見出し画像

最善を尽くせているのか?

ベストを尽くしていると思っている。だけど、ベストであると証明できない。だから、本当にベストを尽くせているのか悩んでいる。

どれだけ全力を尽くしても、患者さんに正しく情報が伝わっているのかは分からない。アウトカムを正しく担保できる保証が無いが、せめてプロセスをなぞって少しでもフェアでありたいと思う。

その意味で大切にしているのは臨床倫理の四分割表に則ったロジックだ。医学的妥当性・適応があるのか、本人の意思・希望はどうか、家族の気持ちや経済など周囲の環境がどうか、選択した治療はQOLの改善に寄与するか?これをなぞって考えて自分達が提案することが妥当なのかを評価する。

また1人では結論を出さない。複数の医療職によって十分吟味する。医師−患者関係と言う文脈もさることながら、人生観・価値観を受け止められるのかと言う頭があるからだ。頭数が増えさえすれば良いと思っている訳ではないが、こればかりは頭数が増えれば受け入れられる余地が広がるような気はする。

医者は医学的適応とQOLをこだわるべきだと思う。それが仕事であり、そこをブラしてはならない。ただ医者は強いこだわりを持ってもいけない。あくまで、選択肢は全てFairに説明する責任がある。一方、どの選択肢が良いと思うかと言う推奨を忘れてはならない。評価・解釈を伴わない情報はinformationだがinterigentではない。

これらの点を以ってチームとしてベストを提案する。そして、そのベストが患者さんにとってベストなのか一緒に考える。同じ病状で同じ治療を提案しても総合的に見てベストと本人が納得できることは、患者さん次第な部分が大きい。

今日も僕はまた悩んでいる。本当にベストが尽くせているのか。こちらが相手にとってベストな情報提供をした上で、意思決定ができているのか。答えが出ないと分かっていても悩みは尽きないものである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?