ものの日記2024.05.07
陽に照らされた桜花は茶色く濁る。それはフライパンの上にぶちまけたみじん切りの玉ねぎが、炒られて変色した姿のようである。
チリチリ焼ける花びらは、香りを振りまいているけれど、やがて香りは出尽くし、周囲に香りの痕跡だけ残して、みな焦げついていく。なるほど、太陽はコンロだし、花びらの敷かれたアスファルトは、テフロン加工されたフライパンかも知れない。
玉ねぎも桜花も自ら望んで火に飛び込んだのでない所は同じである。玉ねぎは生産者の白々しい愛情を真に受けて、育つ。気がつけば、そこは