織沢 実

実は大阪芸術大学に通っていた。

織沢 実

実は大阪芸術大学に通っていた。

最近の記事

ものの日記2024.05.07

 陽に照らされた桜花は茶色く濁る。それはフライパンの上にぶちまけたみじん切りの玉ねぎが、炒られて変色した姿のようである。  チリチリ焼ける花びらは、香りを振りまいているけれど、やがて香りは出尽くし、周囲に香りの痕跡だけ残して、みな焦げついていく。なるほど、太陽はコンロだし、花びらの敷かれたアスファルトは、テフロン加工されたフライパンかも知れない。  玉ねぎも桜花も自ら望んで火に飛び込んだのでない所は同じである。玉ねぎは生産者の白々しい愛情を真に受けて、育つ。気がつけば、そこは

    • ひとくち日記2024.01.09

       今日書くべきことは、ただ一つ。八代亜紀の死についてだけである。  仕事が一段落し、休憩時間に牛丼を食べようと、すき家へ行った。座席に着き、注文を終えて、スマホを見た時、ニュースを知った。その衝撃は大きかった。  私が「演歌」と呼ばれるものを聴き始めるきっかけは、紅白で見た石川さゆりだったかと思う(石川さゆりが演歌歌手であるか否かは置いておく)。しかし「演歌」そのものと出会ったのは八代亜紀によってだった。  たぶん志村けんの番組で、八代亜紀が歌う『舟唄』に合わせてコントをする

      • ひとくち日記2023.12.22

         昨日の日記で、ツイートに関することを取り上げ、これで終いにする。と書いたのに、今日は我慢できずに同じ内容についてツイートしてしまった。これは全て私の未熟ゆえ。反省です。  自戒の意味も込めて、今日ツイートしたものを下に貼っておく。  昨日の日記と同じようなことを言っているつもりです。  今日は夕方まで眠る。仕事は休み。時計を見ると四時過ぎになっていたので、飛び起きて買い物へ出掛けた。  ブリタ(浄水する水差し)のカートリッジを探していたのだが、どこにも売っておらず、家

        • ひとくち日記2023.12.21

           朝方まで『ユリシーズ』を読んでいたのだけれど、気がつくと寝ていたらしい。  寝る間際に木原善彦の『実験する小説たち』のユリシーズについて取り上げている項を読み返した。いわゆる「意識の流れ」の解説である。本書で引用されている部分だけ読むと、注釈に当たらずとも(読み難くないとは言わないけれど)読めるように思えるのだが、実際の本を開くとそうもいかない。何を話しているのか注釈がないと分からない部分が多い。  ただ注釈の記号があるから覗いてみると、大した情報が載っていない場合もあって

        ものの日記2024.05.07

          ひとくち日記2023.12.20

           今日も朝から仕事。車に積りたる雪を降ろし、出勤。  出勤中、高橋源一郎の飛ぶ教室を聴く。『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』を取り上げていた。ゲストは逢坂冬馬。礼節を重んじ、芯が通っており、そのために適格でないことを言わないという信念のようなものを持ち──柔軟さを欠いていると取られることもあるのだが、そこに親しみをも覚える。  全く見当違いかも知れないが、片上さんから受ける印象にも近いように思った。  昨日はラッシュに巻き込まれて帰宅に時間を費やしたので、急いで帰っ

          ひとくち日記2023.12.20

          ひとくち日記2023.12.19

           雪の降りたるは言うべきにもあらず。  朝の渋滞は神経を使い、少しの瞬間を見極めて車線変更をしなければならない。なるべく余裕を持って、他の車が車線変更できるようにしてやるべきだろう。  夕方、仕事を終え帰宅する際、ガソリンスタンドでガソリンを入れたのだが、帰りの渋滞の夥しさに閉口した。  三十分は同じ一本の道路を走っていただろうと思う。余りにも長々しい渋滞なので、スマホで『ETV特集 個人的な大江健三郎』を見終えてしまった。大江健三郎って『オチビサン』を読んだことがあるら

          ひとくち日記2023.12.19

          ひとくち日記2023.12.17

           朝方から雪が降り始めていた。風が強く、窓を叩くように雪の礫が音を発てていた。  昨夜はneveuさんと短篇小説の読書会をやっていた。前回やったのが八月の半ばだったので、四か月ぶり。  レイ・ブラッドベリの「十月のゲーム」「板チョコ一枚おみやげです!」と河野多惠子「赤い脣」を読んだ。  neveuさんの読み解きの深さに感銘すると共に、自分の読みの甘さに歯噛みしたりした。もっと深く小説を読まなければ。  よく分からない時間に眠り、よく分からない時間に目覚めるというのが、一種

          ひとくち日記2023.12.17

          ひとくち日記2023.12.14

           今日は十二月十四日、赤穂四十七士が吉良邸に討ち入りした日だ。本当は旧暦なので、来月あたりらしいが。  仕事中、三波春夫の「元禄名槍譜 俵星玄蕃」の語りの部分をブツブツ呟いたりした。  帰宅後、実際に三波春夫が歌っている映像を見る。「切戸を開けて」と言って、ほんの少し間を取る。「一足表に踏み出せば」と続ける。「天は幽暗、地は凱々たる白雪を」の轟々たる様には痺れる。「蹴立てて行く手は松坂町」で良いものを聴いたと確信するのだった。もちろんこの後に吉良邸での一幕を歌い上げるのだが

          ひとくち日記2023.12.14

          ひとくち日記2023.12.04

           雪は止んだ。  ここ数日のことを一時に書いてしまおう。  十二月二日は午前の仕事。土曜日なので、忙しい。お客さんの会計したBLマンガの表紙が良かったので、タイトルを覚えておいた。  新潮文庫から出た、古川日出男『女たち三百人の裏切りの書』を買う。河出文庫になった川本直『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』も買おうかと思ったが、今月(先月から計上した今月分の社員売掛)は既に買いすぎだし、この後、磯﨑憲一郎の『日本蒙昧前史』も出るので、止めておく。  十二月三日、休み。気が

          ひとくち日記2023.12.04

          ひとくち日記2023.12.01

           雪が降っている。  今日は午後から仕事。寝る前にマリー・ルイーゼ・カシュニッツ『その昔、N市では』を読んでいた。寝る前に読み切ってしまえ!と思っていたのに、最後の一篇で寝入ってしまったらしい。  気がつくと十二時、呆っとして車のエンジン音に気がつくと十四時になっている。急いで出掛けなくては。  仕事は……大したことをしていない。月初の朝は忙しいけれど、午後には暇がやってくる。  呼気アルコール検査の機械が導入され、みんな慣れなくてアタフタしている。私は人がやってるのを

          ひとくち日記2023.12.01

          ひとくち日記2023.9.21-22

           書きたいことが多すぎて書くことを随分サボってしまった。いけない。  七時過ぎに起床。朝食を摂りながら『らんまん』を観る。神木隆之介と浜辺美波に老人役は無理があるだろうと思う。それから神田の火消しが「ひけし」と言っていて、「江戸の火消しが"ひけし"なんて言うか?」と思ったのだけど、昨日観た『福田村事件』ではちゃんと「しつけ(火付け)」と言っていて、流石に映画はドラマほどあまちゃんではないと思う。  祖父母は八時過ぎには鷹の観察へ出掛けた。雨降りなら見合わせるということだっ

          ひとくち日記2023.9.21-22

          ひとくち日記2023.10.02

           午後から出勤。上司とフェア棚の打ち合わせをする。上司は午前勤なので、だいぶ長い時間引き留めてしまった。申し訳ない。  11月以降、来年の大河ドラマのフェアや独自発案のフェアを行う場所を模索。なるべく一月で売り場が変わるようにしたい。  ノーベル生理学・医学賞が発表された。授賞が決まったのは、コロナウイルスに有効なmRNAワクチンの開発を可能にしたヌクレオシド塩基修飾に関する発見により、カタリン・カリコとドリュー・ワイズマンの二人。  著作が邦訳されてないかしら、と検索して

          ひとくち日記2023.10.02

          ひとくち日記2023.10.26

           前日は休日で、ほぼ一日中寝ていた。目覚めたのは、二時過ぎだったかしら。  前日の二十三時から岩井俊二の映画鑑賞会をやっていた庶民くんと白濱さんの会話に混ざり、話す。途中で白濱さんは寝られたのだが、庶民くんとは七時くらいまで創作についての話をした。  「キッチュ」という言葉を庶民くんが使っており、その意味を恥ずかしながら私は知らなかったので、いろいろ調べたり擦り合わせたりして話をした。  ハッタリとかケレン味に近い、作品の本質的な質とは無関係に人々を捉えるフックのようなも

          ひとくち日記2023.10.26

          ひとくち日記2023.10.22

           昼、十一時十分に慌てて目覚め、すぐにスペースを開く。『幸せな日常のための同人誌』の合評会である。  柊さん、庶民くん、鯖さんなどが参加してくれた。コンパクトかつ要を得た話し合いが出来たのではないかと思う。  後日、おさかなそこさん、Satooくん、ことちらさんからも寸評が届く予定。  合評会が終わった後、眠たすぎて寝てしまった。気がつくと外も部屋も真っ暗。  慌てて着替えて、買い物へ。ハンドソープの詰め替えや、靴下、明日のお昼ご飯などを買い込む。  十九時から片上さんと

          ひとくち日記2023.10.22

          ひとくち日記2023.10.21

           今日は殆ど何もしてない。  冬向けのフェアに、レヴィ=ストロースの『火あぶりにされたサンタクロース』を置きたいのだが、版元品切で注文できない。面白い本だし、冬に読みたい、読んで貰いたい本なのに。もったいない。  日ための合評会を二十三時から行うはずが、人が集まらず延期になった。柊さんに無理をいって二十三時からにしたのに……。  昨日の鳥は、片づけられていた。

          ひとくち日記2023.10.21

          ひとくち日記2023.10.20

           仕事からの帰り際、駐車場に何かが落ちていた。車を停めて見てみると、鳥の屍骸であった。羽は灰色に染まり、口から血を流している。  既に終業して、帰るところだったので片づけることも出来ず、帰路についた。  帰宅後、死んだ鳥のために般若心経をあげた。合掌。

          ひとくち日記2023.10.20