特権、感謝、行動
特権を辞書で引くと「特定の資格を有する人、または特定の身分や階級に属する人に限って与えられる権利」となっています。
私は豊かだったり、家柄がどうの、という家庭の出ではないので、「特権」は縁遠い話です。考えたこともありませんでした。ところが、「グローバル化」といわれるご時世の前に、海外出張が織り込まれた生活が始まり、私は日本国発行のパスポートを持っていることは「特権」なのだと思うようになりました。
このパスポートを持っている人は、北朝鮮以外、どこの国にも入れます。他国のパスポートではそうはいかない。私は東南アジアの数か国に行くことが多かったのですが、ビザ申請が必要だったことは一度もありませんでした。嫌われパスポートってありますよね。先進国のものであっても。でも、私のパスポートは違う。入国管理官の扱いも他国の人に比べて格段に良い。一方、アジア諸国の同僚が日本に来るとき、私は何度も入国ビザの保証人になる旨の手紙を書きました。関西国際空港で入国時に別室に呼ばれてボディーチェックをされた上司さえいたのです!私は自ら選んだわけでも、努力したわけでもなく、日本国のパスポートがもらえたのですから、まさに「特権」だと思いました。今となっては隔世の感がありますね。
私は、この特権を活用して、私を受け入れてくれた国の人に何かできることはないかしら、と思っていたのですが、非力ですから、大きなことはできません。ホテルのメイドさんやリフレクソロジーの施術者にチップを弾むことぐらいが関の山です。ただ、己の努力なくして与えられているものがあるという気づきは、感謝の心を育む糧になったように感じています。
先日、国際NGOに就職した知り合いの息子さんが、イスラエルに出立つすると聞きました。「心配ね」と言うと、彼女は「親としてはね。でも、本人はやる気満々なのよ」と笑顔で応じてくれました。自分に与えられた特権を思いっきり活用して、痛み苦しむ人を助けようとする彼を、心から応援しています。
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