しのはらおさむ

小説らしきものを書いています。まつ毛がよく目に入り、乾燥肌です。朝5時に起床し、夜10…

しのはらおさむ

小説らしきものを書いています。まつ毛がよく目に入り、乾燥肌です。朝5時に起床し、夜10時に就寝|ちよだ文学優秀賞|大阪文学学校賞|群像新人賞五次|新潮新人賞二次|早稲田文学新人賞二次|文學界新人賞一次|あと30年は生きたいです。

マガジン

  • 夢と魔法とみどりのおっさん

    早稲田文学新人賞二次通過作品です。

  • グリーン・カーブ

    文學界新人賞一次通過。島を流すファンタジーです。

  • 昭和97年のドブネズミ

    THE BLUE HEARTSの『リンダリンダ』をモチーフにした物語です。原稿用紙約120枚です。

  • 髪をかきあげて竜巻

    2022年作。四〇〇詰原稿用紙240枚ぐらいです。

  • 空を飛ぶための生活法

    三田文学同人誌評に取り上げられました。

記事一覧

フルード

 音が見えてくる──くっちゃくちゃ、くっちゃくちゃ、くっちゃくちゃ。重なったり離れたりし…

18

あなたも魚だったから

 水をこぼしたことがないんです──眉のない男はそう微笑んでみせた。だが微笑ましいことなん…

12

ケモノちゃんとウドン

 満たされているようで足りておらず、包みこむようで跳ねのけ、最後の曲線の切れ端が秋雲みた…

10

虫けら

 なんでやねん──若かった頃ならそう突っ掛かっただろう。まだ蕎麦を一口もすすっておらず、…

9

鍵に意味などないけれど

「食べ盛りの56歳。不安な糖を洗い落としてくれるのは古事のお茶」  四人用ブースのテーブル…

15

リテル

 目を醒ましてしばらくの間、真湖は古い小説の冒頭を思い起こすことになった。自分の体が虫に…

6

ブラッキング

 ブラッキングの申込フォルダへと振り分けられた一通のメールに池田亜芽が気づいたとき、デス…

13

ユニコーンたちの団欒(後篇)

 牧人がビニール傘を差さなくなった代わりに、まわりの人々の口元には再びマスクが着けられる…

6

ユニコーンたちの団欒(前篇)

 ビニール傘を通して見上げる空は滝乃瀬牧人だけのものだった。八角形に切り取られた空がいつ…

13

赤い目

 姫りんごの樹を見上げる白猫──自らの体より大きい実がぽとりと落ちてくる予兆を感じている…

昭和97年のドブネズミ 第四話(最終話)

4 [今、小田原駅に着きました]  うどんからのメッセージがドブネズミのスマホに届いたと…

昭和97年のドブネズミ 第三話

3  その日の午後、ドブネズミはJR線で新宿駅まで出た。そして小田急電鉄の窓口で小田原行…

昭和97年のドブネズミ 第二話

2  買い物の帰り道、ドブネズミは自転車のペダルを漕ぎながら、また三十五年前のことを思い…

昭和97年のドブネズミ 第一話

1  午前中の外回り営業を終えた後、ドブネズミは駅の構内にある店で立ち食いうどんをすすっ…

グリーン・カーブ 第二話(最終話)

・・・・・  夏が終わろうとしていた。空には雲が多く、生温かい風が吹きつけていた。どうや…

髪をかきあげて竜巻 第五話(最終話)

 僕は相変わらず広告を作り続け、多くの注文を安価で獲得できるネット媒体を探し続けていた。…

フルード

 音が見えてくる──くっちゃくちゃ、くっちゃくちゃ、くっちゃくちゃ。重なったり離れたりし…

18

あなたも魚だったから

 水をこぼしたことがないんです──眉のない男はそう微笑んでみせた。だが微笑ましいことなん…

12

ケモノちゃんとウドン

 満たされているようで足りておらず、包みこむようで跳ねのけ、最後の曲線の切れ端が秋雲みた…

10

虫けら

 なんでやねん──若かった頃ならそう突っ掛かっただろう。まだ蕎麦を一口もすすっておらず、…

9

鍵に意味などないけれど

「食べ盛りの56歳。不安な糖を洗い落としてくれるのは古事のお茶」  四人用ブースのテーブル…

15

リテル

 目を醒ましてしばらくの間、真湖は古い小説の冒頭を思い起こすことになった。自分の体が虫に…

6

ブラッキング

 ブラッキングの申込フォルダへと振り分けられた一通のメールに池田亜芽が気づいたとき、デス…

13

ユニコーンたちの団欒(後篇)

 牧人がビニール傘を差さなくなった代わりに、まわりの人々の口元には再びマスクが着けられる…

6

ユニコーンたちの団欒(前篇)

 ビニール傘を通して見上げる空は滝乃瀬牧人だけのものだった。八角形に切り取られた空がいつ…

13

赤い目

 姫りんごの樹を見上げる白猫──自らの体より大きい実がぽとりと落ちてくる予兆を感じている…

昭和97年のドブネズミ 第四話(最終話)

4 [今、小田原駅に着きました]  うどんからのメッセージがドブネズミのスマホに届いたと…

昭和97年のドブネズミ 第三話

3  その日の午後、ドブネズミはJR線で新宿駅まで出た。そして小田急電鉄の窓口で小田原行…

昭和97年のドブネズミ 第二話

2  買い物の帰り道、ドブネズミは自転車のペダルを漕ぎながら、また三十五年前のことを思い…

昭和97年のドブネズミ 第一話

1  午前中の外回り営業を終えた後、ドブネズミは駅の構内にある店で立ち食いうどんをすすっ…

グリーン・カーブ 第二話(最終話)

・・・・・  夏が終わろうとしていた。空には雲が多く、生温かい風が吹きつけていた。どうや…

髪をかきあげて竜巻 第五話(最終話)

 僕は相変わらず広告を作り続け、多くの注文を安価で獲得できるネット媒体を探し続けていた。…