大和田健介

司法書士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、民事信託士。 登記・成年後見・民事信託…

大和田健介

司法書士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、民事信託士。 登記・成年後見・民事信託・相続関係を主に取り扱っています。 記載内容は個人の意見です。 事務所ウェブサイト:https://shihou-oowada.jp/

最近の記事

身元保証、高齢者生活支援サービス関係 これまでの動き

はじめに身元保証等に関係するこれまでの動きを時系列に記載しました。 備忘用で、現状はとりあえず羅列しただけです(読みにくくてすみません)。後日加筆するかもしれません。 年表 1999年~2015年 地域福祉権利擁護事業の開始(1999年) 都道府県社会福祉協議会を実施主体とした国庫補助事業。 2007年度に「日常生活自立支援事業」に名称変更 成年後見センター・リーガルサポート設立(1999年) 介護保険法、成年後見関連四法の施行(2000年) NPO法人きずなの会設

    • 後見人が先に死亡したときの手続

      はじめに成年後見等の利用が開始されるとき、通常は後見人等が本人(成年被後見人等)より長生きすることが想定されている。しかしながら不幸にして後見人が先に亡くなってしまうこともある。 なんとなく「家庭裁判所が後任を選んでくれる」と考えがちで、それで大きくは間違っていないが、いくつか注意を要する点もある。 類型別問題任意後見 任意後見は委任契約の一種であるため、受任者である任意後見人・任意後見受任者が死亡すると任意後見は終了となる。 本人にとって後見制度の利用が必要であれば、改

      • 意思決定支援にかかる架空事例検討(私家版)3

        はじめに成年後見制度の利用者からの贈与について、以前は善管注意義務の観点から原則として認めない取扱いであった。 近年は本人の意思尊重の観点から柔軟に判断されるようになってきたが、相続税対策としての贈与についてはやはり慎重に扱われるようである。 本人による意思決定を原則とした場合、贈与についてどう判断すべきだろうか。 なお、事例は架空の創作事案である。 事例1事案の概要 70歳代男性。脳梗塞で倒れ、成年後見制度利用に至る。専門職後見人が就任。 妻とは死別。2人の子(B、C

        • 意思決定支援にかかる架空事例検討(私家版)2

          問題 ・財産管理に関する意思決定支援のあり方。 ・本人以外の相続人に全てを取得させる遺産分割の是非。 事案の概要 80歳代女性。保佐開始の審判を受けた。数年前よりグループホームに入居中。 このたび夫が死去。遺言はなく、遺産分割により相続手続を行う。 相続人は本人(被保佐人)と子1名。 保佐人は遺産分割に関する代理権を有する。 相続財産は後記のとおり(※事案A、Bそれぞれ別個に検討する)。 子は、自分が相続財産の全てを取得したいと主張している。 ※特別受益や寄与分はな

        身元保証、高齢者生活支援サービス関係 これまでの動き

          意思決定支援にかかる架空事例検討(私家版)1

          はじめに 成年後見業務における意思決定支援の論点を検討するための題材です。 「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」の存在を前提として、ガイドライン運用に関する課題抽出を試みるものです。 事案は全くの架空です。細部の不自然な点はご容赦ください。書かれていない部分は適宜想像で。 問題 自宅建物につき、火災保険の加入をどう考えるか。 事案の概要 80歳代女性。自宅で独居。 このたび保佐開始の審判を受け、親族でない第三者が保佐人に就任した。 アルツハイマー型認知

          意思決定支援にかかる架空事例検討(私家版)1

          学科試験と実技試験、どちらが緊張するかという議論を見て

          日曜日は司法書士試験(筆記)でした。受験された皆様、お疲れさまでした。 さて、司法書士試験に関して、先日Twitterでの某氏の投稿が波紋を呼んだ。 司法書士試験よりも保育士の実技試験のほうが緊張度が高いという趣旨のツイートがなされ、これに対して一部の司法書士と受験関係者が反応してちょっとした炎上となったのである。 Twitterのタイムラインを見て、これはなかなか難しい議論だと思った。もっとも、事の正否よりお気持ちが問題になっている可能性もあるが、そちらはひとまず置いて

          学科試験と実技試験、どちらが緊張するかという議論を見て

          成年後見と納税管理人

          成年後見人・保佐人・補助人が税務に関する手続を行ったり、関係書類の送付先を変更したりする場合、税務当局に納税管理人の届出をするのが通例になっている。 これは、税務に関する法律や条令等において成年後見人等に関する定めがないため、やむを得ず代用されているものである。 ただ法令によると、納税管理人は、納税義務者本人の意思で「定める」こととなっている。 国税通則法 (納税管理人) 第百十七条 個人である納税者がこの法律の施行地に住所及び居所(事務所及び事業所を除く。)を有せず、若

          成年後見と納税管理人

          本人死亡後に後見事務報酬をどうやって受領するか

          はじめに 第三者が成年後見人・保佐人・補助人の仕事を行う場合、報酬が発生する。 平時であれば、家庭裁判所の報酬付与審判で決められた額を、成年後見人等が管理する預貯金口座から出金して受領する(※1)。 問題は、本人(成年被後見人等)が死亡した場合である。本人の死亡により後見等が終了するため、成年後見人等は家庭裁判所に最終報告を行って報酬付与を申し立てるが、その報酬をどうやって受け取るかが問題となる。後見等の終了により、成年後見人等はその地位を失っているからである。 原則(相

          本人死亡後に後見事務報酬をどうやって受領するか

          昔の意思か、現在の意思か

          任意後見契約において、契約の発効後に本人が契約内容と異なる希望を示すことがある。 例えば、契約締結時には所有不動産を絶対に手放さないと決めており、処分にかかる代理権も付与していなかったが、本人が認知症を発症して契約が発効した後、本人が売却や贈与を希望する場合である。 任意後見制度の元々の趣旨からすれば、契約内容、契約時の意思が優先されるようにも思える。判断能力を失っているからと切り捨てることもあるかもしれない。 一方、全ての人に意思決定能力があると考える意思決定支援の考え

          昔の意思か、現在の意思か

          「親族は成年後見人に選ばれない」は本当か

          親族後見人が選任される割合が年々減少しているのは、よく知られているとおりである。 上記は各年の新規事件において親族が後見人に選任された割合である。2012年に半分を切り、以後も減少を続けている。 これについては様々な議論があるが、以前は「親族は立候補してもほとんど選任されない」なる説が提起されていた。 しかし、この説は当時の公表統計からしてもおかしいとの指摘があった。 親族候補者が選任されないというより、むしろ親族候補者がいないというのである。 これは統計(成年後見事

          「親族は成年後見人に選ばれない」は本当か

          意思決定能力として記憶力は必要か

          はじめに 成年後見事務において意思決定支援を原則とするガイドラインが、昨年10月に策定・公表された。 ガイドラインの内容は先進的といえるが、前のめりな部分もいくつか見られ、それゆえ現実に運用するにあたっては様々な課題がある(と、個人的に考えている)。 一方、運用以前の根本的な問題として、そもそも意思決定に必要な能力は何かという問題がある。 従前の(特に医学界における)議論と、当該ガイドラインにおける定義に若干のずれが見られる。具体的には記憶力の要否である。 なお、以下は

          意思決定能力として記憶力は必要か

          はじめに

          司法書士をしています。京都府のはしっこで個人事務所を構えています。 2011年に司法書士登録した当初から、成年後見業務に関わってきました。成年後見人として業務を行うほか、会務(リーガルサポートの支部役員)での関わりも大きいです。 最近は自治体の成年後見支援センター運営委員会などにもお邪魔しています。 同業者から「大和田さんのところは後見専門の事務所」と言われることもありますが、実際には登記も含めてまんべんなく取り扱っているつもりです。 成年後見制度については、2016年に