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意思決定支援にかかる架空事例検討(私家版)2

問題

・財産管理に関する意思決定支援のあり方。
・本人以外の相続人に全てを取得させる遺産分割の是非。

事案の概要

80歳代女性。保佐開始の審判を受けた。数年前よりグループホームに入居中。

このたび夫が死去。遺言はなく、遺産分割により相続手続を行う。
相続人は本人(被保佐人)と子1名。
保佐人は遺産分割に関する代理権を有する。
相続財産は後記のとおり(※事案A、Bそれぞれ別個に検討する)。

子は、自分が相続財産の全てを取得したいと主張している。
※特別受益や寄与分はないものとする。
本人は、遺産分割については子に一任したいと言っている。
本人は相続財産の内訳は一応把握している。

本人名義で十分な額の預金があり、仮に子が相続財産の全部を取得しても、本人の生活に(少なくとも金銭面では)問題はない。

相続財産の内訳

※いずれの場合も、分割方法にかかわらず相続税は発生しないものとする。
事案A:預貯金1000万円のみ。
事案B:預貯金1000万円+(旧)自宅土地建物(現在は空家状態)。

考えられる主な論点

(1) 本人が全く相続財産を取得せず、子が全て取得する遺産分割を行うことは許されるか。
(2) 意思決定支援を行うチームに誰が加わるべきか。
(3) チーム内で相続に関する情報共有をどのように行うべきか。
(4) 意思決定支援を行う場合、本人に対して何を確認・説明する必要があるか(特に事案Bの場合)。
(5) 「息子に任せる」という意思表示をどうとらえるか。

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