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怒った顔はバレやすい!?感情の研究って面白い!|「感情科学」を読んで

1. この本の楽しみ方

「普通の顔」と「怒った顔」と「喜んだ顔」。人間さんは色々な表情を持っています。

もし、0.1秒だけ視界の中にいずれかの顔の写真を見せた後、「パネルの中から同じ写真を見つけてください」とクイズを出したとします。この時、一番見つかりやすい表情はなんでしょうか。著者の1人、吉川先生の研究によると、実は「怒った顔」らしいです。へー・・・。

このような「感情」に関係した研究を楽しむことができるのが、本日ご紹介する「感情科学」という本になります[1]。

( ※ It's about 1400 words, so you'll be able to read it in 3 minutes. )

この本から2つの内容をご紹介しますね。


2. 怒った顔が見つかるのはわかったよ!でもなんで?

はじめにご紹介した例は、第2章の中で、吉川先生によって様々な研究結果が紹介されています。ちなみに怒った顔がすばやく見分けられるのは、「自分に危害を加えるかもしれない」という脅威信号に対する反応とのことです。なるほど、確かに人間さんが生きていく上で重要な気がします。

この秘密は脳にあるようです。

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Blairらの研究によると、怒りの表情に対して、前頭眼窩野(がんかや)が高く活動するとのこと[2]。怒っている顔を見ると、目の奥の部分がビビビッ!と反応しているんですね。

ちなみに喜びの表情は、顔の記憶成績がよいとのことです。好きな人の前では笑顔が大切とはこのことか!


3. 文化による感情の違い

ときどきに甘えてくれる人間さんの方が可愛いってありますよね。完璧な後輩より、少し頼ってくれる後輩の方が可愛いみたいな話です。

そんな「甘え」についてですが、本書の第7章の中で、北山先生らが、日本人とアメリカ人では甘えの文化が違うんだよって話を書いています。

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愛情表現としての適度な甘えは人類学者の中では日本の文化とされているそうです。一方で、欧米には「甘え」に該当する単語がないそうです。

ではアメリカ人に甘えてみましょう、するとどうなるか。

新谷先生の研究結果では、アメリカ人も甘えられると好ましい感情を示したとのことでした。しかし、自分が状況をコントロールしているからという効力感に起因してポジティブって結果のようです・・・。なんだか、複雑。

次に北山先生たちは、「甘え」と「感情のカテゴリー」の相関についての研究結果を示しています。すると、「幸せ」や「誇り」といったカテゴリーに対して、負の相関がある結果に。アメリカ人は自己の独立を志向するので「甘え」に対して、ネガティブな感情が出るようです。

つまり、「甘え戦略」は文化の違いを考慮して使い分けるべし!・・・ん?


結論

「見つかりたくない時は、普通の顔をしましょう!」(違うそうじゃない)

他にも様々な感情に関する研究結果が示されています。ご興味あればぜひ。

以上、本のご紹介でした。

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REFERENCE

[1] 遠藤利彦ほか. 藤田和夫編. 感情科学. 京都大学学術出版会, 2007,405p.

[2] R.J.R.Blair, J.S.Morris et al. Dissociable neural responses to facial expressionsof sadness and anger. Brain. 1999, 122, 883-893.

※画像は「PIYOTASO(ぴよたそ)」さんのイラスト使用しています。


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