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夢と魔法とみどりのおっさん

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早稲田文学新人賞二次通過作品です。
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記事一覧

夢と魔法とみどりのおっさん 第八話(最終回)

■いつもどおり会社に行った方がいいですよ  最初に聞こえてきたのは雨の音だった。窓が開い…

夢と魔法とみどりのおっさん 第七話

■みどりのおっさんがガキだというんかい  おそらく一つの毛根も残っていないであろう頭頂部…

夢と魔法とみどりのおっさん 第六話

■ここは君のくる場所じゃない  誰にだって戦争というものがいずれ訪れるらしい。つまり戦争…

夢と魔法とみどりのおっさん 第五話

■でもあなたってモールス信号習ってそうですよ  妻がいなくなってから、僕はずっと一人でい…

夢と魔法とみどりのおっさん 第四話

■たとえば欲しい物がいつも売り切れていたり  深夜二時。携帯電話が鳴る。ディスプレイに表…

夢と魔法とみどりのおっさん 第三話

■なにそれ、あやしー  これは戦争の話である。  主要な登場人物は烏帽子田さんと組子さん…

夢と魔法とみどりのおっさん 第二話

■あなたは真面目に会社に行ってるくちですか  烏帽子田さんについての情報を教えてくれたのは組子さんだった。  組子さんは、半年ほど前に僕の部屋のちょうど真上の部屋に引っ越してきた一家の娘である。学年でいうなら小学五年生のはずだが、彼女はすでに小学校に通っていなかった。彼女は自分の教室をマンションのエントランスホールや、入り口の前にある植えこみの縁の上に設定していた。そして毎日そのあたりに腰を下ろして分厚い本を手にしながら、目の前を行き交う通行人をやる気のない門番みたいに朝か

夢と魔法とみどりのおっさん 第一話

■同じ場所に二匹一緒にいることは絶対にタブーだよ  千葉県浦安市舞浜1―1。  かつて烏帽…