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#自然

詩 そらのびる

詩 そらのびる

もわっとした空気に
うとうとうと
慌てて非常階段へ

都会の空は
狭いはずだった
けれど今日は
ビルとビルの間に
空(そら)のビルがある
狭い空間を突っ切って
どんなビルより高い

こうして
都会のなかで
大きな自然を
くりぬいた

詩 ひつじ雲

詩 ひつじ雲

ファミレスの
窓の隙間から
のぞくひつじ雲が
美しかった

すぐに忘れてしまいそうな
パーツを綴り
生活の手触りを
確かめている

心地よいものを
長く共にしたい

みんなが違うもの
好んでいるから
いろんな素材に
溢れている

いつも変わる
美しい組み合わせ
揺れ動きを楽しむ
心がぽわんと
浮いてる空

詩 洗濯日和

詩 洗濯日和

気持ちよさそうに
空を泳いでいる
洗濯物

ふわりふわりと
乾いてゆく
大きな存在に
抱かれて

そろそろ
乾いたかしら
洗濯物
するすると部屋に
おかえりなさい

大きな自然に
抱かれて
わたしは自然を
身に纏う

誰もひとりでは
生きていない
わたしも
自然の一員だ

詩 自然治癒

詩 自然治癒

海を見に行こう
山を見に行こう
星を見に行こう

沈む日々に
手を引く言葉
大きなちっぽけ
見に行こう

大丈夫
わたしたちは
大きな星の
光の中

遠くの星の
誰かもきっと
わたしたちの星
眺めては
ぼんやりしてる
ことだろう

海の青さ
山の青さ
星の瞬き
知っている

知っていても
見に行くことは
忘れていたな
いつのまにか

いつか誰かの
手を引く言葉
わたしもこうして
蓄えていく

そん

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詩 じゅうたん

詩 じゅうたん

絨毯を指でなぞるみたいに
田んぼの上を
走る風

1番も2番もない
過ぎてはまたやってきて
寄り添いあって
生きている

誰かによりかかるのは
当たり前で
誰かによりかかられるのは
当たり前で

いつも揺れながら
風のなか懸命に
ぐんぐん成長しては
こうべを垂れる稲穂

緑色を超えて
黄色に輝くころ
わたしも当たり前を
受け入れたい
そして認められるといいな
張りぼての強さである弱さ

絨毯を指で

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