しのはらおさむ
早稲田文学新人賞二次通過作品です。
文學界新人賞一次通過。島を流すファンタジーです。
THE BLUE HEARTSの『リンダリンダ』をモチーフにした物語です。原稿用紙約120枚です。
2022年作。四〇〇詰原稿用紙240枚ぐらいです。
三田文学同人誌評に取り上げられました。
音が見えてくる──くっちゃくちゃ、くっちゃくちゃ、くっちゃくちゃ。重なったり離れたりし…
水をこぼしたことがないんです──眉のない男はそう微笑んでみせた。だが微笑ましいことなん…
満たされているようで足りておらず、包みこむようで跳ねのけ、最後の曲線の切れ端が秋雲みた…
なんでやねん──若かった頃ならそう突っ掛かっただろう。まだ蕎麦を一口もすすっておらず、…
「食べ盛りの56歳。不安な糖を洗い落としてくれるのは古事のお茶」 四人用ブースのテーブル…
目を醒ましてしばらくの間、真湖は古い小説の冒頭を思い起こすことになった。自分の体が虫に…
ブラッキングの申込フォルダへと振り分けられた一通のメールに池田亜芽が気づいたとき、デス…
牧人がビニール傘を差さなくなった代わりに、まわりの人々の口元には再びマスクが着けられる…
ビニール傘を通して見上げる空は滝乃瀬牧人だけのものだった。八角形に切り取られた空がいつ…
姫りんごの樹を見上げる白猫──自らの体より大きい実がぽとりと落ちてくる予兆を感じている…
4 [今、小田原駅に着きました] うどんからのメッセージがドブネズミのスマホに届いたと…
3 その日の午後、ドブネズミはJR線で新宿駅まで出た。そして小田急電鉄の窓口で小田原行…
2 買い物の帰り道、ドブネズミは自転車のペダルを漕ぎながら、また三十五年前のことを思い…
1 午前中の外回り営業を終えた後、ドブネズミは駅の構内にある店で立ち食いうどんをすすっ…
・・・・・ 夏が終わろうとしていた。空には雲が多く、生温かい風が吹きつけていた。どうや…
僕は相変わらず広告を作り続け、多くの注文を安価で獲得できるネット媒体を探し続けていた。…