紫キャベツさん

1990年代に米国で異文化コミュニケーションを学び、米国に本部を置くグローバル展開をす…

紫キャベツさん

1990年代に米国で異文化コミュニケーションを学び、米国に本部を置くグローバル展開をするキリスト教団体の日本事務所代表として25年間働きました。世界で1千万人以上が利用しているデボーションガイドの日本語版の監訳者をしています。

最近の記事

「月の立つ林で」

小説が読みたい気分が続きました。ほんわりとしたゆるい話がよいと探したのが、青山美智子作「月の立つ林で」です。こんなお話でした。 長年勤めた病院を辞め転職活動をしている元看護師、宅配員をしながら夢を諦めきれない芸人、突然さずかり婚をした娘と心の距離が開いて悶々とする父親、シングルマザーの親から自立したいと願う女子高生、夫や義母にキャリアを認めてもらえない不満を募らすアクセサリー作家。この人たちが各章のメインキャラクターです。 この人たちは、皆、何かをこじらせています。そんな

    • 「教会につまずく」ということ

      最近は少なくなったけれども、時々「教会につまずく」という言葉を耳にします。以前、「デイリーブレッド」というデボーションガイドを発行する事務所で働いていたとき、時々、そういう方から電話がありました。大概は「デイリーブレッド」の送付を止めてくださいというものです。当時はアプリやデジタルリソースはなくて、定期的に冊子を指定された住所に郵送していました。デボーションガイドは「デイリーブレッド」だけではなかったし、ガイドなしでデボーションしたい時もありますから、通常、キャンセルのお知ら

      • 妥当な献金

        二年前の今日、安倍晋三元首相が、近鉄大和西大寺駅の前で銃撃され亡くなりました。私は奈良県民で、近鉄大和西大寺駅は、奈良の県に二つしかないターミナル駅のひとつなので、私も一年に何度も利用します。地方のターミナル駅周辺とは、東京郊外の私鉄の駅の周りぐらいの人どおりしかありません。あののんびりした場所で、あんな大事件が起こったことが、今でも信じられない気持ちです。狙撃犯の動機は旧統一教会に対する恨みとのこと。そのことから、メディアは宗教二世について取り上げるようになりました。 少

        • ラーメン談義

          近所に民泊施設があるのですが、火曜日の午後、そこにキッチンカーがやって来ます。メニューは、アフタヌーンティーのセット、手作りスイーツ、ハーブティーなど。庭に面した大きなテーブルが解放されていて、ゆっくりした時間を楽しめます。一緒にボランティアをしている仲間たちもよく立ち寄る場所なので、私も時々顔を出し、とりとめのない話に加わります。 昨日は、ちょっと変なラーメン談義。何が変かというと、食べれなかったラーメンについての話だったからです。実は、私もラーメンはめったに食べません。

        「月の立つ林で」

          真の素直さ

          ある神学者の講演をデジタルツールで聞きました。その中で「真理の所有者ではなく、真理を追求者になりなさい」という意味のことが語られていました。講演者は英語の訛りからヨーロッパの人だと思いました。元々はキリスト教の文化圏だった場所に多様な文化・宗教背景のある人が移り住んで、子供が大人になり、二世も生まれて、皆、国民となったわけで、キリスト教以外の宗教をきちんとリスペクトして共生していくことが、社会を分断させないために重要なことのはずです。そのような文脈の中で聖書的な思索を深めてい

          舟を編む

          半月ほど前、急に小説が読みたくなって、近所の図書館へ。ぶらぶら書棚を見て回り、三浦しをん著の「舟を編む」を借りてきました。ずいぶん前、出張途上の機内で同名の映画を見たことを思い出したのです。しっとりとした素敵な世界観がよかったし、板前姿の宮崎あおいさんも美しかった。 私、読みながら結構、笑いました。乾いたユーモアとまではいかないけれど、笑いを取るタイプではないユーモア。普通の人たちの人間臭さが、可愛くて、可笑しくて、この小説は、そういう世界観を持っているのだなあと思いました

          父の日に思う

          明日は父の日ですね。「『お父さん、ありがとう!』の言葉で元気百倍!」という男性は、日々の生活も充実している幸せな方に違いありません。 私は父親を早く亡くしているので、もし今、父が生きていたら、どんなおじいさんだったかしらと考えることが時々あります。頑固で気難しい老人になったかしら、それとも、ゆるいつながりの友人を何人もつくり、「下手の横好き」と言われるような趣味を次から次へと作って楽しんでいたかしら。どちらもあり得るなあと思います。 「親子の関係は一筋縄ではいかないもの」

          ルールは破ってもマナーは守る

          ある雑誌を読んでいたら、上記の言葉がありました。 ある専門学校の講師が、授業中は居眠りばかり、真面目とは程遠い髪型や服装の受け持ちの学生が、混雑したバスに乗ってきたお年寄りに親切な態度で席を譲る様子を見て声をかけ、褒めたところ、返ってきた言葉だそうです。実は、有名なパンクミュージシャンの名言だとか。私にも似たような経験があるので、興味を持ってググってみると、こんな感じの投稿がありました。 「歩行者が信号無視をしても、けがをするのは自分だから、それはどうでもいい。でも、子供

          ルールは破ってもマナーは守る

          「はて?」と「スンッ!」

          NHKの朝ドラ「虎に翼」は、時代が第二次世界大戦後になりましたね。主人公は、夫や兄を戦争で、父を戦後の食糧難の影響で亡くし、一家の大黒柱になるべく司法事務官として法曹界に復帰して、新民法の草案作りに参加します。 新憲法の理念に則り、民法でも100%の男女平等を要求するるGHQに対し、家制度を無くせば日本の心が失われる、と重鎮が抵抗します。(ほぼ80年後の選択的夫婦別姓の議論にも同じようなことがありましたね)主人公は「あなたはどう思う?」と尋ねられ戸惑います。独身の頃は、性別

          「はて?」と「スンッ!」

          特権、感謝、行動

          特権を辞書で引くと「特定の資格を有する人、または特定の身分や階級に属する人に限って与えられる権利」となっています。 私は豊かだったり、家柄がどうの、という家庭の出ではないので、「特権」は縁遠い話です。考えたこともありませんでした。ところが、「グローバル化」といわれるご時世の前に、海外出張が織り込まれた生活が始まり、私は日本国発行のパスポートを持っていることは「特権」なのだと思うようになりました。 このパスポートを持っている人は、北朝鮮以外、どこの国にも入れます。他国のパス

          特権、感謝、行動

          301回目の入稿

          今月も無事に入稿ができました。キリスト教界には「デボーション」または「沈思の時」などと呼ばれる習慣があります。毎日、数分でも聖書の言葉を読んで、自分の立ち位置に照らして何かを感じ、神と共に歩みましょう、みたいなことです。そして、そのための手伝いをする月刊誌や本など(「デボーション・ガイド」といいます)が発行されています。私が今日、納品したのは、2024年12月分のデボーション・ガイドの翻訳原稿です。2000年12月1日分から始めたので、8,700日以上の原稿を翻訳してきたこと

          301回目の入稿

          知りたい!

          「わたしにはもう10数年、考え続けてきたことがあります。 日本の〇〇には問題があることはきっと多くの人が認めることだと思います。けれど、それを言語化できるかといえば、なかなか難しいはずです。 そんなことを考えた上で、わたしは一当事者として、〇〇について研究し、考え続けてきたことを、できればその情報を欲している方に直接お渡ししたいと考え動き出しました。」 先日、お会いした、ある社会起業家の方が書かれた文面です。 この〇〇の中に「教会」の二文字を入れてみてはどうでしょう。こ

          告白

          どんな分野にいても、責任の伴う仕事をしていると、自分の手に余るという状況に陥ることがあだろう。一時の難局という場合もあるし、自分の力の及ばない根本的な問題のために、困りごとが繰り返すという場合もある。キリスト教関係の仕事でも同じこと。クリスチャンは、敬虔で親切で利他的、言葉も行動も模範的、なんてことは、まったくない。悲しいほどにない。 仕事で困難に直面すると、当然、脱出の道を祈ってきた。ドラマチックな解決に至ったこともあった。でもほとんどの場合は、最悪の事態は免れて落ち着く

          恋愛観の変遷

          早稲田大学教授の岡室美奈子さんという方が、昨日のNHK番組「あさイチ」で、テレビドラマに見る日本の恋愛観の変遷について解説なさっていて、興味を引かれました。大まかにいうと、1980年代は、憧れのキラキラした恋愛、1990年代は、自分にも手の届きそうな恋愛、そして、恋愛ドラマの冬の時代2000年代を経て、2010年以降は、多様な恋愛を題材としてテレビの恋愛ドラマはできているそうです。2016年放送の「逃げるは恥だが役に立つ」では、主人公たちは契約結婚、彼らの周りでは、年の離れた

          笑顔の思い出

          夕方、近所の青年とエレベーターで鉢合わせになりました。彼はダウン症で会う人すべてに挨拶を欠かさない好青年です。その時、昔の記憶がよみがえりました。 私はとあるホテルで会議に参加していました。休憩時間を部屋で過ごし会議室に戻ろうとエレベーターに乗ると、スポーツウエアを着た背の高いふたりの青年が乗っていました。他には誰もいません。奥の壁を背に立っている人が、私に笑いかけてました。その笑顔があまりに人懐っこく、私は彼に釘付けになりました。「私、この人を知っている?この服装だから、会

          メルカリに出品する人

          メルカリに出品する50代や60代の人の割合が増えているというバラエティー番組を見ました。私(60代)もいつか不用品の整理にメルカリを使ってみようかなあと思っているので以外だとは思わない。だって、年齢が上がれば、知らず知らずのうちにため込んでしまった不用品の数は多いでしょうから。また手芸とかをする人は、作品を売って少額でも手にできれば、楽しいかもしれない。でも、この番組で驚いたのは、ある高齢の方に対する番組ナレーターのコメントです。その人は不要になったアクセサリー(貴金属ではな

          メルカリに出品する人