仕分けされます・・。
遺品の中で気に入ったものを手にする作業員もいます。
彼女にも金目になる遺品を差し出す作業員。
断る彼女に、
「死人は使えない」
「使えばゴミじゃない。みんな幸せ」
っと。
彼女はその金品を受け取ります。
断る正しい生き方よりも
受け取ることでの子供や生活のための生き方を選びます。
良いおこないでは絶対ないけど、
絶対的に悪い事なのか?っとも疑問に思いました。
いろいろと考えさせられる作品ですね。
けっこう疲れました笑
以上となります。
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