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もしも現代の高校生に転生したら……学校では教えてくれない?ボランティアの話《1》

(1)ボランティアなのに学校の科目?

高校生のうちの子、今のバイト先を辞めて学校近くのバイト先に応募すると言い出しました。なんと時給が400円も高いのだそうです。今のバイト先は自宅から30分ほどの住宅地エリアにあります。確かに、住宅地なら夏休みや週末も通いやすいし、応募してくる学生さんは多いでしょう。それに住宅地ですからパートの主婦層もかなりいるはずです。正直、パート主婦としては、通勤に1時間多く使うなら、その1時間は休みたい……。すぐ疲れる年齢&個体なのですよ。地元がいいんです。学校で何時間も授業を受けてからバイトに行ける体力、実にうらやましい。しかし本人曰く、「やっぱり土日は休みたい。地元だと来れるでしょって感じになる」のだそうです。時給が400円上回るほど、住宅地より市街地のほうが人手を探すのは大変なのかもしれません。(そうそう、400円も高いバイトってどんなのかと思ったら、住宅地にもよくあるチェーンの飲食店でした。)

さて、今の高校生はボランティアをやって学校の単位を取らなくてはならないらしく、実はこれが危ないともしれっと打ち明けられました。もう11月です。はたで見ていて何もやっている様子がなかったので、うすうす気づいてはいたのですが……見せてもらったプリントによると、どうも既に「根回し」されていて、ボランティアとして受け入れてくれるところが何か所もあったようです。それならそこから選んで応募し、指示通りに活動するだけではないかー!しかし親に似たのか、なるべく好きなことをして単位を取りたいと思ったようで、リストにあるボランティアはどうも食指が動かない。それなら自分がやりやすいものを探そう……それを放置した結果、選べるボランティア先は全て受付終了しており、11月になって「今年は単位無理かも」となったわけですね。(担任の先生の担当科目ではないらしく、面談ではそういうこと何も言われなかったな……。)

もし自分が現代の高校生で、単位のためにボランティアをしなくてはならない、となったら、やっぱり「なるべくラクで、得すること」をやろうとするだろうな~。どうせやるなら、せめて興味関心のあることがいいに決まっています。今回は、「自分に合ったボランティア」について考えます。

(2)「ボランティアの目的」は何ですか?

目的も何も、学生にとって卒業に必要な単位なら、やるしかないですよね。もし自分が現代の高校生に転生したら、目的は「学校の活動のため」と潔く書いて、先生にダメ出しされ、言われた通りに書き直します(笑)
自分がPTAの本部役員をやると決めたときは「やるからには搾取はされないぞ。学校や地域のこと、組織や業務のこと、諸々学ばせてもらうぜ!」という魚心・水心で飛び込んだのですが、10年以上続けている日本語ボランティアは「留学したとき現地の人と交流があったし、自分も役に立てることがあるなら……」「日本語学校や本職の先生ができない・やらない部分をカバーできれば……(※)」という奉仕マインドが軸になっています。

※日本語教師“修行中”の方がボランティアで授業をやって、プロの仕事を奪っている、報酬対価を下げているという批判があるのです。実際には、ボランティアの活動と教師の仕事は本質的に違いがあります。この話はまたいつか機会があれば……

補足・注釈

本来なら後者の奉仕マインドがボランティアの根幹を成すべきですが、やりたくないボランティアを嫌々やると、やる側も受け入れる側もお互いに苦痛にしかなりません。「やらなくてはならない」なら、なるべく自分に合ったものを探すのが一番です。アルバイトだって、音楽が好きな人はコンサートやライブハウス、賄いの食事が出るから飲食店、ダイビングやスキーが好きだから長期休みに海の家やペンション、空いた時間にできる自転車やバイクでの配達など、自分の好みや都合に合わせて探しますもんね。

(3)そもそも「自分に合うボランティア」って?

“自分に合う”ボランティアを考えるとき、ポイントは2つあります。
ひとつは、「どんな仕事ならタダ働きしてもいいか」。つまり「自分にとってお金以外のメリットがあるか」ということです。好きなことだから苦にならないとか、楽しそうとか、勉強になる、などでしょうか。(“ちょっとボランティア”をやって学校の単位になるということは、それなりに大きなメリットだと思うのですが……)
もうひとつは、「物理的・能力的に」できて、「苦手要素がない」ことです。子どもが苦手なのに保育ボランティアは気が重いでしょう。(もちろん、誰でも最初は「初めて」なので、やってみたら「これ自分にもやれるな!できたな!」となることもあります。私はありました。)
また、気持ち的にやりたいと思っても「向いてない仕事」もあります。体力が全然ないのに外地から被災地に赴いて泥かきをしても、体調を崩してしまったりすれば、却ってお邪魔になってしまいます。
「地元で知っている人に会うのは嫌だなあ……」という人もいるかもしれません。活動地域や交通の便も、地味に大切です。

(4)イメージして、考えてみましょう

  • 人と接すること、コミュニケーションが好きか、苦手か

  • 新しいことを学びたいか、既に知っている知識や技能を活かしたいか

  • 自分がどんなときに嬉しさ、楽しさを感じるか

  • 逆に、これだけはやりたくない、苦手なことは何か(初対面の人と話す、お金の計算など)

  • 皆でワイワイやりたいか、黙々と作業したいか

  • 気力・体力がどれくらいあるか/活動場所は屋内か、屋外か

  • 記念品、ノベルティグッズがもらえる活動がよいか

  • 運営のやり方に疑問を感じたり、活動メンバーと考え方、やり方が違ったらどうする?

興味・関心を持てるかどうかは、「レポートを書きやすいかどうか」にも影響してきます。自分に合うボランティアを探すのは、考えようによっては就活の自己分析に似ているかもしれません。

ちなみに、自分が「やってみたら意外とできるな!」とわかったのは「人前で話すこと」です。自分が全体像や細部をある程度わかっていて、話す内容も決まっていれば、あるいは進行の段取りや台本ができていれば、人前でも(緊張はしますが)話せるもんだなとわかりました。自分のことを発見するのはなかなかいいものです。

ちなみに冒頭の、子のボランティアは「やった?」「やりなさいよ?」と口うるさくはなるでしょうが、お膳立てはせず見守るつもりです。なんとか卒業までに単位は取ってもらいたいところですが……。

次回はいつになるかわかりませんが、『ボランティアのレポートを書くコツ』みたいなものを書けたらいいなと思っています。



後日談

その後、子はバイトしている様子もないのでどうなったか聞いてみると、やっぱり応募するのをやめたのだそうです。時給が高いのは最初の「お試し期間」だけで、その後は一般的な時給になってしまうのだとか。そういえばインターンなんかだとアルバイトで天引きもなく、社員になると手取りが大幅に下がる……なんてのはある話ですが、もしかしたらそのケースだったのでしょうか。マッチングの難しさはいつの時代も変わりませんね。

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