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クリスマスマーケットと涙

先日、以前noteにも書いたスペイン人の友達とクリスマスマーケットへ。

約2週間前にこの約束をした時、私はもちろんルンルン気分。
でも、この日はそんな気持ちは憂鬱な気持ちに完全に圧倒されていた。
なぜなら友達に日本へ帰ることを伝えなくてはいけなかったから。

どんなタイミングでどんな風に伝えたらいいんだろう?と待ち合わせ場所に向かうバスでずっと考えてたけど、答えが出る前に降車するバス停に。

そんなことを知らない彼女は満面の笑顔とハグで私を迎えてくれて、その顔を見ただけで私はうるっとしてしまいそうで、必死に笑顔を作った。

近況を報告しあって歩いているうちに、お目当ての場所に到着。

クリスマスマーケットと聞くと皆さんはドイツなどに代表される有名な木で出来た可愛らしい小さなきらきらしたお店が立ち並ぶ姿を想像されるのではないかなぁ…。でも、バルセロナのクリスマスマーケットは華やかさは欠けるし、規模も小さめ。主に売られているのはスペインの伝統的なクリスマス飾り『Belén(ベレン)』で使用するミニチュア人形。Belénはスペイン語でキリストの生まれたベツレヘムのこと。ベレンはキリスト生誕時の様子を再現するもので、主役のイエスキリスト、聖母マリア、聖ヨセフの3人が基本で、そこに天使や羊飼い、東方の三賢者を加えたり、町を再現するための建物系のミニチュアや動植物などなど、取り扱っている種類はたくさん!実際に水を流して風車が回ったりするものまである。後はカタルーニャ地方だけのカガティオ、カガネルや生のもみの木を売るお店など。生憎、ホットワイン屋さんはない。あるのはチュロスくらいかな。

一番きらきらしてたお店の一角
ヤドリギの枝がとても可愛い

小さなマーケットだけど、一軒一軒じっくり見ながら回った。その間色々な話をした。彼女の通っていた幼稚園では粘土で作ったベレンのコンクールがあったこと、実家で過ごすクリスマスの事などなど。彼女は今年パートナーの母国であるドイツでクリスマスを過ごす予定。なんと家族以外と過ごすのは25年間の人生でたった2度目(一度目は日本に留学中)だそう!スペインのクリスマスが家族との大事なイベントなんだぁと改めて実感。

彼女と巡るクリスマスマーケットは過去2年訪れた時とは違う発見がたくさんあって、時間はあっという間に過ぎていった。

そして、とうとう帰るタイミングが…。
『Tengo mala noticia….(悪いニュースがあるの…』と意を決して、恐る恐る口に出した私。その瞬間涙が溢れてしまった。出逢ってまだ1年も経っていないのだけど、言葉にした瞬間にこれまでの思い出が走馬灯のように頭を駆け巡って涙を誘った。『Qué te pasa?(どうしたの)』と突然泣き出した私に驚いただろうに、優しく声を掛けてくれる彼女。

2カ月半後にバルセロナを離れなくてはならなくなったことを伝えると、彼女も涙してくれた。何度も優しくハグしてくれながら、『ずっと友達だよ。いつだって連絡も出来るし、テレビ電話も出来る。』と10歳も年下の彼女に慰めてもらう30代半ば女。なんと滑稽な。

そんな私に彼女はとっておきのサプライズを教えてくれた。
『来年の7月には日本に行く予定なんだ!だからすぐに会える』と。

***

私は人間関係を築くのがとても苦手。
歳を重ねるにつれて、環境の変化も加わり、友達は減る一方。
20代の頃いっつも遊んでいた顔ぶれも、私の結婚や引っ越しと共に自然と連絡を取り合う事はなくなった。

今、自分から気軽に声を掛けられる友達は片手で充分に数えられるほど。だから基本的に人間関係に自信がないし、淡白になりがち。バルセロナを離れてしまったら、この関係はあっさり終わってしまうんだろうなと思い込んでしまっていた。でも、せっかく異国の地で出逢い、私のバルセロナ生活に楽しみ・安心感など新しい風を吹かせてくれた彼女との関係を末永く大切にしたいと今は強く思ってる。もちろんこの地で出逢った日本人の友人も。ここに来なければ出逢うことがなかったし、精神的にもとても助けられたから。

正直、関係を維持するために何か努力をすることが正しいのかよく分からないけど、今まで何かと諦めがちだった自分を変えたいな。

※見出しの写真はとある町で見かけた等身大のベレン


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