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《有料、冒頭試読》【73年考察/(4)「МVPと新人王、表彰」の73シーズン考察】

(写真 左から1950(昭和25)年パ初代新人王・荒巻淳、パ初代MVP・別当薫、1982(昭和57)&85(昭和60)年と球団史上唯一MVP2度・落合博満、直近受賞は2014(平成26)年新人王・石川歩)

(4)「МVPと新人王、表彰」の73シーズン考察

 チームの勝利と敗戦に続く4回目は個人の記録のランキングにに入る前に表彰に関する考察。
 表彰は「МVP(最優秀選手)」「新人王」「ベストナイン」「ゴールデングラブ」の4タイトル。МVPはそのシーズン最も活躍した選手、新人王は5年以内で規定に達していない選手、ベストナインはポジションごとに最も活躍した選手、ゴールデングラブはポジションごとに守備で活躍した選手が選出される。
 投票は新聞社、通信社、放送局で5年以上の取材歴を持つ記者の投票によって決定する。

【歴代МVP(最優秀選手)受賞者】

★1950(昭和25)年…別当  薫(.335/43本/105打点/34盗塁)
★1960(昭和35)年…山内 和弘(.313/32本/103打点/5盗塁)
★1970(昭和45)年…木樽 正明(21勝10敗/2.53)
★1974(昭和49)年…金田 留広(16勝7敗0S/2.90)
★1982(昭和57)年…落合 博満(.325/32本/99打点/8盗塁)
★1985(昭和60)年…落合 博満(.367/52本/146打点/5盗塁)

 50(S25)年、60(S35)年、70(S45)年、74(S49)年と優勝年ごとに輩出している。50年と60年はそれぞれ本塁打と打点の二冠王に輝いた打線の主軸、別当と山内が選ばれ、70年(S45)と74年(S49)は投手の軸となった木樽と金田留が選ばれた。
 優勝チーム以外で初めて選出されたのは、82(S57)年の落合。自身初、4人目の三冠王を獲得して選ばれた。落合は記録づくめとなった2度目の三冠王を獲得した85(S60)年には2度目の選出。ただ、翌年の3度目の三冠王獲得時は逃した。
 プレーオフから勝ち上がって日本一となった2005(平成17)年と2010(平成22)年は、マリーンズからは選出されなかった。

【日本シリーズМVP】

★1950(昭和25)年…別当  薫(打率.500、両軍最多の12安打で3番として打線をけん引)
★1974(昭和49)年…弘田 澄男(打率.400/2本、第4戦と第6戦で決勝打)
★2005(平成17)年…今江 敏晃(打率.667/1本、第1戦の先制弾など15打数10安打)
★2010(平成22)年…今江 敏晃(打率.444、第1戦で決勝打の他12安打6四球)

 また、日本シリーズで活躍した選手が選出される「日本シリーズМVP」には日本一となったチームから選出されるが、別当、弘田、そして「シリーズ男」と呼ばれた今江が2度選ばれている。

【新人王】

★1950(昭和25)年…荒巻  淳(26勝8敗/2.06)入団1年目
★1955(昭和30)年…榎本 喜八(.298/16本/67打点/12盗塁)入団1年目
★1969(昭和44)年…有藤 通世(.285/21本/55打点/4盗塁)入団1年目
★1974(昭和49)年…三井 雅晴(6勝5敗4S/3.24)入団2年目
★1997(平成9)年…小坂  誠(.261/1本/30打点/56盗塁)入団1年目
★2005(平成17)年…久保 康友(10勝3敗0S0H/3.40)入団1年目
★2012(平成24)年…益田 直也(2勝2敗1S41H/1.67)入団1年目
★2014(平成26)年…石川  歩(10勝8敗0S0H/3.43)入団1年目

 荒巻は星野組から24歳で入団しエースとしてフル回転、榎本は早稲田実業高校から入団し3割には届かなかったものの139試合に出場、有藤は近畿大学から入団し全試合サードを守り、それぞれが即戦力として結果を残し選出された。
 三井は高校卒で入団し1年目は一軍登録なし。2年目に先発、リリーフと31試合に登板し勝ち星は6勝ながら4セーブが評価されて選出された。
 その後20年以上選出されなかったが、マリーンズとなりJR東日本東北から24歳で入団した小坂が遊撃のレギュラーとなり全試合出場。規定打席にも到達(30位)して選出された。
 当時採用されていた「自由獲得枠」で松下電器から24歳で入団した久保はルーキーながらローテーションを守り2ケタ10勝をマークして選出された。
 関西国際大学から入団した益田は一軍開幕を手中にするとセットアッパーとして72試合に登板。2勝ながら41ホールドが評価された。
 東京ガスから26歳で入団した石川は開幕からローテーションを守り、25試合に先発し、パ・リーグの新人では唯一規定投球回に到達して選出された。

 ベストナインとゴールデングラブは多数選出されているため、年度ごと73年間をリストアップした。

【ベストナイン ゴールデングラブ 一覧】

※守備表彰は1972(昭和47)年から。
 当初名称はダイヤモンドグラブ(DG賞表記)、1986(昭和61)年からゴールデングラブ(GG賞表記)
-----毎日オリオンズ-----
◆1950(昭和25)年《日本一》…投手・荒巻淳、捕手・土井垣武、二塁・本堂保次、外野・別当薫
◆1951(昭和26)年《3位》…捕手・土井垣武、外野・別当薫
◆1952(昭和27)年《2位》…捕手・土井垣武、外野・別当薫
◆1953(昭和28)年《5位》…外野・別当薫
◆1954(昭和29)年《3位》…捕手・Cルイス、外野・山内和弘
◆1955(昭和30)年《3位》…捕手・Cルイス、外野・山内和弘
◆1956(昭和31)年《4位》…一塁・榎本喜八、外野・山内和弘
◆1957(昭和32)年《3位》…外野・山内和弘
------大毎オリオンズ-----
◆1958(昭和33)年《4位》…遊撃・葛城隆雄
◆1959(昭和34)年《2位》…一塁・榎本喜八、三塁・葛城隆雄、外野・山内和弘
◆1960(昭和35)年《優勝》…投手・小野正一、一塁・榎本喜八、外野・田宮謙次郎、外野・山内和弘
◆1961(昭和36)年《4位》…一塁・榎本喜八、外野・田宮謙次郎、外野・山内和弘
◆1962(昭和37)年《4位》…一塁・榎本喜八、外野・山内一弘
◆1963(昭和38)年《5位》…一塁・榎本喜八、外野・山内一弘
-----東京オリオンズ-----
◆1964(昭和39)年《4位》…一塁・榎本喜八
◆1965(昭和40)年《5位》…選出なし
◆1966(昭和41)年《4位》…一塁・榎本喜八
◆1967(昭和42)年《5位》…選出なし
◆1968(昭和43)年《3位》…一塁・榎本喜八、外野・Gアルトマン
-----ロッテオリオンズ-----
◆1969(昭和44)年《3位》…二塁・山崎裕之、三塁・有藤通世
◆1970(昭和45)年《優勝》…投手・木樽正明、二塁・山崎裕之、三塁・有藤通世、外野・Gアルトマン
◆1971(昭和46)年《2位》…二塁・山崎裕之、三塁・有藤通世、外野・Gアルトマン
◆1972(昭和47)年《5位》…三塁・有藤通世 【DG賞】三塁・有藤通世、外野・池辺巌
◆1973(昭和48)年《3位》…投手・成田文男、三塁・有藤通世 【DG賞】投手・成田文男、三塁・有藤通世、外野・弘田澄男、
◆1974(昭和49)年《日本一》…投手・金田留広、捕手・村上公康、二塁・山崎裕之、三塁・有藤通世 【DG賞】捕手・村上公康、三塁・有藤通世、外野・弘田澄男
◆1975(昭和50)年《4位》…三塁・有藤道世、外野・弘田澄男 【DG賞】三塁・有藤道世、外野・弘田澄男
◆1976(昭和51)年《3位》…外野・弘田澄男 【DG賞】外野・弘田澄男
◆1977(昭和52)年《3位》…三塁・有藤道世、外野・Lリー 【DG賞】二塁・山崎裕之、外野・弘田澄男
◆1978(昭和53)年《4位》…選出なし
◆1979(昭和54)年《4位》…選出なし
◆1980(昭和55)年《2位》…一塁・レオンL、三塁・有藤道世、外野・Lリー 【DG賞】遊撃・水上善雄
◆1981(昭和56)年《3位》…投手・村田兆治、二塁・落合博満、三塁・有藤道世
◆1982(昭和57)年《5位》…二塁・落合博満
◆1983(昭和58)年《6位》…一塁・落合博満
◆1984(昭和59)年《2位》…三塁・落合博満、外野・高沢秀昭、DH・Lリー 【DG賞】一塁・山本功児、外野・高沢秀昭
◆1985(昭和60)年《2位》…二塁・西村徳文、三塁・落合博満、外野・横田真之、DH・Lリー 【DG賞】一塁・山本功児、二塁・西村徳文
◆1986(昭和61)年《4位》…三塁・落合博満、外野・横田真之、DH・Lリー
◆1987(昭和62)年《5位》…遊撃・水上善雄 【GG賞】外野・高沢秀昭
◆1988(昭和63)年《6位》…外野・高沢秀昭 【GG賞】外野・高沢秀昭
◆1989(平成元)年《6位》…選出なし 【GG賞】一塁・愛甲猛
◆1990(平成2)年《5位》…外野・西村徳文 【GG賞】外野・西村徳文
◆1991(平成3)年《6位》…外野・平井光親
-----千葉ロッテマリーンズ-----
◆1992(平成4)年《6位》…選出なし
◆1993(平成5)年《5位》…選出なし
◆1994(平成6)年《5位》…投手・伊良部秀輝
◆1995(平成7)年《2位》…投手・伊良部秀輝、一塁・Fフランコ、三塁・初芝清 【GG賞】一塁・Fフランコ
◆1996(平成8)年《5位》…投手・Eヒルマン
◆1997(平成9)年《6位》…選出なし
◆1998(平成10)年《6位》…二塁・Fフランコ
◆1999(平成11)年《4位》…選出なし 【GG賞】遊撃・小坂誠
◆2000(平成12)年《5位》…選出なし 【GG賞】遊撃・小坂誠
◆2001(平成13)年《5位》…DH・Fボーリック 【GG賞】遊撃・小坂誠
◆2002(平成14)年《4位》…選出なし
◆2003(平成15)年《4位》…選出なし 【GG賞】一塁・福浦和也
◆2004(平成16)年《4位》…選出なし
◆2005(平成17)年《日本一》…二塁・堀幸一、三塁・今江敏晃、遊撃・西岡剛、外野・Мフランコ 【GG賞】一塁・福浦和也、二塁・西岡剛、三塁・今江敏晃、遊撃・小坂誠、外野・サブロー
◆2006(平成18)年《4位》…捕手・里崎智也 【GG賞】捕手・里崎智也、三塁・今江敏晃
◆2007(平成19)年《2位》…捕手・里崎智也、遊撃・西岡剛 【GG賞】捕手・里崎智也、一塁・福浦和也、三塁・今江敏晃、遊撃・西岡 剛、外野・サブロー
◆2008(平成20)年《4位》…選出なし 【GG賞】三塁・今江敏晃
◆2009(平成21)年《5位》…選出なし
◆2010(平成22)年《3位・日本一》…遊撃・西岡剛、DH・福浦和也 【GG賞】遊撃・西岡剛
◆2011(平成23)年《6位》…選出なし 【GG賞】外野・岡田幸文
◆2012(平成24)年《5位》…外野・角中勝也 【GG賞】外野・岡田幸文
◆2013(平成25)年《3位》…遊撃・鈴木大地
◆2014(平成26)年《4位》…選出なし
◆2015(平成27)年《3位》…外野・清田育宏 【GG賞】投手・涌井秀章、二塁・Lクルーズ、外野・清田育宏
◆2016(平成28)年《3位》…捕手・田村龍弘、遊撃・鈴木大地、外野・角中勝也 【GG賞】投手・涌井秀章
◆2017(平成29)年《6位》…選出なし 【GG賞】二塁・鈴木大地
◆2018(平成30)年《5位》…選出なし 【GG賞】二塁・中村奨吾
◆2019(令和元)年《4位》…外野・荻野貴司 【GG賞】外野・荻野貴司
◆2020(令和2)年《2位》…選出なし
◆2021(令和3)年《2位》…一塁・レアード、二塁・中村奨吾 【GG賞】二塁・中村奨吾、外野・荻野貴司
◆2022(令和4)年《5位》…選出なし 【GG賞】髙部 瑛斗

 ベストナイン最多受賞は1950(昭和25)年、1960(昭和35)年、1974(昭和49)年、2005(平成17)年とリーグ優勝した年に4選手が選出されているシーズンが最多。
 個人では有藤が10度(全て三塁)で最多。山内(全て一塁)、榎本(全て一塁)が9度選出されている。落合はオリオンズで6度選出されているが、一塁1度、二塁2度、三塁3度と3つのポジションで受賞している。

 1972(昭和47)年から選出が始まったゴールデングラブは、2005(平成17)年に6選手が選出されたが、内野はマリーンズが独占した。内野を独占したのは横浜(1998年)、西武(1992年)に続き3度目。なお、この年バレンタイン監督は二遊間を固定せず、堀、西岡、小坂を併用したため、ベストナインでは二塁・堀、遊撃・西岡だったが、ゴールデングラブでは二塁・西岡、遊撃・小坂が選出された。
 個人では弘田の5度が最多。有藤(全て三塁)、小坂(全て遊撃)、西岡(二塁1度、遊撃3度)、今江(全て三塁)の4選手が4度受賞している。

 その他、シーズン表彰される賞について。

【正力松太郎賞】

 1977(昭和52)年から表彰開始。対象はプロ野球の発展に大きく貢献した人物(監督・コーチ・選手・審判)とされているもが、その年の日本シリーズで勝利したチームの監督が選出されている。
◆2005(平成17)年…ボビー・バレンタイン
◆2010(平成22)年…西村徳文

【沢村栄治賞】
 1947(昭和22)年から、その年にNPBで活躍した完投型先発投手に贈られる賞だが、長らくセ・リーグ対象だった。1989年(平成元)からパ・リーグにも選考対象が広がったが、オリオンズ&マリーンズの投手からの選出はない。

(次回)⇒《3/14 有料公開》(5)(投手編)「完全試合と無安打無得点」の考察

※参考------------------------------------------
・移籍選手は球団在籍時のみの数字で算出。通算数字は参考に掲出
・改名した選手名は、シーズン記録は当時の名前、通算記録は改名後の名前で掲出
 山内一弘は1962(昭和37)7月18日まで和弘、19日から一弘。
 有藤道世は1974(昭和49)年まで通世、翌年から道世。

【オリオンズ&マリーンズ 記録・数字の球団73年史 INDEX】

【全文無料】(1)(チーム)「試合数」の73シーズン考察(チーム&打者ベスト10、投手ベスト10)
《冒頭試し読み》(2)(チーム)「勝利数と勝率、監督」の73シーズン考察
《冒頭試し読み》(3)(チーム)「敗戦数と引分」の73シーズン考察
《冒頭試し読み》(4)(チーム)「МVPと新人王、表彰」の73シーズン考察
《冒頭試し読み》(5) (投手編)「完全試合と無安打無得点」の考察
《冒頭試し読み》(6) (打者編)「打率」首位打者&73シーズン打率ベスト10
《冒頭試し読み》(7)(投手編)「勝利」最多勝と20勝&73シーズン勝利ベスト10
(8) (打者編)「安打数」73シーズン考察&安打ベスト10
(9) (投手編)「勝率」最高勝率&73シーズン勝率ベスト10
(10) (チーム)「本塁打 球団記録」の73シーズン考察
(11) (打者編)「本塁打 個人記録」の73シーズン考察
(12) (投手編)「防御率」最優秀防御率&73シーズンベスト10
(13) (打者編)「打点」打点王&73シーズンベスト10
(14) (投手編)「奪三振」奪三振王&73シーズンベスト10
(15)(打者編)「出塁率」最高出塁率&73シーズンベスト10

※参考文献、引用--------------------------------
『千葉ロッテマリーンズ ガイドブック』各年度版
『千葉ロッテマリーンズ球団50年史』株式会社スリーライト刊
『日本プロ野球記録 公式戦全スコアWEB』
 https://2689web.com/#google_vignette

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