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おしどり夫婦って

 「おしどり夫婦」という言葉がある。仲むつまじい2人のことだそうだ。喧嘩などしない、毎日互いを気にかけて機嫌よく暮らしている。喧嘩をすることはあっても、すぐに仲直りして何でも思ったことを言い合える間柄。そういうイメージがある。
 結婚してからずっと結婚当初のような仲の良さで、添い遂げる夫婦はどれくらいあるのだろうか。周囲からは「おしどり夫婦」と言われても、本当は家では一言も口をきかない仲の2人もいるかもしれない。普段から自分の事をあまり話さない人前ではおとなしい人に対しては、周りの人はイメージで決めようとする。自分たちのことを話さない夫婦なら、本当のことは誰にも分からないのではないかと思う。
 結婚して、15年以上。夫は、世間で言われるところの「モラハラ夫」だ。徐々に変わってきて、子供が大きくなるにつれて、ますますひどくなっていっている。男性の更年期障害の記事を見て、夫はそうなのかもしれないし、元々の性格のままなのかもしれないし、よく分からない。子供がいるときは子供と話すだけで、夫婦での会話は用事があるときか、夫の機嫌がよいときに休みの予定を話すくらいだ。
 子供の習い事などで家族で外に出たときは、ほかの家庭からは夫婦の仲が良いように言われて、驚いた。うちは、何も話さないからと言ってくる家の方が、きちんとコミュニケーションが取れている気がした。家族で動く時、私がこうしたいと言う内容は、受け入れられない。どうしてもこうしたいと思うことは、色々な理由を探したり、最初は違う予定だったとか嘘をつくことが出てきた。今は話ができそうだと感じた時に、まとめて話したりする。その瞬間によって気分が変わる、私から見ると難しい性質の持ち主だ。何か決める時の細かい内容を言うのではなく、決定した内容を先に言う方がいいことも分かった。ただ、全てを否定されるのではなく、最後には私の要望を聞いてくれるので、夫婦関係が続いているのかもしれない。
 朝バタバタしている時、同じ方向に行こうとしてぶつかりそうになった。夫はいらだったようだったが、言葉にはしなかった。ゴミ入れに、丸めたティッシュを叩きつけるように捨てるのを横目で見た。この人は、子供だと思った方が気が楽なのだろう。

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