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不定期通信

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2019年9月の記事一覧

初めまして、こんにちは。ところで、貴方の家族さん、死にそうなんですよ。

そんな会話から入ることが多かった救急医としてのキャリアの後に、度々IVRで関わった患者さんが急性増悪して目の前に現れる経験が増えた。

人生の重ね合せが多い程、増悪時の対応が辛くなる

精進あるのみ。

最善を尽くせているのか?

最善を尽くせているのか?

ベストを尽くしていると思っている。だけど、ベストであると証明できない。だから、本当にベストを尽くせているのか悩んでいる。

どれだけ全力を尽くしても、患者さんに正しく情報が伝わっているのかは分からない。アウトカムを正しく担保できる保証が無いが、せめてプロセスをなぞって少しでもフェアでありたいと思う。

その意味で大切にしているのは臨床倫理の四分割表に則ったロジックだ。医学的妥当性・適応があるのか、

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主役は俺じゃない

主役は俺じゃない

とある日、とある塞栓術。

治療は難しく、中長期的に考えて何をどうするべきか悩んだ。よくある、片方立てれば片方立たずの状況で悩みに悩んで選んだプランだった。結果、治療は想定以上に綺麗に決まった。

思わず込み上げる高揚感と満足感。どうだ!やってやったぞ!そう言いたくなる気持ちを自覚しながら患者さんの顔を見て、冷静な気持ちを取り戻す。治療が綺麗だとか綺麗じゃないとか、患者さんには関係ない。アウトカム

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フラッシュバックが止まらない

フラッシュバックが止まらない

写真と裏腹、雨である。全国的な現象のようで、台風連発している以上は止むないのかも知れない。たまの受け持ち患者さんの少ない連休にて、少しゆっくりと行きたいが、学会の準備はギリギリ食い込んでおり、このままだと間に合わないかも…と言う状況である。まぁ、ラストスパートかければ意外に何とでもなるし少し大きな気持ちでいようかな。

さて、それはさておき。寝てる時など、ふとした瞬間思い出しては網膜に焼き付いて離

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それでも救急医を辞められない

それでも救急医を辞められない

ここ暫く放射線科医として働いている。当然、お師匠さんの庇護の下、やれる事をやらせてもらっているに過ぎないが、少なくとも救急と言う立ち位置を離れて客観的に見る機会を得たように思う。

かつて自分の青春がそうだったように、救急から離れてしまえば過去の事となり、特別な感慨を持たないのかも知れないと危惧していた。あれだけ大切だと強く信じた事を無価値に思えてしまったら、それは悲しい事だろうなと臆病になった。

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独善とポリシーの間

独善とポリシーの間

「僕は延命治療にしかならない治療は勧めません。」
自分のポリシーは明確に患者さんにもご家族にも伝えるように心掛けている。
何を希望するか、何を選択するか、それを決めるのは患者さん自身としても、その決断をするのに必要な情報を提供するのはプロである我々の務めだ。
その意味で、自分の基本スタンスはこうですよ、と伝えなければフェアではないと思う。
プロであっても僕らはバイアスに塗れている。
評価はバイアス

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堂々巡りで朝が来る

堂々巡りで朝が来る

かつて分不相応にもマネージメントが主業務だった。医者として、当時4年目。自分が思う理想の為には、必要な立ち位置だった。しかしながら、そうこうしている内に澱のように積もったのは、1人の医者としてスキルアップするべき時期なのに、ジジくさいことに注力して自分自身の5年後10年後にとってはマイナスじゃなかろうか、と言う想いだった。その気持ちを信じて、僕は一度所属を離れた。

同一の院内で立場が変わると言う

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真夜中の風が季節の移ろいを教えてくれる

真夜中の風が季節の移ろいを教えてくれる

病院という所にいると、季節の移ろいに疎くなる。快適ではあるけれど、変動しない気温、均一な灯り、季節を感じるのは疾病構造くらいだ。

真夜中、一歩外に出た時の匂いと気温が、僕の感じる一番の季節感だ。虫の声、遠くから響いてくるエンジン音、夏場は聞こえない電車の音。

もう秋だ。オータムフェストに行きたいと言っていた患者さんは、ちゃんと行けるようになるだろうか。来るべき冬に、増えるだろう重症例に、チーム

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